つい見てしまう猫のフレーメン反応の理由とメカニズム

猫のフレーメン反応は、何とも言えない表情を見せてくれることから、多くの人がついつい見てしまうのではないでしょうか。ここでは、フレーメン反応を示す理由やそのメカニズムについてご紹介します。 2022年05月25日作成

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フレーメン反応とは?

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猫を飼っていて、まだフレーメン反応を見たことがないという人にとっては、具体的にどんな反応なのか見当もつかないのではないでしょうか。

フレーメン反応は、生理現象の1つで、フェロモンをかぎ分ける際に起こる反応のことを言います。猫だけでなく、馬や犬などにもよく見られる反応で、これは一部の動物に限られるとされています。

猫がフレーメン反応を起こしている時、その表情がとても愛らしく感じる飼い主さんが多いです。その表情とは、「ポカンと口をあけて少しフリーズ」する様子のこと。においを嗅いだあとで見せるこの表情、初めて目にした人は多少驚くこともあるかもしれません。自分のにおいを嗅いだあとでこの表情をされると、「そんなに臭かった?」と残念がる人もいます。

とにかく、フレーメン反応を起こしている猫の表情は、他にはない愛嬌があり、物言いたげな様子やショックを起こしている様子にも見えて、ハマってしまう飼い主さんが多いのです。

フレーメン反応が起こるメカニズム

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フレーメン反応で感じるのは、猫が発するフェロモンです。猫のフェロモンは独特のにおいがあるそうですが、それを感じる嗅覚器官のことを「ヤコブソン器官」と呼びます。

ヤコブソン器官は、鼻ではなくて前歯の裏側あたりにあることをご存じですか?そのため、一生懸命に鼻からにおいを嗅ぐのではなく、口を開けてフェロモンを感じ取ろうとするのです。

人間からすると、この時の口をポカンと開けた表情は、どうしてもにおいを感じ取ろうとしている姿に見えませんよね。しかし、猫にとっては自然な生理現象であり、決してクサくて驚いているわけではないのです。

フレーメン反応している猫の動画をご紹介

ここで1つ、猫がフレーメン反応を見せている動画を見てみましょう。こちらの動画では、自分のお尻のにおいを嗅いでフレーメン反応を起こしている様子が見られます。クサくて口を開けているのではないと知りつつも、こんなユニークな表情を見るとどうしても笑ってしまいますね。

猫が見事なフレーメン反応をしている - flehmen response of my cat -

どうしてユニークな表情になるの?

フェロモンを受容するヤコブソン器官は、鼻の中ではなく前歯の裏側あたりに存在し、ここでフェロモンを感じようとするために口をポカンと開け、空気をたくさん送り込んでいるのです。

このヤコブソン器官は、哺乳類だけでなくは虫類や両生類にもあると言われていますが、フレーメン反応を起こすのは一部の哺乳類だけのようです。人間の場合は、進化の過程でヤコブソン器官は退化したと考えられています。

フェロモンから得られる情報は、その持ち主の性別や発情の有無、年齢などなんだそう。猫は、こうしたにおいから相手のことを知ることができるのですね。

どんなにおいにフレーメン反応を起こすの?

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フレーメン反応は、すべてのにおいに起こるわけではありません。フェロモンが感じられるにおいに反応します。

・自分のお尻付近のにおい
・他の猫のお尻やおしっこのにおい
・猫が好きなハーブのにおい
・飼い主の足や汗のにおい

猫のフェロモンは、お尻から発せられるようで、自分の毛繕いの最中にお尻付近のにおいを嗅ぐとフレーメン反応を示すことがあります。自分のにおいのフェロモンを確かめている、とも言えます。そして、多頭飼いの家庭では、他の猫のお尻のにおいを嗅いで、いつも一緒にいる仲間かどうかを確認し、安心を得ています。オスの場合はメスのお尻を嗅いで発情期かどうかを確かめるケースもあります。

キャットニップというハーブ(別名:イヌハッカ)は、猫が好むことからこの名前がついたと考えられています。なぜ猫が好むのかというと、このハーブの香りは猫のフェロモンに似た成分を含んでいるから。好むというよりは、もしかすると猫のにおいかどうかをじっくりと確かめるために、においを嗅がざるを得ないのかもしれません。

そして、飼い主の足や汗のにおいです。人間の足の裏のにおいは、フェロモンのにおいに似ていて、猫はどうしてもそのにおいをチェックしてしまいたくなるのだそう。このにおいで、飼い主かどうかを確認したり、飼い主の情報を得ようとしているようです。

