猫の嗅覚は人間より優れている?猫の鼻が持つ役割や苦手なニオイとは?

犬の嗅覚が人間より優れているのはみなさんご存知かと思いますが、猫の嗅覚はどうでしょうか?犬や人間よりも優れていると思いますか?そこで今回は、猫の嗅覚について解説します。猫の鼻の役割や苦手なニオイについてもあわせてみていきましょう。 2021年12月10日作成

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猫の嗅覚は人間よりも優れているのでしょうか?動物の持つ能力を知りその役割やメカニズムについて詳しくなりましょう。

猫と人間はどちらの嗅覚が優れているのか

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動物の鼻腔内にある嗅上皮(きゅうじょうひ)とよばれる部分には、ニオイを感じ取るのに必要な嗅細胞が分布しています。

人間の嗅細胞が約2,000万個なのに対し、猫は約6,000万~6,500万個の嗅細胞を有しています。

そのため、猫は人間よりも嗅覚が優れており、人間が気付くことのできないかすかなニオイも察知できるのです。

猫は生後すぐに嗅覚が発達するため、目や耳が開いていない状態でもニオイによって母猫の乳首までたどり着くことができます。これも優れた嗅覚があってこその行動だといえるでしょう。

(※補足)
犬は嗅細胞を約7,000万~2億2,000万個ほど持っているとされ、猫よりもさらに嗅覚が発達した動物です。人間の嗅覚と比較するとニオイに対する感度は100万倍ともいわれています。

簡単に序列でまとめると「犬>猫>>>人間」というイメージになります。

猫の鼻はどんな役割をしているの? 

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猫の鼻が人間より優れていることはわかりました。
では猫の鼻はどのような役割を果たしているのでしょうか?

フェロモンを感知する

猫の上顎前歯の上部には鋤鼻器(じょびき:ヤコブソン器官)とよばれる嗅覚器官が備わっており、フェロモンをより感知できるようになっています。

また、発情している雌の性フェロモンを雄が鋤鼻器により感知すると、口を半分開けるような表情をすることがあり、そのしぐさを「フレーメン」といいます。

フェロモンは猫の体中にある臭腺から分泌されており、ナワバリや飼い主にこすりつけることで、自分のテリトリーを把握するという役割も果たしています。

細菌やウイルスの侵入を防ぐ

猫には人間のように鼻毛がありません。そのかわりに、線毛とよばれる細かい毛が無数に生えており、それらが細菌やウイルスが体に侵入するのを防いでいます。

温度を測ることができる

猫の鼻は温度を感知するのに優れているとされ、食べ物が熱いのか冷たいのかを口ではなく鼻で判断しているといわれています。

その精度はとても高く、0.5度ほどの違いでも感じ取ることができます。

コミュニケーションツール

猫同士が鼻をくっつけてあいさつしている様子を見たことはありませんか?
鼻をくっつける行動は、相手に対し「敵意はありません」という気持ちを伝えています。

また、相手のニオイを感知することにより、自分との立場の違い(優劣)などを確認しているともいわれています。

猫が嫌うニオイは?

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猫は鼻がよく効くことから、ニオイにとても敏感です。

その特性を逆手に取り、ニオイによって野良猫を遠ざける役割を果たす「忌避剤」が販売されているほど。

ニオイは猫の体調不良を誘発する原因となります。いくつか猫が嫌うニオイの例をご紹介しますので、愛猫の健康を守るためにも理解しておきましょう。

ハッカ

猫はハッカの持つスーッとしたニオイが苦手です。
猫除けとして活用している方もいると思いますが、ハッカには猫の体に有害な物質も含まれています。

ハッカ油に含まれている脂溶性化学物質を猫はうまく分解できません。そのため、ニオイだけでなく誤食によって体内に入ってしまうと、嘔吐などの症状をみせるほか肝機能障害を引き起こす可能性もあり大変危険です。

柑橘系

猫は柑橘系のニオイに含まれている酸っぱいニオイが苦手とされており、その理由としては腐敗した肉が放つ腐敗臭に似ているからだといわれています。

みかんなどを猫にあたえる際は果肉や果汁だけにし、猫にとって有害であるリモネンが含まれる皮部分は取り除きましょう。

ハーブ類

ローズマリーやラベンダーなどの香りが強いハーブ類を猫は嫌うため、野良猫対策として庭に植えているご家庭も多いです。

ラベンダーの香りは猫にとって害があるとされ、嗅ぎ続けることで肝臓や腎臓にダメージを受ける恐れがあるといわれています。

ニオイだけでなく、口にすることで中毒症状を引き起こす危険のあるハーブ類も存在するため、猫を飼っている家庭で栽培する際は注意が必要です。

洗剤

洗濯洗剤などに含まれている香料のニオイを猫は嫌います。
特にフローラル系のニオイが好きではないようで、香料に含まれる成分を嗅ぎ取り不快に感じるようです。

洗剤の種類や猫の個体による違いはあるでしょうが、愛猫が洗剤のニオイを嫌うようであれば、手の届かないところに収納するなどの対策をしましょう。

コーヒー

コーヒーの香りは人間にとってリラックス効果が期待できるものですが、猫にとっては不快に感じるニオイです。

また、コーヒーにはカフェインが多く含まれているため、猫が口にするとカフェイン中毒を起こす恐れがあります。

猫を室内で飼っている家庭も多いと思いますので、猫がコーヒーを口にしないよう気をつけましょう。

猫の鼻に起こりやすいトラブルは?

猫の鼻に起こりやすいトラブルにはどのようなものがあるでしょうか?
愛猫の健康チェックも兼ねて、このような症状が出ていないか確認してみましょう。

鼻水

猫の鼻は基本的に湿っていますが、それとは別に鼻水を垂らしている場合には、風邪や副鼻腔炎などの病気を発症している可能性があります。

鼻血

鼻血が出る原因には、鼻腔内の炎症やできもの、腫瘍などさまざまなものが考えられます。
そのため、愛猫が鼻血を出していたら速やかに動物病院で検査してもらいましょう。

愛猫の嗅覚を侮ってはいけません!

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猫は新しいフードに変えた直後など、ニオイを気にして口にしないことが多々あります。

それほどまでに嗅覚からの情報を大切にしているからこそ、猫を飼っている飼い主はニオイによる健康被害が発生しないような工夫が必要です。

人間にとってはちょっとしたニオイでも猫は敏感に感じ取りますので、愛猫の健康を考えたうえでニオイへの対策を講じていきましょう。

著者情報

U.SHOHEI

父親が犬のブリーダーをしていたこともあり子どもの頃から犬に囲まれた生活を送る。

現在は趣味の動物園・水族館めぐりから得た知識をもとに幅広く動物に関する記事の執筆をおこなっている。

得意な生物は、犬・猫・海洋生物・エキゾチックアニマル。

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