【犬の伸び】犬が伸び(背伸び)をする理由とそこに隠された病気の可能性

ふとした瞬間に犬がみせる伸びのポーズ。あなたの愛犬もお昼寝の直後などによくやっていませんか?犬がよく行うこの伸びのポーズですが、実はストレッチ以外の理由もあるとされています。そこで今回は、犬が伸び(背伸び)をする理由について解説します。 2023年01月15日作成

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犬が取る伸びのポーズにはどのような意味があるのでしょうか。犬の気持ちを理解するひとつの指標にもなりますので、ぜひこの機会に知っておきましょう。

犬が行う「伸び」とは? 

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犬が行う伸びとは、前脚を伸ばして前かがみになったうえで、お尻を天にむかって突き上げている状態のことです。

その姿が祈りをささげているように見えることから、「祈りのポーズ」とも呼ばれています。
※そのほかにも「お辞儀ポーズ」と呼ぶこともあります。

犬が伸びをする理由

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犬が伸びをする理由には以下のような説があります。

  • ストレッチをしている
  • 飼い主やほかの犬を遊びに誘っている
  • 相手に対して敵意を表している
  • 不安な気持ちを抱いている
  • 体調が悪い

これら5つの項目について解説します。

ストレッチをしている

お昼寝から目覚めた犬がよく伸びをしている姿を見かけます。このような場合であれば、体をストレッチさせる目的から伸びを行っていると考えられます。

人間も背伸びをして体の張りをほぐすように、犬も同様の目的から伸びをしているようです。

飼い主やほかの犬を遊びに誘っている

飼い主や仲の良い犬を遊びに誘う際も伸びのポーズをします。このような犬の行動は「プレイバウ」と呼ばれており、伸びのポーズ以外にも、表情が明るい・尻尾をリズミカルにブンブン振っているなどの行動がみられます。

相手に対する敵意を表している

相手に対する敵意をむき出しにしているときも伸びのポーズを取ります。伸びのポーズ以外にも、「ウー」と低い唸り声をあげている、牙をみせて威嚇しているなどの行動があれば、敵意からくるものだと認識してよいでしょう。

このときの犬は攻撃的になっているので、急に触れると噛まれたり引っかかれたりする恐れがあります。普段から一緒に生活している愛犬でも、落ち着くまでは極力触らないようにしてください。

ストレスを軽減しようとしている

犬はストレスがかかると、伸びのポーズを行って軽減させようとします。このような行動を一般的に「カーミングシグナル」と呼び、伸び以外にも、あくびをする・体をかく・背中を向ける、などもカーミングシグナルの一種だと考えられています。

ただし、ストレスからくる伸びのポーズなのかを判別するのはとても難しいです。そのため、頻繁に伸びのポーズをしている、カーミングシグナルに該当するほかの行動を取っているなど、さまざまな要因を総合的にみて判断する必要があります。

体調が悪い

犬は体調が悪いと伸びのポーズを取って体を休めようとします。とくにお腹の調子が悪いときにみられる行動であるため、愛犬が頻繫に伸びのポーズをしているようであれば、体調不良の可能性を考えてあげましょう。

犬の伸びから考えられる注意すべき病気

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犬が伸びのポーズを頻繁にしているようであれば、お腹の病気を患っているかもしれません。この章では、注意すべきお腹の病気について解説します。

膵炎(すいえん)

膵炎とは、膵臓の消化酵素が何らかの理由で活性化されることにより、膵臓自体が自己消化を引き起こし、膵臓に炎症ができてしまう病気です。

偏った食事や肥満などの生活習慣やウイルスや感染症によるものなど、発症する原因はさまざまです。

食欲不振や嘔吐、下痢、腹部の痛みなどの症状がみられ、ひどくなると血を含んだ嘔吐をすることがあります。

胃捻転(いねんてん)

胃捻転とは、何かしらの理由で胃が時計回りにねじれてしまう病気のことです。胃のなかにガスと液体がたまって膨らんでいる状態のため、血液循環の悪化やショック症状を引き起こす可能性があります。

ストレスや加齢、一度に大量のエサを食べる、食後の過度な運動などが原因として考えられています。

お腹の張りや異常なよだれ、吐こうとするが吐けない、呼吸が荒くなるなどの症状がみられ、症状が出てからの進行がとても早い病気のひとつです。そのため、胃捻転の疑いがある場合には、速やかに獣医師による適切な処置が求められます。

胃腸炎

胃腸炎とは胃や腸に炎症が起きる病気のことです。原因はさまざまですが、ストレスや細菌によるものなどが考えられます。

嘔吐や下痢、食欲不振、血便などの症状がみられます。免疫力の低い子犬の場合、低血糖や脱水によって命を落とす危険性があるため迅速な処置が必要です。

誤飲

病気ではありませんが、誤飲もお腹の調子を悪くする原因のひとつです。

ネギ類やチョコレートなど犬が中毒症状を引き起こす食べ物だけでなく、ビニールやペットボトルの蓋といった、犬がおもちゃにしやすい物も誤飲する可能性があります。

誤飲による症状としては、嘔吐・下痢・食欲不振・よだれが大量に出る・血便などがあり、場合によっては腸閉塞や窒息といった命の危険をともなう事態に発展します。

誤飲の可能性がある場合には、飼い主みずから吐かせようとせず、速やかに動物病院での診察を受けましょう。

「伸び」は愛犬の体調や気持ちを確認できるサインのひとつです

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今回は犬が伸びをする理由を解説しました。伸びのポーズは、お昼寝あとのストレッチとしてだけでなく、ときには病気のサインにもなります。

病気が原因であれば、伸びのポーズ以外にも何かしらの体調不良がみられると思いますので、愛犬の様子を日頃からよく観察してあげましょう。

また、犬の気持ちを推測するサインとしても伸びのポーズは有効だと考えられています。もし愛犬が伸びのポーズをみせていたら、何らかの気持ちをあなたに伝えようとしているはずです。

あなたと愛犬がより良い関係性を築くきっかけのひとつとして、ぜひ“伸びのポーズ”からくみ取れる愛犬の気持ちに寄り添ってあげてくださいね。

著者情報

U.SHOHEI

父親が犬のブリーダーをしていたこともあり子どもの頃から犬に囲まれた生活を送る。

現在は趣味の動物園・水族館めぐりから得た知識をもとに幅広く動物に関する記事の執筆をおこなっている。

得意な生物は、犬・猫・海洋生物・エキゾチックアニマル。

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