引っ越しは犬のストレスを高める原因となるものです。そのため、事前の準備をきちんと行い、愛犬のストレスを極力減らす工夫をしましょう。
犬は引っ越しのストレスを受ける動物
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野生動物には季節にあわせて住処を移動する種もおり、それに伴って縄張りなどを変えながら生活しています。そのため、環境が多少変化しても自力である程度対応できます。
その一方で、犬や猫などの愛玩動物は人間とともに生活するなかで、自宅=自分の縄張り、つまり「安心できる場所」と認識するようになりました。
犬にとっての引っ越しとは、自分の縄張り(安心できる場所)から強制的に移動させられることを指します。
はじめて見る景色や聞く音に人間でもストレスを感じる方が多いですが、それは犬も同様です。ですから、引っ越しが愛犬に大きなストレスをかける恐れがあることを忘れてはいけません。
犬がみせる引っ越しによるストレスサイン
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犬がみせる引っ越しによるストレスサインをご紹介します。
愛犬にこのような行動が見られたら、ストレスが溜まっているかもしれませんので注意しましょう。
体調不良
引っ越し直後などに特に発生しやすいのが体調不良です。
環境の急激な変化によって生じやすく、下痢や嘔吐などの症状がよく見られます。
通常は環境に適応するにつれて症状が緩和していきますが、引っ越し後しばらくしても、嘔吐や下痢の回数が多い場合は、獣医師の診察を受けるようにしましょう。
ソワソワしている
犬が新居のなかをグルグル回ってソワソワしている場合も、新しい環境にまだ適応できておらずストレスを感じていることを表します。
前の家で犬が休憩していた場所をできるだけ再現することで、犬にかかるストレスも軽減できます。
愛犬が普段から愛用しているベッドや毛布などがあれば、それらを新しい寝床に設置して安心できる場所だと認識してもらいましょう。
留守番を任せられなくなった
留守番ができなくなるのも、引っ越しによるストレスが原因だといわれています。
犬が留守番できない理由としてよくあげられるのが「分離不安症」によるものです。
分離不安症とは、飼い主が少し見えなくなるだけで、悲鳴に近い鳴き声をあげる、自傷行為や家具を破壊する行動を取るなどの症状のことです。
分離不安症の多くは、子犬期における社会化が不十分だったことが原因といわれています。そのため、前の家で留守番がきちんとできていた犬であれば、新しい家でも問題なく生活できると思われがちです。ですが、引っ越しによる環境の大きな変化は、成犬であっても飼い主の不在に恐怖を感じてしまうものです。
引っ越し後に愛犬が留守番できなくなった際は、分離不安症の可能性を疑いましょう。
眠りが浅くなった
夜中の徘徊が多くなった、夜鳴きを頻繁にするなど、ストレスによって愛犬の眠りが浅くなる場合もあります。
新しい家に来たばかりの犬は緊張状態にあります。そのため、かすかな気配や音に敏感です。
夜中は頼りになる飼い主も寝てしまうため、極度の不安から睡眠が浅くなってしまうようです。
愛犬が落ち着いて寝られるよう、お気に入りのぬいぐるみなどを寝床に入れおくとよいでしょう。
引っ越しの前が重要!犬のストレスを軽減する方法
愛犬の引っ越しに伴うストレスを軽減する方法をいくつかご紹介します。
ケージやキャリーケースに慣れさせる
引っ越しの際、犬を安全に運ぶためにはケージやキャリーケースに入れるのが適切です。安心できる場所として認識させるためにも、事前に慣れさせましょう。
引っ越し以外にも、自然災害などで避難が必要な場合があるため、ケージやキャリーケースに慣れさせる練習はとても大切です。
車での移動に慣れさせる
犬とともに引っ越しする場合、車で移動することが多くなると思います。日常的に車での移動に慣れさせておくことで、移動に伴う愛犬のストレスを軽減できます。
車に犬を乗せる際は、ケージなどをシートベルトで動かないよう固定するなど、愛犬の安全に配慮しましょう。
動物病院を探しておく
新しい環境によるストレスで愛犬が体調を崩す恐れがあります。これまで通っていた動物病院へ行ける範囲であればよいのですが、そうでない場合は動物病院を探しておく必要があります。
かかりつけの動物病院に相談するとこれまでの病歴などを資料として提供してくれるケースもあるため、一度相談してみるとよいでしょう。
引っ越し直後は一緒にいる時間を多く作る
引っ越し直後は愛犬と一緒にいる時間を普段より多く作ります。そうすることで、愛犬をリラックスさせ不安な気持ちを和らげられます。
引っ越しによる生活リズムの変化を犬は敏感に感じ取るため、愛犬の様子を見ながらスキンシップやコミュニケーションを計りましょう。
忘れないで!犬にも住所変更が必要
引っ越しの際、新住所の市区町村に住民票を移す必要がありますが、それは人間だけでなく犬も同様です。
飼い主は自治体に犬の登録をする義務があります。そのため、転出先ですでに受け取っている鑑札を持参したうえで、新しい自治体に犬の住所を変更する旨の届け出をします。
自治体によっては手続きができる窓口が、役所・保健所など異なっているため、引っ越しの前に確認しておくとよいでしょう。
愛犬のストレスを考えて引っ越しの準備をしましょう
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引っ越しは人間だけでなく犬にも大きなストレスがかかります。ですから、愛犬にかかるストレスを軽減する工夫が飼い主には求められます。
新しい環境で愛犬とともに楽しく生活していくためにも、愛犬が放つストレスサインを見逃さないようにしましょう!
著者情報
U.SHOHEI
父親が犬のブリーダーをしていたこともあり子どもの頃から犬に囲まれた生活を送る。
現在は趣味の動物園・水族館めぐりから得た知識をもとに幅広く動物に関する記事の執筆をおこなっている。
得意な生物は、犬・猫・海洋生物・エキゾチックアニマル。