犬の擬人化とは?愛犬を人間のように扱うのは間違っているの?

突然ですが、愛犬をかわいがり過ぎるあまり、人間のように接している飼い主さんはいませんか?もちろん愛犬も大切な家族の一員ですが、度を超えた擬人化は犬にとってもよくありません。そこで今回は、「犬の擬人化」に焦点をあて解説します。愛犬との接し方を考える参考にしてください。 2023年07月30日作成

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犬を擬人化すると発生する問題にはどのようなものがあるのでしょうか?具体例をいくつかご紹介しますので、愛犬に当てはまるものがないかチェックしてください。

「犬を擬人化」とはどういう意味なのか

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そもそも擬人化とは、人間ではない対象を人間のように扱うことです。そのことから、犬を擬人化するとは、「犬を人間のように扱うこと」をあらわす言葉です。

例をあげると、人間の子どもと接するように赤ちゃん言葉を使う、飼い主と犬との関係を親子のように考えて接するなどがあります。

もちろん、このような行動や接し方が間違っているとはいえません。しかしながら、過度な擬人化は犬の健全な育成にとってよくありません。

犬を擬人化することで発生する問題については後述します。愛犬の状態や接し方がそれらに該当していないか確認してみてください。

人間が犬を擬人化する理由

人間(飼い主)が犬を擬人化する理由として考えられるのが、「愛犬に対する深すぎる愛情」です。いうまでもありませんが、愛犬を大切に思う気持ちはとても素敵なことです。

とはいえ度を超えてしまうと、「愛犬のためには〇〇が必要だ!」などのように、犬を飼育するうえで本来は不要な物や事柄に対して過度な反応を示すようになります。

愛犬がかわいいという気持ちは理解できます。しかし、甘やかしすぎると愛犬にとってもよくありませんので、適度な距離感を持つことが大切だといえるでしょう。

「アニマルライツ」と「アニマルウェルフェア」の違いとは?

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犬の擬人化についてご説明したところで、つぎは「動物と人間の関係」について唱えられている2つの考え方をご紹介します。

犬の擬人化と直接的な関係はありませんが、動物への接し方やそれに付随する考え方として主流なものです。ぜひこの機会に知っておきましょう。

アニマルライツ

アニマルライツは「動物の権利」と訳すことができ、『すべての動物は人間と同じように生きる権利を有している』とする考え方です。

イギリスの哲学者である、ジェレミー・ベンサムが提唱した「功利主義」がその基礎となっています。

「動物も痛みや苦しみを感じるのだから、人間と同じように権利を有している」との主張から生まれた考え方であり、人が動物を利用することに対して否定的な立場の主張です。そのため、家畜動物などの利用についても容認していません。

アニマルウェルフェア 

アニマルウェルフェアは「動物の福祉」と訳することができ、「動物が持つ本来の姿に照らし合わせ、身体的・行動的・精神的な欲求を満たす必要がある」とする考え方です。

人間による動物の飼養や利用を容認する立場の主張であるため、動物の利用に否定的なアニマルライツと比べると緩やかだといえます。

もともとアニマルウェルフェア(動物の福祉)は、実験動物や産業動物のひどい取り扱いを改善するために考えられたものでしたが、現在では愛玩動物(ペット)などを含む動物と人間の関係を説く主張のひとつとなっています。

アニマルライツ・アニマルウェルフェアどちらが正しいの?

アニマルライツ・アニマルウェルフェアの議論をする時、「どちらが正しい考え方なの?」と疑問に思う方もいると思います。

結論からいうと、これらは動物と人間との関係を示した概念の話であるため、人によってどちらが正解なのかは異なってきます。

つまり、どちらかが絶対的に正しいというものではありません。自身の考え方に近いほうをより深く学ぶとよいでしょう。

≪補足≫
アニマルライツ・アニマルウェルフェアともに「動物を大切にしたい」という気持ちは同じです。自身と違う考えを持っているからといって、別の意見を持つ相手を一方的に非難するようなことはやめましょう。

犬を擬人化することの問題点

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犬を擬人化することで発生する問題にはどのようなものがあるのでしょうか?いくつか例をあげてご紹介します。

わがままな性格になりやすい

犬を子どものようにかわいがるあまり、悪いことをしても注意しない飼い主がいます。そうすると、犬は「なにをしても怒られない」と考えるようになるため、わがままな性格に育ってしまいます。

飼い主やその家族に対してわがままなのであればまだマシです。しかし、ほかの人間や犬に対してもやりたい放題な態度を取るようになるのは考え物です。

愛犬のことを思うのであれば、飼い主としてしつけが必要であることを理解しましょう。

人間の食べ物を与えすぎてしまう 

飼い主が食事をしている最中など、愛犬が物欲しそうに見つめてくる場面がありますよね?

そんなとき、愛犬を不憫に思った飼い主さんのなかには、人間の食べ物を与えすぎてしまう方もいます。

人間が口にする食品には大量の塩分や糖分が含まれているケースが多いため、犬の健康を害する恐れがあります。

また、チョコレートやネギ類、ナッツ類など、犬が口にすると中毒症状を引き起こす食品も数多くあることから、人間の食べ物を犬に与えるのは基本的にNGです。

愛犬のために与えた食べ物が命を危険にさらすかもしれません。人間と犬とでは体の構造がまったく違いますので、過度な擬人化は避けるべきでしょう。

過度な擬人化は愛犬の生活を不自由にする恐れがある

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今回は「犬の擬人化」について解説しました。

何度もいいますが、愛犬を大切にするのはとても素敵なことです。

しかし、過度な擬人化は愛犬が健やかに成長する、または生活するうえで、まれに足かせとなるケースがあります。

人間と犬では動物としての種が異なります。そのことから考えると、「人間と全く同じように接する」というのは正しいといえるのでしょうか?

みなさんはどうお感じになりますか?愛犬との距離感や接し方など、自身がこれまでどうしてきたかぜひこの機会に思い返してみてくださいね。

著者情報

U.SHOHEI

父親が犬のブリーダーをしていたこともあり子どもの頃から犬に囲まれた生活を送る。

現在は趣味の動物園・水族館めぐりから得た知識をもとに幅広く動物に関する記事の執筆をおこなっている。

得意な生物は、犬・猫・海洋生物・エキゾチックアニマル。

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