犬の分離不安症って何?寂しがり屋の犬は心の病気の可能性も?

留守番中によく吠えて、飼い主の帰宅時に尻尾をブンブン振って喜ぶ犬を見ると「うちの犬は寂しがり屋なんだ」と感じる人もいるでしょう。
しかし、それはもしかしたら分離不安症という心の病気かもしれません。
この記事では、犬の分離不安症の原因や症状、対処方法についてご説明します。 2021年10月24日作成

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犬の分離不安症の原因

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まずは、犬の分離不安症の原因について見ていきましょう。
原因を知ることで、しっかりと対策ができるようになるはずです。

ストレス

犬の分離不安症は、ストレスが原因で発症することがあります。
ストレスといってもさまざまで、主に飼い主とのコミュニケーション不足や運動不足が挙げられるでしょう。
飼い主と過ごす時間が短いため、留守番をすると不安になり分離不安症になってしまうのです。

留守番中に恐怖を感じた

犬が留守番を極度に嫌がるのは、留守番中に恐怖を感じた経験があるからでしょう。
例えば、落雷や地震などが挙げられます。
それらの恐怖経験をしたことによって、「飼い主がいなくなったらまた同じことが起こるかも…」と不安になってしまうのでしょう。

飼い主とのコミュニケーションの取りすぎ

飼い主とのコミュニケーションが不足すると分離不安になると先述しましたが、逆にコミュニケーションを取りすぎても分離不安症を発症することがあります。
家にいるときは、いつでもどこでも、何をするにしても犬といっしょに過ごしている人は、注意が必要です。
飼い主がいなくなって犬がひとりで留守番になると、犬はパニックになってしまいます。
それが、分離不安症の症状である問題行動に繋がるのです。

また最近では、在宅勤務やテレワークの普及により、家にいる時間が長くなったという方も多いのではないでしょうか。
外出自粛などの影響もあり、飼い主と愛犬の接する時間が以前よりも長くなっているでしょう。たまの用事で飼い主が外出した際に、犬がその変化にも驚くようになってしまい、不安を感じてしまうことがあるようです。

加齢

犬は加齢により、分離不安症を発症してしまうことがあります。
これは、視力や聴力の低下により、飼い主が側にいなければ不安になってしまうことが主な原因です。

病気

分離不安症は、脳や神経の病気が原因である可能性が考えられます。
ただし、この場合は分離不安症ではなく、別の病気の場合があるのです。
症状が分離不安症に似ているだけなので、しっかりと検査して治療する必要があるでしょう。

犬の分離不安症の症状

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次に、犬の分離不安症の症状をご紹介します。
寂しがり屋だと思っていた犬にこれらの症状が見られた場合には、分離不安症を疑う必要があるでしょう。

問題行動

犬の分離不安症の主な症状としては、問題行動が挙げられます。
飼い主の留守番中にずっと吠え続けていたり、家具や家電を破壊したりすることがあるでしょう。
また、普段は粗相をしない犬でも飼い主の留守番中には粗相をしてしまいます。
留守番中の出来事なので判断がしにくいですが、飼い主が留守にするたびにこれらの問題行動が見られるようであれば、犬の分離不安症を疑う必要があるでしょう。
もしも明確に分離不安症だと判断したいのであれば、ペットカメラを設置して様子を見ることをおすすめします。
犬の分離不安症は、飼い主から離れて30分前後がもっとも大きい症状が見られます。

体調不良

犬の分離不安症の症状は、問題行動だけではありません。
体調不良も、分離不安症の症状として挙げられます。
下痢や嘔吐などの症状は、ストレスが原因となっていることが多いでしょう。
私たち人間も、強いストレスを感じると下痢になることがあります。
それと同じように、犬も分離不安症による強いストレスから、体調不良になってしまうのでしょう。

また、不安な気持ちを紛らわせようと足を舐めたり噛んだりすることもあります。
「ちゃんと留守番できるように」という気持ちで置いておいたドッグフードにも手を付けていないのであれば、犬はあまりの不安で食欲不振となっていたことが疑われるでしょう。

犬の分離不安症の対処方法

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最後に、犬の分離不安症の対処方法をご紹介します。
正しい対処をしなければ、犬の分離不安症が悪化してしまうこともあるため、注意しなければなりません。

ひとりで過ごす練習をする

犬の分離不安症を改善するには、犬に独り立ちしてもらう必要があります。
「飼い主がいなくても心配はない」と感じてもらうように、ひとりで過ごす練習をさせましょう。
はじめのうちは10秒程度でよいので、部屋のドアを閉めて犬をひとりにさせます。
その後は徐々に時間を延ばしていき、犬がひとりでいても問題はないことを理解してもらいましょう。

ちなみに、これはしつけではないので、ひとりで過ごせたからといっても褒めたりご褒美をあげたりする必要はありません。
飼い主としては、平然とした対応をすることが大切です。

犬のことを気にかけすぎない

分離不安症になりやすい犬として挙げられるのは、外出時や帰宅時に飼い主から声をかけてもらう犬です。
「行ってきます!いい子にしてるんだよ?」や「ただいま!いい子にしてた?」など、犬を家族同然として考える人には当然の行為といえます。
しかし、これこそが犬を分離不安症にしてしまっているのです。
そのため、犬のことを気にかけすぎないことが大切です。
外出時は犬に声をかけずに、帰宅時にも上着を脱いで手洗い、うがいをして部屋着に着替えてから犬に声をかけましょう。
そうすることで、犬は「飼い主は自分がいなくても平気そうだ」と、共依存のような状態から抜け出すことが期待できます。

おもちゃや飼い主のにおいがついたものを置いておく

留守番中の犬が寂しくならないように、おもちゃや飼い主のにおいがついたものを置いておくのもおすすめです。
しかし、これは分離不安症の根本的な解決には繋がります。
また、誤飲に繋がる可能性があるため、小さめのおもちゃやボタンの付いた服などを置くのは避けましょう。

犬と飼い主の程よい距離感が大切

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犬によって寂しがり屋であることはありますが、犬の分離不安症の原因のほとんどは飼い主にあると言ってもいいでしょう。 長時間の留守番をさせて飼い主とのコミュニケーションが少ない、飼い主とのコミュニケーションが多すぎるなど、飼い主の犬との接し方を見直してみましょう。

分離不安症は、命に関わるようなことではないかもしれませんが、犬にとっては精神的にも肉体的にも大きな負担となります。 そのため、1日でも早い対処をして犬の分離不安症を改善させてあげる必要があるでしょう。

著者情報

けんぴ

若い頃はドッグトレーナーとして、警察犬の訓練やドッグスポーツなどを行う。
それらの経験を活かし、ペット系ライターとして活動中。
現在はすっかり猫派となる。
好きな犬種・猫種はボーダーコリーとノルウェージャンフォレストキャット。

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