犬が震えるのには必ず原因があります。突然のことでびっくりするかと思いますが、飼い主がしっかりと原因を突き止め、愛犬が健やかに生活できるよう対処してあげましょう。
犬が震える5つの理由
出典:https://www.shutterstock.com
犬が体を震わせる原因として考えられているものを5つご紹介します。
体温の低下
体温が低下すると、動物たちは体を震わせることがあります。この現象を「シバリング」と呼び、筋肉を小刻みに動かすことで熱を発生させています。
シバリングは犬や猫など、人間以外の動物にも見られる現象であり、私たち人間にも起こる生理現象の一つです。
犬が快適に過ごせる適温の目安は、21〜25℃程度とされています。エアコンなどを活用して、愛犬が過ごしやすい環境を整えましょう。
過度なストレス
過度なストレスがかかることで、体を震わせることがあります。
引越しや新しいペットが増えるなど、犬を取り巻く環境の変化が起こると発生しやすいと考えられています。
犬のストレス解消には運動が有効です。散歩や普段の遊びだけでなく、広々したドッグランへ連れていき、心ゆくまで愛犬が運動できるよう工夫してあげましょう。
また、新しいペットを飼育する際は先住犬との相性をしっかりと確認し、どうしても性格が合わないようなら、部屋を別々にする・どちらかをケージに入れるなどの対策を講じましょう。
恐怖心・警戒心
恐怖心や警戒心が強くなっているときも、体を震わせることがあります。
はじめての場所や人(動物)と会ったときなど、犬が恐怖心や警戒心を抱きやすいタイミングでよくみられます。
恐怖心がある状態の犬は攻撃的になるケースが多いため、いきなり体へ触れるなどの行為はとても危険です。
愛犬が他人や動物にケガをさせてしまわないよう、初対面の相手と接する際は飼い主が注意してあげましょう。
筋力の低下
老化による筋力の低下が原因で体を震わせることがあります。
筋力が低下すると、体全体を支える力が少なくなります。そのため、足腰の踏ん張りが効きづらくなり、体に震えが現れるようです。
老化による筋力の低下はどうしようもないことですが、若年時から散歩などの運動習慣を身に着けさせ、筋力を維持する努力をすることが大切です。
興奮状態にある
興奮状態にある場合にも体を震わせます。
ダッシュで走り回った、飼い主とおもちゃで遊んでいる、ほかの犬と戯れているとき、などが例としてあげられます。
興奮からくる震えは健康上の問題ではありませんが、興奮した犬は思わぬ行動を取ってしまうことがあるため、注意が必要です。
犬の震えから考えられる病気の種類とは
出典:https://www.shutterstock.com
体の震えから推測される病気の例をいくつかご紹介します。
※今回ご紹介する以外の病気にかかっている可能性もあります。愛犬の体調に違和感があれば、すみやかに動物病院で診察を受けましょう。
てんかん
てんかんは、意識を失った状態で全身の筋肉が不随意的に収縮する病気です。症状としては、異常な量のよだれやふらつきが現れることがあります。
現代の獣医学では、原因不明の病気とされており、根治治療も困難です。発作を減らすための投薬治療が一般的であり、一生涯にわたって投薬が必要となることがあります。
水頭症
水頭症とは、脳脊髄液が過剰分泌されることで脳室が拡大している状態のことです。
原因としては、脳脊髄液が生成されすぎている、本来循環するべき経路に詰まりがある、脳脊髄液がうまく吸収できていない、などがあります。
治療には、内科的なものとして投薬を中心とした方法と、外科的なものとして手術が必要な方法があります。症状の程度に応じて、使い分けることが一般的です。
また、てんかんに似た発作やふらつきだけでなく、視力障害も見られることがあります。
脳腫瘍
脳腫瘍とは、脳にできた腫瘍を指す総称です。腫瘍そのものが最初から脳に発生したものを原発性腫瘍、他の部位から脳に転移したものを続発性腫瘍といいます。
原因は明確には分かっていませんが、高齢になると発症率が高く、特定の犬種にも発症しやすい病気として知られています。
体を震わせる発作や旋回運動、ふらつき、運動失調などが主な症状です。
治療には、外科手術や放射線、化学療法などを用いた腫瘍の除去または縮小があります。また、症状緩和のための投薬などの支持療法も行われます。
中毒症状
犬の中毒症状には、チョコレートやタマネギなどの食物中毒や、スイセンやスズランなどの植物による中毒など、さまざまな種類があります。
体の震えやふらつきだけでなく、下痢や嘔吐、血尿、血便、肝機能障害などの症状がみられます。
体内に入った原因物質を吐き出させる催吐処置や投薬などが治療としておこなわれるのが一般的です。
愛犬が震え出した際に病院へ連れていく目安は
愛犬が震え出した際に病院に連れていくべきタイミングとしては、「震え以外の症状が出ているかどうか」によります。
例えば、下痢や嘔吐、食欲不振、意識障害などがこれにあたります。
寒さやストレスなどによる一時的な体の震えであれば、原因を取り除くことですぐに改善するでしょう。しかし、原因を取り除いてもなお体の震えが収まらない場合は、病気の可能性も考慮して動物病院を受診することをおすすめします。
愛犬が急に震え出したときはすぐに原因を探しましょう
出典:https://www.shutterstock.com
今回は犬が体を震わせる原因について解説しました。寒さやストレスなどの一時的な原因であれば、飼い主が原因を取り除いてあげるだけで、愛犬も健やかに過ごせるようになります。しかし、病気が原因である場合には、体の震え以外の症状も確認して、獣医師による診察を受けることをお勧めします。
また、犬は嬉しさからくる興奮状態のときも体を震わせて気持ちをアピールしてきます。あなたの愛犬はどうでしょうか?きっとあなたと遊べることを嬉しく思っているはずです。ストレスや病気などが原因ではなく、愛犬が「嬉しい」の表現として震えを見せることが多ければ、それは素晴らしいことですね。
著者情報
U.SHOHEI
父親が犬のブリーダーをしていたこともあり子どもの頃から犬に囲まれた生活を送る。
現在は趣味の動物園・水族館めぐりから得た知識をもとに幅広く動物に関する記事の執筆をおこなっている。
得意な生物は、犬・猫・海洋生物・エキゾチックアニマル。