さまざまな色がある猫の目ですが、その色彩はどうやって決まっているのでしょうか?あなたの愛猫の目を思い浮かべながらぜひ最後までご覧ください。
猫の目には人間にはない特別な能力が備わっている
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猫の目は水晶体が大きいことから、焦点を合わせるが難しいとされ、視力は人間の約10分の1しかないといわれています。また、光の三原色である赤・青・緑のうち、青と緑しか認識できません。そのことから、視力や色彩の感じ方に関しては人間のほうが優れているといえます。
しかし猫の目には人間をはるかに凌駕する機能が備わっています。
猫の眼が光る理由
猫は人間より多くの桿状体(かんじょうたい)を持っているため、明暗や動くものを感知する能力に優れています。猫の目には「タペタム(輝板)」と呼ばれる光の反射板が存在し、わずかな光を頼りに対象物を視認することが可能です。
この能力により、人間が暗闇で物を視認するために必要な光量の6分の1ほどで物体を識別できます。暗闇でも猫が壁や物にぶつかったりしないのは、このような体の仕組みがあるおかげなのです。
《 補足:猫の瞳孔が変化する理由 》
猫をはじめとする小型のネコ科動物は、明るい場所であれば瞳孔が縦長になり、暗い場所であれば円形に大きく広がります。このような変化は、周りの明暗によって虹彩に取り入れる光の量を調整しているからといわれています。大型のネコ科動物にはこのような瞳孔の変化はみられません。
猫の目の色は遺伝子によって決まるってホント?
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猫の目の色は親猫から受け継いだ遺伝子によって決定します。例外として、生まれたての子猫は目の色素沈着が進んでいないことから、「キトンブルー」と呼ばれる灰色に近い青の瞳をしていることが多いです。
個体によって違いはあるものの、おおよそ生後2ヵ月ごろから徐々に目の色が変化していき、親猫から受け継いだ色になります。
目の色が変化する大きな要因としては「メラニン色素」が関係しているとされ、その量が多いか少ないかによって色に変化があらわれるようです。
ただし、同じ親猫から誕生した兄弟猫であっても、まったく同じ瞳の色になるわけではなく、色の明暗に違いが出るなど個体による特徴がみられます。
メラニン色素が少ないと青系に、多いと褐色にそれぞれ色が変化します。メラニン色素が少ない順に分類すると以下のとおりです。
- ブルー
- アクア
- サファイアブルー
- グリーン
- ヘーゼル
- イエロー
- アンバー
- オレンジ
- カッパー(銅色)
- オッドアイ
- レッド
猫の目の色はメラニン色素の量が少ないほど青系に、多いほど褐色系に近づきます。ただし例外として、左右の色が異なる「オッドアイ」や真っ赤な色の目になる「レッド」などがあり、それぞれとても珍しいです。
オッドアイとレッドについてはつぎの章で詳しく解説します。
珍しい目の色「オッドアイ」や「レッド」とは
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ブルーやイエローなど通常みられる色と違い、オッドアイやレッドはとても珍しいといわれています。それぞれどのような色味なのかについて解説します。
オッドアイ
オッドアイは左右で目の色が異なる状態のことをいいます。「虹彩異色症」という先天的な目の色素異常によって発生し、とくにメラニン色素の薄い白猫に出やすいです。
猫だけでなく犬や人間も「虹彩異色症」による色素異常を起こすことがありますが、発生割合は突出して猫が多いといわれています。
先述したように、オッドアイは先天的に左右の色が異なるのが一般的です。しかし、ケガや病気の影響により、成猫になってからオッドアイに変化する個体もいます。
後天的にオッドアイになった場合、目に何らかの異常を抱えているケースが考えられるため、すみやかに獣医師の診察を受ける必要があります。
レッド
先天的にメラニン色素が作られない状態(俗に「アルビノ」という)の個体に発生する目の色がレッドです。
メラニン色素が作られないことから、目周辺にある血管の色が浮き出てくることで赤くみえます。
肌や目の色素が失われているため紫外線に弱いことから、完全室内飼育が推奨されています。
この色は危険!注意すべき目の色の変化
猫の目の色が変化したら病気のサインかもしれません。いくつか例をあげますので、愛猫の目に異常がないか確認してみてください。
- 角膜炎
- 白内障
- 角膜混濁症 など
- 角膜黒色壊死症
- 悪性黒色腫(メラノーマ) など
- 結膜炎
- 角膜炎 など
- 緑内障
- 肝硬変
- 肝炎
- 細菌感染 など
今回ご紹介した病気以外にも目にまつわる問題は数多くあります。
早期発見による治療ができれば愛猫を苦しめずに済むかもしれませんので、目の色がこれまでと異なっているように感じたら、すぐに動物病院で診察を受けてください。
目の色は猫の魅力をより引き立ててくれる要素のひとつです
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今回は「猫の目の色はどうやって決まるのか」について解説しました。目の色が決まるには遺伝によるものが大きく、まれにオッドアイのように特殊な個体も誕生すると覚えておきましょう。
また、目の色の変化から愛猫の病気を推測できます。「目が白っぽくなった」「急にオッドアイに変化した」など、これまでと違った目の色がみられたら、すみやかに動物病院で診察を受けてください。
目の色は猫の魅力をさらに引き立ててくれる要素のひとつです。これからもその瞳に魅了されながら、ともに穏やかな時間を過ごしていきましょう。
著者情報
U.SHOHEI
父親が犬のブリーダーをしていたこともあり子どもの頃から犬に囲まれた生活を送る。
現在は趣味の動物園・水族館めぐりから得た知識をもとに幅広く動物に関する記事の執筆をおこなっている。
得意な生物は、犬・猫・海洋生物・エキゾチックアニマル。