猫は鼻炎になりやすい
そもそも、鼻炎とは「鼻粘膜に炎症が起こっている状態」のことを指します。鼻粘膜は、呼吸によって空気の出入りがある場所で、ウイルスなど体に悪い影響を及ぼす病原体にもさらされやすい場所です。私たちも、インフルエンザやコロナウイルス、花粉などから体を守るために、マスクをして防御しますよね。
鼻を通った空気は、気管や気管支を通って体内に運ばれていきます。そのため、鼻炎だけでなく、呼吸器に関する病気も関係してきます。猫は、犬に比べると鼻炎になりやすいとされており、それぞれの原因に応じた対策が必要です。
猫が鼻炎を起こしたときの主な症状
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「もしかして、鼻炎を起こしているのかな?」そう思ったときは、以下の症状があるか確認してみましょう。猫が鼻炎を起こしたときは、主に以下のような症状が見られます。
・くしゃみ、鼻水
・鼻づまり
・めやに
・涙があふれる
・口呼吸
悪化すると苦しい症状も
一般的には、初期症状としてくしゃみや鼻水が多いとされています。この時の鼻水は、まだサラサラとしてるかもしれません。また、鼻は鼻涙管という気管で目とつながっており、涙があふれたり、目やにが出ることもあります。
症状がすすむと、鼻が詰まってうまく呼吸ができず、口を開けて呼吸するようになったり、呼吸が苦しそうになります。見ている側もつらいですが、一番つらいのは猫自身です。こうならないように、早めに対処してあげることが大事です。原因にもよりますが、鼻水に膿が混じったり、出血が混じることもあります。
猫が鼻炎になる原因は?
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猫が鼻炎になる原因の多くは、感染症によるものだと言われています。しかし、なかには感染症ではなく環境がもたらすものもあるため、何が原因になるのかは簡単に判断ができません。あくまでも、以下は参考程度にして、詳しい原因は動物病院で診察などを受けて把握されることをおすすめします。
ウイルス性鼻炎
ウイルスが原因となって起こるものです。猫ヘルペスウイルスによる猫ウイルス性鼻気管炎は、猫インフルエンザあるいは猫ヘルペスウイルス感染症と呼ばれることもあります。症状としては、くしゃみや鼻水、発熱、食欲低下、角膜炎、結膜炎、皮膚炎、歯肉炎、口内炎などです。回復をしてもウイルスは体内にとどまるため、免疫力が低くならないように気を付けてあげる必要があります。
猫カリシウイルスによる猫カリシウイルス感染症は、口の中や舌に水泡や潰瘍ができるのが特徴です。そのため、よだれが出たり、口臭があったりすることも。肺炎や関節炎を起こすケースもあります。
真菌性鼻炎
クリプトコッカスなどの真菌(カビ)に感染し、起こる鼻炎が代表的です。クリプトコッカス症は、自然界のさまざまなところにある菌が、鼻水や目やに、鼻血、食欲低下、鼻のしこり、目の周囲の腫れなどを引き起こす病気です。もっと進行すると、意識障害や運動障害なども起こす病気ではありますが、免疫力のある健康的な猫であれば発症することはほとんどありません。
アレルギー性鼻炎
花粉、ハウスダスト、イエダニなどのアレルゲンを吸うことでアレルギーをおこし、鼻炎が症状として出ることもあります。また、皮膚の痒みを併発することも。人間と同様に、猫も花粉によって、季節によって症状が出るときと出ないときの差が見られることがあります。アレルゲンの検査は、動物病院で受けることが可能です。
特発性鼻炎
原因ははっきりと分からないときは、特発性鼻炎とされることもあるようです。アレルゲンや、鼻腔に常在する菌が関係しているとも考えられるものの、原因が特定できない場合はこのように言い表されるかもしれません。
その他
刺激性の薬品、煙、植物の種などの異物によって鼻腔が刺激され発症することも考えられます。また、鼻腔内に腫瘍があったり、歯周病が悪化して鼻腔に病気が広がったりして、鼻炎を起こす可能性もあります。
猫の鼻炎はどう対処するの?
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まず、猫が鼻炎にならないように、日頃からできる対策を行うことが大事です。
ワクチンを接種する
細菌による感染は、ワクチンで発症リスクを減らすことができます。定期的に動物病院を受診されることをおすすめします。
鼻炎になりにくい環境をつくる
まず、感染症にかかりやすい温度や湿度を保ちましょう。寒さや乾燥は感染症を起こしやすくなります。定期的に換気をして空気を入れ換え、適切な温度と湿度になるように工夫しましょう。
鼻炎を疑ったら病院へ
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もし、既に鼻炎が疑われる状態なら、治療が必要かもしれません。早めに獣医師にみてもらうことをおすすめします。鼻炎の場合、主に以下の方法で治療がすすむ場合が多いです。
薬を飲ませる
ウイルスや真菌、アレルギーによって鼻炎を起こしているときは、炎症を抑える薬や抗生物質、抗真菌薬といった薬が処方されるのが一般的です。内服期間はさまざまで、風邪症状の1つだった場合は数日で良くなることもありますが、継続的な薬の服用が必要なこともあります。特に、特発性鼻炎やアレルギー性鼻炎はすぐに効果が得られないケースもあり、慢性的に続くようなら薬を飲み続けた方が良いと判断される可能性もあります。
投薬以外の治療
原因によっては、外科的な治療を行うこともあります。例えば、腫瘍による鼻炎なら、腫瘍をとる手術、放射線治療、抗がん剤などで治療していくでしょう。異物が入って起こっている鼻炎は、異物の除去で症状は改善します。歯周病が関係している場合は、口腔内のトラブルに対処する治療となります。
猫が鼻炎を起こしているかも?と疑ったときは早めに受診を
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今回は、猫の鼻炎について、よくある原因や対処法、治療についてご紹介しました。鼻炎を起こす原因や発症している病気によっては、他の猫にうつるなどの二次的な問題ももたらします。もちろん、鼻炎に苦しんでいる猫をできるだけ早く楽にしてあげたいものです。
もし、鼻炎かな?と思われる症状に気がついたら、できるだけ早く動物病院を受診して、原因の特定や治療を始めてあげましょう。
著者情報
こば
小さな頃から保護された犬や猫を迎えて生活。現在は黒猫の「ジジ」に翻弄されながら、発見と感動の毎日を送っています。
実体験を振り返りつつ、飼い主さんの役に立つような情報を分かりやすく記事にすることを目標にしています。