「猫にチョコレートをあげてはいけない」というのはよく耳にしますが、どうしてでしょうか?チョコレートの摂取によって猫の身体に発生する影響を解説します。
猫にチョコレートを与えてはいけない理由
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猫にチョコレートを与えてはいけない大きな理由は、中毒症状を引き起こす「カフェイン」や「テオブロミン」という成分が含まれているからです。
カフェインやテオブロミンはチョコレートの原材料であるカカオに含まれており、スーパーやコンビニなどで市販されているチョコレート菓子にも広く使用されています。
人間はこれらの成分を体内でうまく分解できますが、猫や犬などの動物は分解するのが苦手です。そのため、長時間にわたって体内にカフェインやテオブロミンの成分が残り続けます。この影響により、摂取から数時間または1日ほどの時間をかけて中毒症状が引き起こされると考えられています。
読者のなかには「猫用チョコレートも販売されているけど大丈夫なの?」と疑問に思う方がいるでしょう。猫用チョコレートに関しては、猫が食べてもいいように、カフェインやテオブロミンなどの成分は含まれていません。チョコレートの原材料であるカカオを使わず、馬肉などでチョコを再現するなど、別の素材に置き換えていることが一般的です。不安であれば商品の裏面に記載されている原材料などを確認するようにしましょう。
チョコレートを食べてしまった猫にみられる症状は?
チョコレートを食べてしまった場合にみられる症状は以下のとおりです。
【チョコレートを誤食した際にみられる症状】
・異常な興奮状態
・ふらつき
・動悸
・不整脈
・嘔吐
・下痢
・発熱
・パンティング(ハアハアと息をすること)
・排尿障害
・筋肉の震え など
カフェインやテオブロミンは身体の中枢神経、心臓血管、腎臓、筋肉などに作用するため、上記にあげたような症状がみられます。
中毒が発生する恐れのあるカフェイン・テオブロミンの摂取量は、体重1kgあたり90~100mg前後だといわれています。
ただし、市販で販売されているチョコレートのなかには「カカオ●%」などの表記がなされた、通常よりカカオの含有量が多いものもあるため、摂取量の目安はあくまで参考として考えておくとよいでしょう。
愛猫がチョコレートを食べてしまった場合の対処法は?
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猫がチョコレートを食べてしまった場合には、すぐにかかりつけの獣医師による診察を受けましょう。
ネット上には「すぐに吐かせたほうがいい」などの記事も散見されますが、獣医学の知識がない素人が無理やり吐かせようとすると、窒息による呼吸困難などを引き起こす可能性がありとても危険です。そのため、動物病院へ速やかに連れていくことを考えてあげましょう。
動物病院に連れていく際は以下の点をしっかりと獣医師に伝えてください。
【獣医師に伝えたいポイント】
■チョコレートの種類
食べてしまったチョコレート菓子のパッケージなどを持参する
■どのくらい食べてしまったか
どれくらいの量を誤食してしまったのかおおよそで良いので伝える
■いつ食べてしまったのか
誤食してからどの程度時間が経っているのかを伝える
■どのような症状が出ているか
発生している体調不良について伝える
これらのポイントをできるだけ正確に伝えることで、獣医者は症状の進行具合を推測できます。治療方針を定めるうえで重要な情報になるためしっかりと共有しましょう。
チョコレートの誤食を予防するために飼い主ができること
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愛猫がチョコレートを誤食しないよう、飼い主が事前にできる予防策をご紹介します。
どれもすぐに実行できるものばかりなので、ぜひ実生活に取り入れてみてください。
人間の食べ物を与えない
人間の食べ物を与えないという方法も誤食を予防するのに適しています。頻繫に人間が口にするものをもらっている猫は、どんな食べ物に対しても興味を示すようになります。その影響で誤食や誤飲につながるケースもあるため、日頃から与えているという飼い主さんは注意しましょう。
蓋のついたゴミ箱を準備する
たまたま倒してしまったゴミ箱からチョコレートを誤食する場合もあります。そのため、倒れてもゴミが散乱しない蓋のついたゴミ箱を設置しましょう。
買い物袋などは猫の手が届かないところに置く
買い物から帰宅したら猫の手が届かないところに買い物袋を置きます。買い物袋で遊んでいる際に誤食するケースもあるため、「食べ物は冷蔵庫にすぐしまう」「手の届かない棚のなかに入れる」などの対策を講じましょう。
バレンタインデーでも猫にはチョコを与えないで!
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今回は「猫にチョコレートをあげてはいけない理由」について解説しました。
大好きな愛猫にバレンタインチョコをプレゼントしたい飼い主さんの気持ちはわかりますが、好きだからこそ体調不良を引き起こす可能性が高いチョコレートをあげるのはやめましょう。
チョコレートによる中毒症状は猫にとって大きな負担となります。これからも愛猫と楽しく生活していくためにも、誤食が発生しないような環境づくりと、食べてしまった際の対処方法をしっかりと理解しておきましょう!
著者情報
U.SHOHEI
父親が犬のブリーダーをしていたこともあり子どもの頃から犬に囲まれた生活を送る。
現在は趣味の動物園・水族館めぐりから得た知識をもとに幅広く動物に関する記事の執筆をおこなっている。
得意な生物は、犬・猫・海洋生物・エキゾチックアニマル。