犬が飼い主と目をあわせる理由を知っていますか?また、反対に目をそらす理由はなんでしょうか?愛犬の気持ちを理解し何を訴えているのか考えてみましょう。
犬が飼い主と目をあわせようとする理由
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犬が飼い主と目をあわせようとする理由として、これらの説が考えられています。
愛犬のアイコンタクトに秘められた気持ちを理解するのに役立ててください。
愛情表現
飼い主に対して深い愛情と信頼を持った犬は、アイコンタクトでその気持ちを伝えようとします。
このとき、愛犬がしっぽを振っていたり、口角が少しあがっていたりするのであれば、飼い主に対する愛情を表現していると考えてよいでしょう。
緊張状態
飼い主に怒られたあとなどに目をあわせてくることがあります。これは、「つぎはなにをされるのだろう…」と犬が緊張状態にあることを示しています。
長時間に渡って叱るのは愛犬のストレスになるため、いたずらなどの問題行動を起こしたときは、行動後できるだけ早く・短く叱るようにしましょう。
敵意の表れ
犬が攻撃的な感情になっているときも目をあわせてきます。
これは犬同士のケンカなどでみられる行動であり、相手に対する敵意のあらわれと考えられます。
牙をむき出しにしている、しっぽをブンブン振っている(興奮状態)、低くうなり声をあげている、などの行動があわせてみられたら注意が必要です。
愛犬がこの状態にあるときは、急に手を出さず興奮状態が落ち着くのを待ちましょう。
飼い主への要求
飼い主に対して何かしらを要求する際も目をあわせてきます。
例えば、ご飯が食べたい、遊んでほしい、散歩に行きたい、などが考えられます。
愛犬の様子や普段の生活スタイルを考慮したうえで、どのような要求をしているか予想してみるとよいでしょう。
体調不良
犬は本来、体調不良になると暗く狭い場所でじっと回復を待つ動物です。しかし、なかには自らの体調不良を飼い主に訴えてくる犬もいます。
普段の健康な状態をきちんと観察できていれば、愛犬の体調不良にもすぐ気づくことができます。
愛犬の様子が少しでも変だと感じたら、いつも以上に注意深く観察し、必要に応じてかかりつけの獣医師に診てもらいましょう。
愛犬と目をあわせると飼い主にもいい影響がある
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犬と飼い主がアイコンタクトを取ることで、双方に良い影響をあたえることが近年の研究で明らかになりました。
幸せホルモン「オキシトシン」とは
オキシトシンは、安心を得たときに分泌されるホルモンであり、別名「幸せホルモン」と呼ばれています。
2015年、麻布大学の研究によって、飼い主と犬が目線をあわせることにより、互いのオキシトシン分泌量が増加することがわかりました。
これまでの研究では、人間の親子間における互いのオキシトシン分泌量の増加は確認されていたものの、動物としての種が異なる人間と犬の関係でも同様の結果が出るとわかったのは初めてのことでした。
このことから、人間(飼い主)と犬との間には、人間の親子に似た愛情や関係性が存在していると考えられています。
犬以外の動物にも同様の結果が出るのかわかりませんが、私たち人間が動物(ペット)と触れ合うことでストレスが軽減されていると感じるのは、きっとこのオキシトシンの影響によるものではないでしょうか。
愛犬が目をあわせてくれない理由は?
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犬が飼い主と目をあわせる理由についてはいくつか解説しました。では、逆に目をあわせてくれない理由はなんでしょうか?
先にお話しすると、愛犬が目をあわせてくれなくても、多くの場合それは嫌われているためではありませんので安心してください。
気持ちを落ち着かせるため
犬は自分の気持ちを落ち着かせる方法として、目線をそらすという行動を取ります。
例えば、興奮状態にある犬を飼い主が叱ったあと、目線をそらすしぐさをみせることがよくあります。
愛犬がこのような状況で目線をそらしていたら、優しく撫でてあげるなど、よりリラックスできる状態にしてあげましょう。
敵意がないことを示すため
先述しましたが、犬が相手と視線をあわせるのは、攻撃性の高まりを意味しています。これは人間だけでなく、ほかの犬に対しても同様です。
そのため、目をあわせないようにしている場合は、相手に対して敵意がなく、「私はあなたに攻撃しませんよ」と示しています。
犬同士のケンカ直後など、負けた側の犬が相手と目をあわせないのはこのためです。
怒られていると感じているため
犬は怒られていると感じると目線をそらす仕草をみせます。
例えば、いたずらをした愛犬をあなたが叱っているときを想像してください。その際、犬の目線はどうなっているでしょうか?おそらく多くの犬が目線をそらしているはずです。
このとき犬は飼い主に怒られている状態から脱却するため、「もう怒らないでよ」と目線をそらすことで伝えています。
いたずらに対して叱りたい気持ちもわかりますが、愛犬が委縮しない程度に留めたしつけをしましょう。
苦手なことを避けるため
犬は苦手なことを避けたいと感じているときにも目をそらします。例えば、動物病院での診察、爪切りやシャンプー、などがあげられます。
苦手なことをする際は目をそらすだけでなく、ソワソワ動き回るなど全体的に落ち着きがなくなりますから、愛犬が少しでもリラックスできるよう配慮してあげましょう。
アイコンタクトで愛犬との関係を良好にしましょう
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犬が目をあわせてくる理由を知れば、愛犬の気持ちを理解するきっかけにもなります。
言葉で伝えられないからこそ、目をあわせることで気持ちを伝えようとする犬たちの姿を想像すると、いままで以上に愛おしく感じませんか?
これからも愛犬と目線をあわせ、オキシトシンによる幸せ効果を互いに感じられる良い関係を築いていきましょう!
著者情報
U.SHOHEI
父親が犬のブリーダーをしていたこともあり子どもの頃から犬に囲まれた生活を送る。
現在は趣味の動物園・水族館めぐりから得た知識をもとに幅広く動物に関する記事の執筆をおこなっている。
得意な生物は、犬・猫・海洋生物・エキゾチックアニマル。