犬・猫の高齢化が進んでいる
▲犬猫の高齢化が進んでいます。(出典:shutterstock.com)
人間社会では高齢化が進み、さまざまな社会問題が浮かび上がってきている今日ですが、犬・猫たちの世界でも年々、長寿命化が進んでいます。
一般社団法人「ペットフード協会」(東京都)の2017年の調査によると、飼い犬全体の平均寿命は14.19歳、飼い猫全体の平均寿命は15.33歳と、5年前の調査に比べると犬は0.25歳、猫は0.88歳、それぞれ延びていることがわかりました。
また、犬の58.9%、猫の44.7%が7歳以上の「シニア」に該当し、人間と同様、高齢化の進行が顕著であると言えます。
「高齢になると、さまざまな体のトラブルが現れます。飼い主さんは、犬・猫が7歳を迎え、シニアと呼ばれるようになった頃から、体調の変化に気をつけるようにするとよいでしょう。高齢化に伴って見られる変化として、【よく寝ている】【あまり動かない】【散歩に行きたがらない】【食事の量が減る】などが挙げられます。これらは、一般的な高齢化のサインでもある一方、こういった変化が病気の症状の一つだった、ということもありますので日頃から注意深く観察しましょう。」(下羽先生)
高齢になるにつれて現れる体の不調とは?
▲高齢になると現れるお口のトラブル。(出典:shutterstock.com)
犬や猫も高齢になると、人間と同じような症状や健康上のトラブルが現れます。
例えば歯周病や口内炎などのお口のトラブルです。歯周病が悪化すると、歯がぐらぐらしてきたり、口臭が強くなったり、頬が腫れ上がってしまうこともあります。歯周病の原因になる【歯石】には細菌が多く潜んでいることから、心臓、肝臓などの主要な臓器にも悪影響が及ぶこともあります。お口のトラブルというと、大したことがない印象があるかもしれませんが全身状態に関わる病気となり得るのです。
さらに、関節や足腰が弱くなることも多いでしょう。関節痛がある場合には、歩くことを嫌がるようになり、お散歩もままならなくなります。運動ができなくなると、体力が落ち、さらなる不調につながりかねないため、足腰のトラブルにも気をつけたいところ。犬猫にとっても、歩くだけで痛い、という状態は非常に辛いことですので、歩くことが少なくなった、散歩を嫌がるようになったら、動物病院で一度診察を受けましょう。
また、犬猫でも認知症の症状が現れることもあります。他にも、特に猫では、腎臓病の罹患率が増えたり、膀胱炎になりやすくなったりもします。
こういったさまざまな健康上のトラブルと並行して、免疫力の低下も大きな問題になります。
免疫とは、細菌やウイルスが体内に侵入しても、それに抵抗して打ち勝つ、体を健康に保つための防御システムです。人間では、20歳台で免疫力のピークを迎え、40歳台になると半減します。免疫力が下がるとともに、病気にかかりやすくなることから、高齢になるにつれて、感染症に罹ったり、内臓の病気や腫瘍ができる可能性も高くなります。
これは、犬や猫においても同じ。犬猫も人間と同様に、免疫力が低下することで、さまざまな病気にかかりやすくなります。
「免疫力が落ちると細菌感染への抵抗力が弱くなるので、ちょっとしたことでも重症化してしまったり、回復が難しいことも出てくるでしょう、そのため、免疫力を高めることは、シニア以降の犬・猫にとってとても大切なことなんです。」(下羽先生)
免疫力を高め、【免疫年齢】を若く保つことは、感染症にかかるリスクを減らすほか、病気の進行や治療後の再発を防ぐことにもつながることから、犬や猫が元気で長生きするための秘訣と言えるでしょう。
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UCHINOCO編集部
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