フレーメン反応が控えめな猫もいる

猫によっては、あまりフレーメン反応を見せない子もいます。どうしてもその顔が見たいからと、無理矢理においの強い物を嗅がせるのはやめましょう。猫の嗅覚は、人間の何倍にもなります。そして、においから情報を得る能力は、人間とは比べ物にならないほど優れています。そのため、無理矢理においを嗅がせるのは、猫にとって大きなストレスになる可能性もあり、良いことではありません。

注意が必要なもの

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猫好きな方であれば、猫にとって有害なものをある程度把握していらっしゃるでしょう。食べ物であれば、玉ねぎ、にんにく、生卵、生肉、牛乳や乳製品、チョコレート、ブドウ、レーズンなどがあります。少量であっても口にしてしまえば、命の危険に脅かされることもあるので注意が必要です。

では、香りに関してはどうでしょう?
好奇心旺盛な猫であれば、どんなものにも近づいてにおいを嗅いでしまうかもしれません。

猫が好きな香りに「キャットニップ」というハーブや「マタタビ」があります。このにおいを嗅いだ時にもフレーメン反応を起こすことがあります。有害なものではありませんが、長い時間嗅がせるのは刺激が強すぎるため避ける方が良いでしょう。

それ以外にも「洗剤」や「石鹸」のにおいには反応しやすいので注意しなければなりません。中でも、塩素系タイプに反応するケースがよく見られます。誤って口にしないように、置き場所や取り扱いには特に注意しましょう。

刺激が強すぎた場合、フレーメン反応の後に「くしゃみが止まらなくなる」「しきりに頭を振る」「ふらつく」などの行動が見られることもあります。心配な時は獣医師に相談すると良いでしょう。

また、知らぬ間に有害なものを口にしていることもあります。呼吸困難・震え・嘔吐・下痢などの重篤な症状が出た場合は、すぐにかかりつけの獣医師に相談してください。

フレーメン反応を起こす理由

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猫がフレーメン反応を起こしてフェロモンを嗅ぎ分けるのは、以下のような理由が考えられます。

性フェロモンを感じ取り他の猫の縄張りや発情期を知る

猫が発情期に分泌する性フェロモンは、とても微細な分子で繊細です。この繊細なにおいを猫は嗅ぎ分けて、お互いの性フェロモンを認識する能力が猫にはあります。

この性フェロモンから分かるのは、発情期を迎えた猫の存在や、縄張りの有無です。性フェロモンを相手に伝えることで、子孫繁栄のチャンスを作っているのですね。また、猫にとって重要な縄張りを主張し伝えることは、あらかじめトラブルを避けるためにも必要不可欠なのでしょう。

飼い主のにおいかどうかを確かめて害がないかどうかを調べる

猫は、飼い主以外のにおいには警戒することが多いです。外出先から帰ったときなど、飼い主にいつもと違うにおいがついている場合は、「大丈夫かな?」と確かめる必要があるのでしょう。猫は、視覚よりもはるかに嗅覚の方が優れていることを考えると、当然の行動と言えます。

自分の縄張りを確認して安心する

猫が安心できるのは、縄張りの中です。いつも自分のにおいをつけて縄張りを主張しつつ、他のにおいがないか確認をして安全を確かめています。人間も、慣れたにおい以外の香りには過敏に反応するように、猫は自分の安全な空間をにおいによって確認しているということです。

フレーメン反応とマーキング

猫は、とてもテリトリーを大事にする動物です。自分のエリアやモノには、自分のにおいをつけてアピールします。例えば、おしっこをしてマーキングしたり、爪とぎをしたり。頬や頭をこすりつけるのも、縄張りを主張する意味が含まれています。

おしっこや、肉球、頬には、フェロモンが出ています。このフェロモンを、自分のテリトリーにつけることで、他の猫に縄張りを主張しているのです。猫のフレーメン反応は、こうした情報を読み取るためにも行われ、自分が安心できる場所なのかどうかを真面目に把握しようとしています。

猫がフレーメン反応で見せる表情は、クサイからではなかった

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これまで、猫に足のにおいを嗅がれてフレーメン反応を起こされると、「そんなにくさい?」と心配になっていた飼い主さんにとっては、今回の内容は安心できる材料になるのではないでしょうか。決して、クサイからあの表情が生まれるわけではなく、猫にとってはとても真面目に安心感を得ようとしたり、情報を得ようとしたりしている行動であることが分かりました。

ついつい見てしまう、猫のフレーメン反応。あまり頻繁に見ることができないものかもしれませんが、この理由やメカニズムが分かるとまた違った見方ができるでしょう。

著者情報

こば

小さな頃から保護された犬や猫を迎えて生活。現在は黒猫の「ジジ」に翻弄されながら、発見と感動の毎日を送っています。
実体験を振り返りつつ、飼い主さんの役に立つような情報を分かりやすく記事にすることを目標にしています。

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