マムシが愛犬におよぼす咬傷(こうしょう)事故を知っていますか?
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マムシによって引き起こされる咬傷(こうしょう)事故を知っていますか?
マムシの生態や犬が咬まれてしまう原因を解説します。
マムシの生態
マムシは、全長45~65cmほどの毒ヘビです。
体色は個体によって違いがありますが、一般的なものだと、茶色系に少し暗みがかった斑紋がついているのが特徴です。
毒性が高く、ハブの2~3倍ほどにおよぶとされています。
マムシ自体はとてもおとなしい性格のヘビで、自分から攻撃をしかけることはほとんどありません。
しかし、外部からの刺激により攻撃性が増すことがあり、人間の場合だと年間で3,000件ほどマムシによる被害が報告されています。
犬がマムシに咬まれてしまう原因
犬がマムシに咬まれてしまう原因は、犬の行動にあります。
犬は散歩中など、マーキングや排泄をおこなうために、草むらへ出入りすることがよくありますよね。
その際たまたまマムシと遭遇してしまい、興味本位からにおいを嗅ごうと近づこうとし、鼻先や足先など、体の先端部分を中心に咬まれてしまうのです。
マムシ以外にも注意したい毒ヘビ
日本にはマムシ以外にも注意したい毒ヘビがいます。
マムシより強力な毒を持ったヘビもいるため、参考までにご紹介します。
(1) ハブ
奄美や沖縄など、温かい地域に生息しているヘビです。
頭のウロコがほかのヘビ類とくらべて細かいのが特徴で、高い毒性を持っています。
体長が2mを超える大きさに成長する個体もいます。
(2) ヤマカガシ
全国的に広く分布しています。
体長は120㎝ほどまで成長し、毒性はマムシの約4倍と言われています。
臆病な性格のため、マムシと同様にみずから攻撃してくることはあまりありません。
犬はマムシの毒に強いってホント?
犬はマムシの毒に強いとされていますが、実際にはどうなのでしょうか?
たしかに犬は、マムシに咬まれても死亡するケースが少ない動物です。
その理由として、犬の平均体温が約37.5度~39度ほどあることをあげている専門家もいます。
平均体温が高いことにより、マムシの毒が十分に機能しないという説です。
しかし、あくまで死亡するケースが少ないだけで、咬まれた際の傷口の数や毒の量によって、重大な後遺症や死亡するケースがあることを認識しなくてはなりません。
犬がマムシに遭遇しやすい場所とは
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マムシに遭遇しやすい時期や場所はあるのでしょうか?
対応策も合わせてご紹介します。
マムシと遭遇しやすいシチュエーション
マムシによる咬傷事故は夏~秋に多く発生します。その理由はマムシが行動する時期に関係しています。
マムシは夏頃に繁殖活動をはじめるため、5月~10月までの長期間にわたって行動する動物です。
目撃される場所は、水田や用水路、水気のある草むらや農道などが多く、夜間になると人が行ききする道路にまで出没するケースもあります。
マムシに咬まれないための対処方法
「犬を草むらにできるだけ近づけない」これが一番の対処法です。
マムシをはじめとする毒ヘビは、草むらなどあまり人が寄り付かないところに潜んでいます。
そのため、散歩の道中にマーキングや排泄をさせる際は、できるだけ草むらに近づけない、または事前に飼い主による目視での安全確認が求められます。
また、マムシは犬だけではなく人間に対しても咬みついてくる可能性があります。
人間は足首あたりを咬まれることが多いため、長靴を履いておくと咬まれるリスクを軽減できます。
マムシに咬まれると犬に現れる症状
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マムシに咬まれた際、どのような症状が現れるのかを知っておくだけで、その後の治療を迅速におこなえるメリットがあります。
マムシに咬まれた際の症状
マムシに咬まれてしまった際の症状の一例をご紹介します。
・咬まれたと疑われる場所に2カ所の出血点が見られる
・咬まれた箇所をかばうような仕草をみせる(足先を咬まれている場合は“足をあげる”など)
・咬まれたところを中心に腫れが広がる
・腫れた箇所が青紫や赤っぽく変色する
・皮膚や筋肉が壊死する
・食欲がなくなる
・傷口に触れると悲鳴をあげる
このほかにも、症状が進行し重症化すると、嘔吐や呼吸困難を発症する可能性もあります。
マムシに咬まれたときの応急処置は?
マムシに咬まれた際の応急処置には諸説あります。
応急処置がかえって逆効果につながる可能性もあるため、咬まれたことがわかったときは
「傷口を流水で洗う」「愛犬が動き回らないようにする(毒のめぐりを遅らせるため)」程度の処置にとどめるようにしましょう。
そのうえで、かかりつけ医や近くの動物病院へできるだけ早い受診を心がけてください。治療までに時間がかかってしまうと、腎不全などの病気を発症するリスクもあります。
愛犬をマムシの脅威から守るために
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あなたは犬の散歩中に歩きスマホなどしていませんか?
あなたが画面に集中しているほんの数秒の間に、愛犬がマムシなどの危険な生き物に近づいているかもしれません。
愛犬を守れるのは、ほかの誰でもなく飼い主であるあなた自身です。
「いつもと同じ散歩コースだから大丈夫」と思うのではなく、散歩中は愛犬から目を離さないように努めましょう。
著者情報
U.SHOHEI
父親が犬のブリーダーをしていたこともあり子どもの頃から犬に囲まれた生活を送る。
現在は趣味の動物園・水族館めぐりから得た知識をもとに幅広く動物に関する記事の執筆をおこなっている。
得意な生物は、犬・猫・海洋生物・エキゾチックアニマル。