拾い食いは愛犬の健康を大きく損なう要因となる恐れがあります。犬が拾い食いをする理由やしつけを知り、愛犬の健康を守ってあげましょう。
犬が拾い食いする理由
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犬が拾い食いしてしまう理由は、本能と言わざるを得ません。
犬は人間より優れた嗅覚や聴覚を持っていますが、興味の沸いた物を直接口に入れて確かめたいという本能が強くあります。
「道に落ちている物を口にするなんて信じられない」と人間が思ったとしても、犬からすれば普通のことなのです。
特に好奇心旺盛な時期である子犬期は、目に見えた物をなんでも口に入れようとします。そのため、一般的には子犬期の誤飲が多くなる傾向にあります。
※年齢を重ねるごとに誤飲の発生率は低下していきます。
人間にとって「どうして?」と思うことも、犬からすれば「当たり前」なのです。
ですから、犬の拾い食いを防ぐには、飼い主が時間をかけて教えてあげる必要があります。
拾い食いが犬にあたえる影響
拾い食いによって犬に発生する恐れがある影響は以下の3つです。
命の危険
詳しくは後述しますが、犬が口にしてはならない食べ物や物質は数多くあり、一時的に体調を崩すだけで済むものもあれば、命の危険につながることもあります。
愛犬の命を守れるのは飼い主さんだけなので、拾い食いの危険性をしっかりと認識しておきましょう。
体調不良
拾い食いによって、嘔吐や腹痛、血便などの体調不良が発生する場合があります。
飲み込んでしまった物次第では、内蔵を傷つけてしまい、大きな病気やケガの原因となってしまう可能性も否定できません。
寄生虫
寄生虫に感染している犬が食べた生ごみなどの残骸を、散歩の途中で口にしてしまうケースがあります。
これにより、寄生虫が体の中に入ってしまい、場合によっては治療が必要となるかもしれません。
寄生虫は、「駆除薬を飲ませているから安心」ではありません。日頃の行動や口にするものから感染する場合もあるため、飼い主さんは注意が必要です。
犬が口にすると危険な物
犬が拾い食いするのはなにも散歩中だけではありません。
自宅にいてもテーブルの下に落ちているものを拾い食いするケースがあります。
そこでこの章では、犬が口にすると危険な物を「自宅」と「散歩中」の2つの場面に分けてご紹介します。
≪犬が口にすると危険な物 ~自宅編~≫
・チョコレート
・コーヒー
・たまねぎ(ネギ類全般)
・マカダミアナッツ
・鳥の骨
・人間用の薬
・化粧品 など
これら人間がよく口にする、または利用する食品や物は、犬にとって中毒症状を引き起こす可能性があり危険です。少量でも愛犬が口にしないよう、食事の最中や片づけの際は注意しましょう。
≪犬が口にすると危険な物 ~散歩中編~≫
・石
・虫
・農薬(毒物)
・ガラス
・葉っぱ
・生ごみ
・焼き鳥のくし など
石や葉っぱはどこの散歩コースにも存在しているため、飼い主が気をつければ拾い食いを回避できます。しかし、焼き鳥のくしなどは、ニオイにつられて口に入れてしまうことが多いため特に注意が必要です。
また、農薬などの毒物は直接命に関わります。散歩コースに畑が多い場合は、落ちている物が何なのか飼い主がきちんと確認しましょう。
犬の拾い食い防止は環境整備からはじめる
犬の拾い食いを防止するには、しつけの前に環境を整えて上げる必要があります。
自宅の環境を整える
犬が口にしてはいけないものが自宅にもたくさんあります。
愛犬が拾い食いによって体調を崩してしまわぬよう、以下の例を参考に取り組んでみてください。
・キッチンの入り口をゲートで通れないようにする
・ゴミ箱は蓋がついたものを使用する
・犬の届くところに物を置かない
・食後はテーブルの下に物が落ちていないか確認する など
これらはすぐに取り組めるものばかりですから、気になったら試してみてください。
拾い食いの癖をつけさせない
犬に拾い食いの癖をつけさせないよう工夫することも大切です。
例として以下のような方法があります。
・人間用の食べ物を与えない(味をおぼえてしまうため)
・食卓や台所から離れたところで過ごさせる
・散歩時は道の中央付近を歩かせる など
拾い食いの癖をつけさせないためには、日頃から拾い食いのできる環境を減らすことが大切です。
犬の拾い食いはしつけで防止できる
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犬の拾い食いを防止するために必要なしつけの方法をご紹介します。
今回は散歩時に利用できる方法を解説しますので、愛犬との練習に役立ててください。
≪拾い食い ~しつけ方法~≫
① 犬がニオイを嗅ごうとしたら立ち止まる
犬が落ちている物のニオイを嗅ごうとしたら、立ち止まって様子をみる。
② 犬の頭が下がらないようリードでコントロールする
犬が拾い食いをしようとしたら、リードを上げて頭が地面に下がらないようにします。このとき、リードを上下リズミカルに動かすのも有効です。
③ その場から離れる
リードを緩めても犬が拾い食いの仕草をみせなくなったら、その場から離れます。
この①~③をすることで、犬は「これは食べてはいけないんだ」と認識します。
最初にお話ししたように、犬が拾い食いしようとするのは本能によるものです。ですから、口で注意してもあまり効果的ではありません。
そのため、今回ご紹介したリードコントロールによるしつけなどに取り組んでみましょう。
拾い食いの防止で愛犬の健康を守れる
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拾い食いは愛犬の健康を害すだけでなく、場合によっては命を危険にさらす恐れがあります。
愛犬が拾い食いをしないよう、自宅などの環境を整備する、しつけによって学ばせるなど、取り組めるものから工夫してください。
環境整備やしつけには時間や労力が必要ですが、根気よく取り組み、愛犬の健康と命を守ってあげましょう!
著者情報
U.SHOHEI
父親が犬のブリーダーをしていたこともあり子どもの頃から犬に囲まれた生活を送る。
現在は趣味の動物園・水族館めぐりから得た知識をもとに幅広く動物に関する記事の執筆をおこなっている。
得意な生物は、犬・猫・海洋生物・エキゾチックアニマル。