猫の鼻キスには一体どんな意味があるのでしょうか?また、愛猫と鼻キスをする際に気にかけたいポイントとはなんでしょうか?それぞれみていきましょう!
猫の鼻の特徴
猫の鼻腔内には、ニオイを感じ取る部位である嗅上皮(きゅうじょうひ)が人間の約2倍の面積で存在しています。そのため、人間が感じ取れない微細なニオイまで嗅ぎ分けることができます。
鼻キスをされたとき愛猫の鼻が濡れているのを感じ、「風邪でも引いたのかな…」と心配になる飼い主もいると思いますが、それは鼻腔内部からの分泌液による影響です。
ニオイの粒子には湿っているところにくっつきやすいという性質があるため、よりニオイを敏感に感じ取れるよう鼻が濡れています。
くしゃみや鼻水などの症状がなければ体調不良を心配しなくても大丈夫です。
猫が飼い主に鼻キスするのはどうして?
出典:https://www.shutterstock.com
猫が飼い主に鼻キスする理由はなんでしょうか?いくつかの説をみていきます。
愛情表現
飼い主に対して鼻キスをするのは愛情からくるものであり、みずからの気持ちを伝えるひとつの手段として行っている行動です。
鼻だけでなく指先や足などに鼻で触れてくることもあり、その際は構ってほしいサインとも考えられます。
時間が許すようであれば、撫でてあげるなどコミュニケーションを取るようにしましょう。
ニオイを嗅いでいる
飼い主が外から帰ってきた直後などに愛猫が鼻キスをしてくるのは、ニオイからさまざまな情報を得ようとしているためです。
先述したように猫の鼻はとても発達しています。そのため、いつもと違うニオイを感じ取ると、好奇心から近づいてくることがあります。
ほかの動物と触れ合ったときも愛猫はニオイですぐに察知しますので、ヤキモチを焼かせないよう気をつけてあげましょう。
なにかしらの要求をしている
「ご飯がほしい」「遊んでよ」「トイレを掃除して」など、飼い主へなにかしらの要求をする際に鼻キスをします。
猫の気分ですべての要求に応えていてはワガママな性格になってしまいます。そのため、1日のスケジュールを定め、「ご飯は〇時」「〇時になったらブラッシングする」など、計画をあらかじめ立てておくとよいでしょう。
マーキング
猫はニオイによってみずからのナワバリを示す動物です。それは飼い主に対しても例外ではなく、飼い主に自分のニオイをつけることでほかの動物をけん制しています。
猫が自分のニオイを分泌する臭腺と呼ばれる場所が体中にあり、顔のまわりにも側頭腺という部位が存在します。
鼻キスをする際に顔をすり寄せてくるようであれば、それはマーキング行動の一種として考えてもよいでしょう。
猫同士が鼻キスする理由は?
出典:https://www.shutterstock.com
飼い主だけでなく猫同士でも鼻キスをする場面がよくあります。
この章では猫同士が鼻キスする理由についてみていきます。
挨拶
猫は互いの体をすり寄せたり、しっぽを絡めたりして挨拶します。そのような挨拶の一種として鼻キスがあります。
猫同士が鼻キスをしていたら、「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」などの挨拶を交わしていると考えていいようです。
情報を得るため
先述したように、猫はニオイによって数多くの情報を得ています。
それは対猫であっても同じであり、自分に危害を加える相手なのかどうかを見極めています。
それ以外にも、ニオイから相手との序列を計っているとする説、みずからの立場を誇示しようとしているとする説など、ニオイに関する説は数多くあります。
愛猫に飼い主から鼻キスしてもいいの?
「飼い主のほうから愛猫に鼻キスをしてもいいのか?」という疑問がよく聞かれますが、結論からいうと猫の性格によります。
というのも、穏やかでおっとりとした性格の猫であれば、飼い主から鼻キスをしても動じません。しかし警戒心の強い性格の個体だと、恐怖心から咬みつきやひっかきなどの攻撃を仕掛けてくるかもしれません。
鼻キスはコミュニケーションの一環として有効ですが、愛猫が嫌がるようであれば無理に行うのは避けましょう。
猫からの鼻キスには注意が必要
出典:https://www.shutterstock.com
猫と鼻キスをする際、咬みつきやひっかかれるなどのトラブルが発生する可能性があり、それらは人獣共通感染症を引き起こす原因となりかねません。
そこでこの章では、鼻キスやその際に発生しやすいトラブルから引き起こされる可能性のある、人獣共通感染症についてみていきます。
猫ひっかき病
猫ひっかき病は、バルトネラ・ヘンセラという細菌によって引き起こされる人獣共通感染症です。
爪でひっかかれるまたは咬まれた際に発症し、人が感染すると疲労感やリンパ節の腫れなどの症状がみられます。
猫は感染しても症状があらわれないため、飼い主が発症してはじめて猫の感染状況を把握できることが多い病気です。
パスツレラ症
パスツレラ症は、パスツレラ・ムルトシダという細菌によって引き起こされる病気です。
ひっかかれる・咬まれる・食べ物の口移しなどが感染経路として考えられることから、鼻キスも感染の可能性がある行為だといえます。
感染した猫には目立った症状が出ません。しかし、高齢者や糖尿病の方が感染すると、肺炎・骨髄炎・敗血症などの発症リスクがありとても危険です。
猫にとって鼻キスは大切なコミュニケーションのひとつ
出典:https://www.shutterstock.com
鼻キスには、飼い主だけでなく猫同士でも活用されるさまざまな理由があります。その理由がわかれば、愛猫の行動の意味をより理解するきっかけとなってくれるはずです。
また、猫にとって鼻キスは飼い主とコミュニケーションを取る手段のひとつです。愛猫にひっかかれたりしないよう注意しながら、より良い関係を築くきっかけとして活用していきましょう。
著者情報
U.SHOHEI
父親が犬のブリーダーをしていたこともあり子どもの頃から犬に囲まれた生活を送る。
現在は趣味の動物園・水族館めぐりから得た知識をもとに幅広く動物に関する記事の執筆をおこなっている。
得意な生物は、犬・猫・海洋生物・エキゾチックアニマル。