犬が飼い主にくっついてくる理由はなんでしょうか?愛犬があなたに抱いている感情を理解し、愛犬の心をより汲み取ってあげるヒントにしましょう!
犬が飼い主に体をくっつけてくる理由
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犬が飼い主に体をくっつけてくる理由にはどのようなものがあるでしょうか?
愛犬の様子を思い浮かべながら考えてみましょう。
信頼の証
犬が飼い主に体をくっつけるのは、飼い主を信頼している証拠です。
犬は信頼している相手に体を預けるようにして休む習性があり、野生下では、群れのボスを中心に仲間同士でくっついて休息を取ります。
飼い犬の場合、飼い主を群れのボスと認識しているため、飼い主の近くが安心できるスペースとなります。
そのことから、愛犬があなたに体をくっつけてくるのは、群れのボスとして信頼し、自分の身を預けられる存在と認めている証拠だといえるのです。
愛犬があなたに体をくっつけて休むようであれば、それは心からの信頼を示した行動だと受け取ってよいでしょう。
体調不良を訴えている
犬は本来、体調不良におちいると、なるべく体を動かさないようにジッとする習性があります。
しかし、飼い犬など人間の近くで生活している犬は、みずからの体調不良を訴える手段として、飼い主に体をくっつけてくる場合があります。
普段あまり体を寄せてこない愛犬が急にこのような行動を取ったときは、体に異変がないか確認し様子をみるようにしましょう。
異変を感じたら、かかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。
分離不安症による症状
犬が飼い主にくっついてくる理由には、分離不安症の症状が影響しているケースもあります。
分離不安症とは、飼い主の姿が一瞬でも見えなくなると無駄吠えや破壊行為などの異常行動を取ってしまう心の病気です。
母犬や兄弟から早い段階で引き離されてしまい、人やほかの動物との適切な距離感(社会性)を学べなかった個体、長時間ひとりぼっちで過ごすことの多い個体などに発症しやすいとされています。
分離不安症の治療は症状の強度によってことなり、軽度であれば、飼い主の不在を当然のことだと犬に認識させるトレーニングを積み重ねることで改善を試みるのが一般的です。
しかし、自らの体を傷つける自傷行為や、家具などを壊す破壊行為がひどいケースだと、投薬による治療を施す場合もあります。
犬がくっつけてくることの多い体の部位は?
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犬が飼い主にくっつけてくることの多い体の部位をご紹介します。
くっつけてくる部位によって、犬の心理状態が異なりますので、それぞれどのような意味があるのか理解しておきましょう。
① 顎
犬が飼い主に顎をくっつけてくる(乗せる)のは、リラックスしている状態を表します。
顎をくっつけている間は、そのほかの体の部分は無防備となり、野生下では大変危険な状態です。
このことから、犬が飼い主に顎をくっつけてくるのは、体を預けてリラックスしても大丈夫な存在として飼い主を認識しているからだと考えられています。
② 脚
犬が脚をくっつけてくる(乗せる)のは、「自分のほうが偉いんだぞ!」という地位の主張を表しています。
一見すると、そのかわいらしい姿から、飼い主も気に留めることはありません。
しかし、この行動を許してしまうと犬が発する地位の主張を容認したことになります。
愛犬と適切な関係を築くためにも、愛犬があなたの体に脚を乗せてきたときは、すぐに振り払うようにしましょう。
③ お尻やしっぽ
犬がお尻やしっぽを飼い主の体にくっつけるのは、飼い主を信頼しきっている証拠です。
本来動物は、死角となる体の後方部をほかの動物に見せないように生活します。
なぜなら、後方からの攻撃によって負傷することは、野生下において命の危険を意味するからです。
そのため、死角となる体の後方部、お尻やしっぽをくっつけてくるというのは、飼い主を信頼できる相手として認めている証拠だといえます。
④ 体全体
犬が体全体をくっつけてくる場合があり、これをマウンティングと呼びます。
マウンティングは、雄犬が行う生殖行動と酷似した行動のことです。
ですが、マウンティング自体は犬の性別を問わず行われる行動であるため、雌犬も同様に行います。
犬がマウンティングするのは、飼い主に対して自分の立場を主張するためだとされています。
そのため、膝の上に脚を乗せてきたときと同じように、マウンティング行動を愛犬が行ったら、すぐに振り払うようにしましょう。
愛犬が離れていってしまうのはなぜ?
愛犬がくっついてくる理由はわかりました。では、逆に離れていってしまうのはなぜでしょうか?
理由として考えられているものをいくつかご紹介します。
① 安心しているから
犬が飼い主から離れていく理由として、「安心しているから」というものがあります。
野生下の犬は、力の強いボスの群れに属していると、群れから少し離れたところでも休息を取るそうです。
これは、「強いボスに守られている」という安心感からくるものとされ、飼い犬の場合は、強いボス=飼い主ということになります。
そのため、愛犬があなたの近くから離れたところで休んでいても、それは安心からくる行動ですから心配はいりません。
② 自立心が強い
自立心が強い犬であれば、飼い主から少し離れたところで休息を取ることがあります。
子犬時は飼い主にベッタリだったが、成長するにつれて離れるようになったなど、犬の成長とともに顕著となるケースもあります。
人間と同じように犬も一頭ごとに性格が違うため、愛犬の性格を見極めたうえで適切な距離感を確保してあげましょう。
③ 病気やケガの痛みを和らげようとしている
犬は病気やケガによって体調が優れない場合、寝床などの安心できる場所でジッと体を休め、ひとりで痛みを和らげようとします。
いつもはよく近づいてくる愛犬が急に離れたところでジッとしているようであれば、体調が思わしくない可能性があります。
病気やケガは早期発見が重要ですから、愛犬の様子から違和感を覚えたら、動物病院で診てもらいましょう。
愛犬が体をくっつけてくるのはあなたが大好きな証拠!
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犬が飼い主に体をくっつけてくる大きな理由は、飼い主を心から大好きだからです。
愛犬の愛情表現のひとつとして、体をくっつけてきたときは、優しく撫でてあげるとよいでしょう。
あなたと愛犬がこれまで以上に信頼しあえる関係になることを願っています。
著者情報
U.SHOHEI
父親が犬のブリーダーをしていたこともあり子どもの頃から犬に囲まれた生活を送る。
現在は趣味の動物園・水族館めぐりから得た知識をもとに幅広く動物に関する記事の執筆をおこなっている。
得意な生物は、犬・猫・海洋生物・エキゾチックアニマル。