犬の「水頭症」どんな病気?症状や原因などを解説します

犬の水頭症(すいとうしょう)とは、脳や脊髄を循環する脳脊髄液が、何らかの原因で増えることで脳を圧迫してしまう病気です。
犬が水頭症を発症すると、どのような症状が現れるのでしょうか?
この記事では、犬の水頭症の症状や原因、治療方法について解説します。 2024年04月14日作成

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犬の水頭症ってどんな病気?症状は?

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まずは、犬の水頭症の症状についてご説明します。
犬にこれらの症状がみられた場合には、一度動物病院へ連れて行くことをおすすめします。

頭の形がドーム状になる

犬が水頭症を発症すると、頭の形がドーム状に膨らみます。
これは飼い主がパッと見てすぐに気が付く症状で、先天性の水頭症にみられるでしょう。
しかし、圧を受ける脳の場所で見た目は変わるため、水頭症の犬すべてがドーム状の頭をしているわけではありません。

元気がなくなる・ふらつく

犬が水頭症を発症すると、明らかに元気がなくなります。
また、散歩などの運動をしても疲れやすくなるでしょう。
足元がふらつきやすくなるのも犬の水頭症の症状のひとつで、どこかバランスが取れないような歩き方をします。
なお、同じ場所をぐるぐると回り続けるという認知症のような症状がみられるのも、水頭症の特徴です。

眼球異常

犬の水頭症の症状としては、眼球異常も挙げられます。
両目が視線の目標に正しく向かわない斜視の状態になったり、自分の意思とは関係なく眼球が動いたりする症状がみられるでしょう。
また、視力低下などの症状もみられるため、犬が部屋の家具や壁にぶつかるようになった時には、水頭症を疑う必要があるかもしれません。

攻撃的になったり興奮したりする

犬が水頭症を発症すると、攻撃的になったり興奮したりするような症状がみられることもあります。
温厚な性格の犬であっても、水頭症によって脳が圧迫された状態になると、温厚だとはいえないほど噛んだり吠えたり怒ったりという、パニック症状がみられるでしょう。

異常行動

犬の水頭症は、脳が圧迫されることにより異常行動をすることもあります。
激しく吠えたり落ち着きのない行動をとったりする犬もいれば、一度寝てしまったら何度起こしても目覚めないなど、さまざまな異常行動が挙げられます。

犬の水頭症の症状はさまざま

犬の水頭症の症状は、先天性や後天性によって変わりますし、圧を受ける脳の場所によってもさまざまな症状がみられます。
犬によっては、頭の形がドーム状になるなどの外見の変化がみられないこともありますし、ほとんど無症状の場合もあるでしょう。
無症状な犬であれば治療を行うのも遅くなってしまうため、定期的に健康診断を受けることをおすすめします。

犬の水頭症の原因は?

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犬の水頭症は、どのようなことが原因で起こるのでしょうか?
次に、犬の水頭症の原因を解説します。

先天性

犬の水頭症は、先天性のものであることも考えられます。
犬種によって水頭症を遺伝することがあり、特に先天性の水頭症が多いといわれる犬種は、チワワやトイプードル、パグやポメラニアンなどが挙げられます。
ほかにも多くの犬種が先天性水頭症を発症する可能性がありますが、犬種の特徴をみると小型で短頭種であることが多いでしょう。

先天性水頭症を発症すると、生後半年までにさまざまな神経症状がみられるため、ペットショップやブリーダーなどで子犬を迎え入れて間もなく水頭症の症状がみられることになります。
ちなみに、チワワはほかの犬種よりも水頭症になりやすいといわれており、ほかの犬種の発症率が1.9%に対してチワワは3.3%と、ほかの犬種よりも1.5倍近い発症率となっています。

後天性

犬の水頭症は先天性であることが多いですが、まれに脳の損傷や脳内出血、脳炎などが原因となり発症することもあるようです。
何らかの病気により脳脊髄液の循環経路が経たれたり、脳脊髄液の産生が過剰になったりすることで、水頭症を発症するとされています。

犬の水頭症の治療方法はある?

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最後に、犬の水頭症の治療方法をご紹介します。
併せて、犬の水頭症の対策はあるのかもチェックしておきましょう。

完治は難しい

はじめに言っておくと、犬の水頭症を完治することは難しいでしょう。
そのため、水頭症の原因を取り除く処置をするよりも、症状の軽減や維持を目的とした治療が行われることが多いです。

内科療法

内科療法としては、ステロイド剤や利尿剤の投与をすることで、脳脊髄液の産生量を抑える処置をします。
また、痙攣の症状が現れている場合は、抗てんかん薬が投与されることもあるでしょう。
多くの場合は内科療法で症状の緩和や維持はされますが、症状の緩和がみられない時は外科療法を行うこともあります。

外科療法

内科療法でも症状の緩和がみられない場合は、脳室と腹腔にチューブを通して脳脊髄液を腹腔に逃がす手術を行うことがあります。
これにより脳圧を下げることができますが、脳神経が広範囲にわたり損傷を受けている場合は、この手術をしても改善される可能性は低くなります。

ちなみに、この手術はシャントを設置して行われますが、一度シャントを設置すると一生涯外すことができないため、かなりハードルの高い手術と言えます。
逆に脳にダメージを与えてしまうことも踏まえて、犬の水頭症で外科手術を行う際は、事前にきちんと獣医師と相談した上で行う必要があるでしょう。

犬の水頭症の対策

残念ながら、犬の水頭症の対策方法はありません。
そのため、早期発見・早期治療がとても大切になります。
外見的な異常がみられるのであれば早急に動物病院へ連れて行くことができますが、大きな症状がみられないのであれば、こまめに健康診断を受けさせたり少しでも異変があれば獣医師に診せたりすることで、早期発見に繋がるでしょう。

水頭症は早期発見が大切!定期的に動物病院へ

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犬の水頭症は、頭の形がドーム状に膨らむため、すぐに気が付くことができるはずです。
しかし、すべての犬に外見的な症状がみられるわけではなく、脳が圧迫されている場所によって症状が変わってくるため、発見が遅くなることもあるでしょう。
犬の水頭症に具体的な対策はなく、早期発見をしなければ症状が重くなることもあることから、こまめに健康診断を受けさせたり少しの異変で獣医師に診せたりするなどをして、少しでも早く水頭症を発見することが大切になります。

著者情報

けんぴ

若い頃はドッグトレーナーとして、警察犬の訓練やドッグスポーツなどを行う。
それらの経験を活かし、ペット系ライターとして活動中。
現在はすっかり猫派となる。
好きな犬種・猫種はボーダーコリーとノルウェージャンフォレストキャット。

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