1. メディカルアロマテラピーとは
「メディカルアロマテラピー」とは、精油を使って、体そのものに作用させる治療法です。ヨーロッパでは、ペットだけでなく、医師が人間にも治療として施すこともあるといいます。
精油にはさまざまな種類があり、成分もそれぞれです。そのため、さまざまな症状に効果を発揮します。特に、皮膚のトラブル、筋肉痛や関節痛、消化器症状や呼吸器症状などを伴う感染症に有効です。また、術後ケアに使うこともでき、リラックス効果も期待できます。
アロマテラピーというと香りを嗅ぐイメージがありますが、それだけでなく、精油をクリーム状にしたものを直接塗り込んだり、または食用のオリーブオイルと混ぜて飲んだりすることで、症状の改善を促します。
2. 獣医師が選ぶオススメの精油
初めてメディカルアロマテラピーを行う際にオススメしたい精油を森先生にお聞きしました。初めての施術の際に参考にしてくださいね! ただし、犬猫には個体ごとに匂いの好き嫌いがあります。嫌がるようならば無理はせず、ペットが気に入る香りを使うことが大切です。
ラベンダー
「ラベンダーには、リラックス効果があります。また、皮膚の炎症を抑える効果もあるので、ローションなどにして炎症を起こしていたり、痒みのある箇所に塗ると良いでしょう。ローション状にすれば、耳のケアにも使えますよ!」(森先生)
ラベンダーローションの作り方
水100mlにラベンダーの精油3滴、乳化剤を混ぜる。
オレガノ/ティートゥリー
「ワンちゃんの感染症が気になる人にオススメなのが、『オレガノ』です。自然の抗生剤とも呼ばれています。ティートゥリーと合わせて、ワンちゃん、猫ちゃんに飲ませましょう。ただし、強めの精油なので、注意が必要です。ペットが嫌がるようでしたら、すぐに辞めましょう」(森先生)
オレガノ&ティートゥリー“自然の抗生剤”作り方
オリーブオイル5mlにオレガノ、ティートゥリーをそれぞれ2滴ずつ入れて混ぜる。小型犬ならば、小さじ半分ぐらいを舐めさせる。
3. ワンちゃんの嗅覚は大丈夫?
出典:https://www.shutterstock.com
犬は嗅覚が発達していると言われます。アロマのような強い香りがするものを嗅がせても問題ないのでしょうか?
「ワンちゃんは嗅覚が非常に発達していると言われていますが、人間とはそもそも匂いの感じ方が違うんです。
ワンちゃんは、遠くの匂いを感じることができたり、ちょっとの違いを嗅ぎ分ける能力はとても高いですが、匂いを強く感じるわけではありません。アロマの匂いも強い刺激があるというわけではありません。
もちろん、個体によって好きな匂いと嫌いな匂いがあります。そのため、嫌いな匂いであれば嫌がることもあります。しかし、逆に好きな匂いであれば好んで寄ってきます」(森先生)
4. 施術するにあたって注意したいこと
出典:https://www.shutterstock.com
では、メディカルアロマテラピーを行う上で、どんなことに気をつければ良いのでしょうか。
「ワンちゃん、猫ちゃんが匂いを嫌がった場合、無理に使わないということが大前提です。刺激が強い精油もあるので、無理は禁物です。
また、精油の品質はとても大事です。今は安価なものもたくさん販売されています。安いというだけで選ばず、品質で選びましょう。精油は、植物の成分のみで生成されたものを指しますが、品質が悪いと、化学物質が混入していたり、人工的なものが加わっている可能性もあります。それがペットに悪影響を及ぼすこともあります。必ず、成分や品質が保証されているものを購入しましょう」(森先生)
森 美幸
子供の頃から動物好きで、獣医師を目指し岐阜大学に進学。
念願の獣医師免許取得後、岐阜県・大阪府・兵庫県の動物病院に勤務。
診断業務に従事する中で、人とのコミュニケーションの共感を覚え、メディカルアロマアドバイザー、リンパリファインセラピストの資格を取得。
「やすらぎの森 ルーエ」を2014年に設立、ペットと飼い主さまのセラピーを提供。
現在、フリーランス獣医師として、東京都の動物病院にて診療。
また、しつけ教室、パピーパーティなども開催。
著者情報
UCHINOCO編集部
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