愛犬がくしゃみをしていても気に留める飼い主はほとんどいません。くしゃみの原因を解決し、愛犬が健康で過ごしやすい状態や環境を作ってあげましょう。
くしゃみには2つの種類がある
出典:https://www.shutterstock.com
くしゃみには、「通常のくしゃみ」と「逆くしゃみ」というものがあります。
くしゃみ(通常)
通常のくしゃみは、ホコリや花粉などの異物が鼻から入り込み、それらを取り除こうと体が反射的に行う行動です。
一時的に侵入した異物を取り除こうと発生するくしゃみに関しては、とくに心配する必要はありません。
しかし、くしゃみのなかには病気などを原因とするケースもあるため、強度や頻度によっては注意しなければいけません。
逆くしゃみ
通常のくしゃみが息を吐き出すのに対し、逆くしゃみは鼻から息を強く吸い込み続ける行動を指します。
逆くしゃみの状態となった犬からは、「ブーブー」と豚が鳴いたような呼吸音が聞こえます。そのため、はじめてこの音を聞いた飼い主もビックリする方が多いようです。
逆くしゃみのメカニズムは明らかになっておらず、鼻咽頭の粘膜が冷気や化学物質などの影響で刺激を受けることにより発生するのではないかと考えられています。
すべての犬種で逆くしゃみを起こす可能性はありますが、とく若年の小型犬や短頭種に発生しやすく、年齢とともに症状は減少していきます。
逆くしゃみ自体に害はなく、大抵は数十秒~1分程度で落ち着きます。そのことから、日頃の予防や動物病院における治療の必要はありません。
愛犬がくしゃみをする原因は?
出典:https://www.shutterstock.com
犬がくしゃみをする原因をいくつかご紹介します。
アレルギー
人間と同じように、犬もアレルギーによってくしゃみの症状があらわれます。
アレルギーの原因物質はさまざまで、ハウスダストや花粉など植物由来のものが代表的です。
ハウスダストの多い不衛生な環境下での飼育では、一年中くしゃみや鼻水といった症状を引き起こす恐れがあります。
また、植物由来のアレルギーは、花粉の散布が多くなる時期に頻発します。
病気
頻繁にくしゃみをする、長く続いている、というときは病気の可能性が考えられます。
病気が起因となるケースだと、くしゃみだけでなく鼻水(膿状)や鼻血などがみられる場合もあるため、その際はできるだけ速やかに獣医師の診察を受けましょう。
ニオイ
刺激の強いニオイを感じたときも、くしゃみを発する原因となります。
犬がニオイを感知する能力は、人間の1億倍ともいわれています。そのため、人間にとって問題のないニオイでも犬は強烈に感じているのです。
刺激の強いニオイの例として、香水・たばこ・香辛料・殺虫剤などがあります。ニオイだけでなく、口にすると犬の体に悪影響をあたえるものが多いため、犬の手が届かないところで保存しましょう。
また、部屋のニオイを軽減する方法として、窓を開けての定期的な換気、空気清浄機の活用などの対策を取るとよいでしょう。
くしゃみをともなう気になる病気とは
出典:https://www.shutterstock.com
くしゃみをともなう病気を数種類解説します。
愛犬の症状が類似しているようであれば、動物病院の受診を検討する際の目安としてください。
ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)
ケンネルコフは、いわゆる「犬の風邪」です。
犬アデノウイルスなどが原因となり、感染犬との接触や経口感染により発症します。
多頭飼育などによる高密度の環境で飼育されている犬は発症の危険が高く、ペットショップや繁殖場で広がりやすいのが特徴です。
症状として、くしゃみや短く乾いた咳、微熱などがみられます。食欲や元気の減退はみられず、通常であれば数日でおさまります。
高熱や膿状の鼻水がみられる場合は、肺炎などのリスクも考慮し、速やかに獣医師による治療が必要です。
鼻炎
鼻炎の原因は、アレルギー・ウイルス・細菌・刺激物・真菌など多岐にわたります。
主な症状としてくしゃみと鼻水があり、鼻づまりの影響で鼻涙管が詰まり、目やにが増加します。また、鼻づまりによって口呼吸をするようになるのも特徴です。
サラサラとした水のような鼻水の場合は、アレルギーやウイルスによる鼻炎の初期症状と考えられ、黄色や緑の粘着性のある鼻水が出ているときは、犬ジステンパーウイルスなどによるものを疑います。
歯周病
歯周病は歯垢に含まれる細菌が原因として発症する病気です。具体的には、細菌から出る毒素に対して、犬の体が防御反応を示すことにより歯周付近が炎症を起こします。
歯周病を放っておくと、口腔内で発生した炎症が徐々に鼻腔内に広がっていき、くしゃみなどの症状があらわれます。進行すると、くしゃみだけでなく鼻血などもみられるため注意が必要です。
症状が軽い場合であれば、口腔内のブラッシングによる歯垢除去や投薬によって改善が期待できます。
しかし、症状が進行すると全身麻酔による歯垢・歯石の除去や抜歯などの処置が必要となり、犬の体に大きな負担をかけてしまいます。
愛犬のくしゃみがひどいときの対処法
犬のくしゃみがひどいときは、鼻水・鼻血・咳など、別の症状がないかあわせて確認します。
くしゃみのみであれば短期間で改善する可能性もありますが、これらの別症状が出ている場合は、速やかに動物病院で診てもらいましょう。
とくに体力のない幼犬や老犬は症状の進行が早いため、いつもと違う様子がみられたら、かかりつけ医に対応を仰ぎましょう。
くしゃみの頻度から愛犬の健康を察知しましょう
出典:https://www.shutterstock.com
愛犬がくしゃみをしていてもあまり気にしないことが多いと思います。
しかし、くしゃみだけでなく、鼻水や鼻血などの症状が出ている場合には、愛犬の体調を注意深く観察してください。
大切な家族である愛犬に負担をかけることがないよう、日々の変化を感じ取れるようにしておきましょう。
著者情報
U.SHOHEI
父親が犬のブリーダーをしていたこともあり子どもの頃から犬に囲まれた生活を送る。
現在は趣味の動物園・水族館めぐりから得た知識をもとに幅広く動物に関する記事の執筆をおこなっている。
得意な生物は、犬・猫・海洋生物・エキゾチックアニマル。