犬が気持ちを伝えようとする行動にはどのようなものがあるのでしょうか?愛犬が日頃から取っている行動やしぐさを思い浮かべてみましょう。
犬の気持ちを知る方法【しっぽ編】
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犬の気持ちを知る方法として、「しっぽ」の動きを観察する方法があります。
犬のしっぽには、方向転換する際にバランスを取る、犬同士のコミュニケーションに活用するなど、さまざまな役割があります。
① 小刻みにはやく振る
犬がしっぽを小刻みにはやく振っているときは、機嫌が良い合図です。
飼い主さんと一緒にいるときや、お気に入りのおもちゃで遊んでいるときなどにみられます。
しっぽだけでなく体全体で揺れているときは、犬の喜びが爆発し興奮している状態です。
噛みつかれる可能性もあるため、様子を見ながら接するようにしましょう。
② 腰を落として少しだけしっぽを振る
腰を低くしてしっぽを振るのは、相手に対する敬愛の証だといわれています。
このほかにも、服従や緊張など、恐怖を表す場合もあるとされています。
犬の置かれた状況や個体差による違いがありますので、愛犬の様子をよく観察したうえで気持ちを想像するようにしましょう。
③ しっぽをピンと立てる
犬がしっぽをピンと立てるしぐさは、警戒を表しています。
初対面の人やほかの犬に対して行うことが多く、しっぽの先だけを小刻みに早く動かすようであれば、警戒度が高まっている証拠です。
犬が警戒心を解くまで待つようにしましょう。
④ しっぽを脚の間にはさむ
犬がしっぽを脚の間にはさむしぐさは、過度な恐怖や降参を表しています。
犬同士の喧嘩や飼い主に怒られた後などに見られ、「降参するから許してください」と伝えています。
犬の気持ちを知る方法【耳編】
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犬の気持ちを知る方法として、「耳の動き」も欠かすことはできません。
犬は耳介筋(じかいきん)と呼ばれる耳の筋肉が人間より発達しており、耳を多様に動かすことができます。
そのため、耳は音をキャッチするレーダーとしての役割を果たす一方で、感情を想像する際の指標としても有用なのです。
また、犬の聴覚は人間の4~5倍ほどとされており、人間が聴き取ることのできない、2万ヘルツ以上の超音波をキャッチできます。
① 耳をピンと立てる
犬が耳をピンと立てるのは、大きな音に驚いたときや、聞こえてきた音に興味を持った際に取るしぐさです。
大きな音や動物の鳴き声など、犬の興味をそそる音が聞こえてくると、その音を聞き漏らさないようにしているようです。
視線も音の聞こえた方向へ向けていることが多く、犬が集中している状態を表すしぐさだといえます。
② 耳をうしろに寝かせる
犬が耳をうしろに寝かせているときは、恐怖や服従を表しています。
この際、歯を抜き出しにして顔や鼻にシワを寄せているようであれば、恐怖心から攻撃に転じようとしているサインです。
さらにうなり声をあげているような場合は、近づくと噛みつかれる危険性があるため、干渉せずそっとしておきましょう。
③ 耳を前後に出し入れする
犬が耳を前後に出し入れ(倒す・戻すを交互に繰り返す)しているときは、この後どうしようかと考えているときです。
「次はなにで遊ぼうかな~」など、犬が考え事をしているときに見られるしぐさですから、愛犬の思考を知るひとつのヒントになるでしょう。
犬の気持ちを知る方法【鳴き声編】
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犬の発する鳴き声もまた、犬の気持ちを知るひとつの目安です。
犬はほかの野生動物と比較すると、非常によく吠える動物といえます。
その理由として、警察犬や牧羊犬など、声によるコミュニケーションを必要とする使役犬として活用できるよう、人間により改良されてきた歴史があるためです。
飼い主さんに対するコミュニケーション方法として鳴き声をあげるのも、人間と犬が歩んできた歴史の流れを汲んでいるといえるでしょう。
①「ワン!」
犬が「ワン!」と鳴くときの感情にはいくつかの説があり、以下のようなものがあります。
【犬が「ワン!」と鳴く理由】
・挨拶
・報告(「誰か来たよ!」などを知らせている)
・相槌(「何?」などの相槌を打っている)
・抗議(低いトーンで複数回に渡って鳴く場合)
犬の状況によって鳴き声の意味は変化するため、ひとつの目安として活用するようにしましょう。
②「キュンキュン」「キューン」
犬が「キュンキュン」または「キューン」と鳴き声をあげるときは、甘えている証拠です。
愛犬がこのような鳴き方をしているときは、「もっと遊んでよ!」「もっと撫でてよ!」という合図かもしれません。
時間があるようでしたら、可能な範囲で遊んであげましょう。
③「ウーッ」
犬が低い声で「ウーッ」と声をあげているときは、攻撃的な状態であることを表します。
怒りの感情を出した犬は、しっぽや耳の動きも普段と異なりますので、それぞれの部位を注意深く観察するようにしてください。
一方、おもちゃで遊んでいるときにこのような声をあげる犬もいます。この場合の「ウーッ」は怒りの感情ではなく興奮を表すと考えられます。
犬の気持ちを知るには普段の行動をよく観察する必要がある
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愛犬の気持ちを知る手段として、行動やしぐさから観察する方法はとても有効です。
しかし、犬の置かれた状況や個体差、飼育環境によって、感情表現が異なる場合も十分にあります。そのため、愛犬の性格などの特徴を踏まえたうえでの推測が必要となります。
また、普段と異なった行動やしぐさをみせるときは、愛犬の体調が思わしくない可能性も考えられますから、よく観察したうえで、かかりつけの獣医師へ相談しましょう。
愛犬がみせる日頃の行動やしぐさをよく観察し、気持ちが理解できるようになれば、より愛犬との距離も近いものとなっていくでしょう。
著者情報
U.SHOHEI
父親が犬のブリーダーをしていたこともあり子どもの頃から犬に囲まれた生活を送る。
現在は趣味の動物園・水族館めぐりから得た知識をもとに幅広く動物に関する記事の執筆をおこなっている。
得意な生物は、犬・猫・海洋生物・エキゾチックアニマル。