犬が唸り声をあげるのには相応の理由があります。愛犬が何を考えているのか知る方法のひとつとして、唸り声の原因を理解しておきましょう。
犬が唸る理由をまず考える必要がある
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愛犬が急に唸り声をあげると、「うるさいな」「ビックリした」と飼い主は思ってしまいます。しかし、犬が声を荒らげるという行為は、何かを飼い主に伝えようとしている証拠です。
これまで犬の無駄吠えなどをしつけで改善する方法が多く紹介されてきました。ですが近年では、犬に無駄吠えというものはなく、「気持ちを伝えるために吠えている」というのが通説となっています。
もしかすると、愛犬が唸り声をあげる姿をみて苛立ちを抱く飼い主もいるかもしれません。しかしそれは、あなたへ自分の想いを伝えようと必死になっている姿なのです。
愛犬が唸り声をあげ始めたら、なぜそのような行動を取っているのか、まずはその理由を考えてあげるようにしてください。
犬が唸り声をあげる理由は?
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犬が唸り声をあげる理由にはどんなものがあるでしょうか?
状況や性格を考慮したうえで、愛犬の気持ちを考察してみましょう。
ナワバリ意識
犬はみずからのナワバリが侵されたと感じると唸り声をあげます。
初対面の人物に対して唸ることが多く、自宅や飼い主さんを自身のナワバリだと思っている犬にとって部外者は外敵でしかありません。
そのほかにも、お気に入りのおもちゃを取り上げられたときなどにも唸ることがあり、これは自身の所有物を取られたことに起因しています。
警戒心
初対面の人物や場所に行くと、警戒心から唸る犬がいます。
犬はニオイや音などの感覚に優れた動物であるため、人間以上に環境の変化に敏感です。
子犬のときから人に慣れさせたり、ドッグランなど自宅以外の場所に連れて行くなど、外の世界をほどよく体験させることで極端な警戒心を抱かなくなります。
恐怖心
犬同士のケンカや飼い主から叱られたときなど、恐怖心から唸り声をあげる犬がいます。
いたずらをした犬を叱っている最中に唸り声をあげるようであれば、それは飼い主に対する恐怖心を表しているかもしれません。
犬への叱り方を見直すなど、愛犬が恐怖を抱かせない工夫が必要です。
興奮状態
遊んでいる最中などに愛犬が唸る場合は、興奮状態であることを示しています。
引っ張り合いなどの遊びをしていると唸ることがありますが、それは「嬉しい!」「楽しい!」などの感情からみられる行動です。
怒っているわけでないため、少し時間を置けば普段の様子に戻るはずです。
体の痛み
体に痛みがある場合にも、唸り声をあげる犬がいます。
大人しい愛犬が急に唸り声をあげるようになったのであれば、病気やケガなどによるものかもしれません。
目視できるケガがある場合、または嘔吐や下痢などの体調不良がみられるようであれば、速やかに動物病院を受診しましょう。
欲求を叶えるため
飼い主に対して、「ご飯がほしい」「遊んでほしい」などの欲求を訴える際にも唸り声をあげる犬がいます。
犬は人間のように話せないため、吠えることで自分の気持ちを伝えようとします。
しかし、愛犬が唸り声をあげるたびに構っていると、「鳴けば構ってくれるんだ」と間違った認識を植え付ける原因となり注意が必要です。
愛犬をわがままな性格にしないためにも、決まった時間にご飯をあげる、都合の悪いときは無視するなど、生活のペースをルーティン化してみましょう。
優位性を示そうとしている
飼い主のことを自分より立場が下だと犬が考えている場合に唸り声をあげるといわれています。つまり、人間と犬との間に上下関係があるという説です。
犬が飼い主に示す優位性行動の代表例がマウンティングとよばれる行為であり、交尾行動に似た仕草をするのが特徴です。
マウンティング行動をされたときは、すぐに振り払うようにし、癖がつかないようしつける必要があります。
人間と犬との間にある上下関係説については、近年の研究によって否定的な見解が多いですが、犬が何らかの理由で優位性を示そうとしているのは事実なようです。
唸り癖を放っておくとどうなるの?
唸り癖を放っておくと、飼い主やその家族だけでなく、ほかの人間や動物に対しても過度な唸り声をあげるようになってしまいます。
例えば、散歩中にほかの犬と出くわしただけで大きな声で唸り声をあげる、来客に対し威嚇的に唸るなど、さまざまなトラブルに発展する恐れがあります。
そのため、唸り癖のある犬を飼っている飼い主は、少しでも早い時期からしつけによる改善を図るようにしましょう。
犬の唸り癖の改善には社会性を覚えさせることが大切
犬が唸り声をあげる大きな要因として「社会性の欠如」が考えられます。
社会性とは、犬が人間やほかの動物とうまく生活していくうえで必要とされるものであり、本来であれば子犬期に母犬や兄弟たちとの生活の中で学ぶものです。
社会性が乏しい犬は過度な警戒心や臆病な性格を持った個体になりやすいとされ、それが唸り声の頻度にも少なからず影響していると思われます。
そのため、子犬期から飼い主やその家族以外の人間・動物に触れ合う機会を増やし、愛犬に外の世界を体験させるようにしましょう。
愛犬が唸り声をあげる理由を考えてあげましょう
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犬が唸る理由にはさまざまなものがあります。単に遊んでほしいなどの要求であればかわいらしいものですが、飼い主以外に対する敵意を表した唸り声などは考え物です。
愛犬に唸り癖があるという飼い主は、なぜ唸り声をあげているのかその理由を一度考えてみましょう。
愛犬の気持ちが理解できれば、おのずと唸り癖への対応策も検討できるはずです。他人やほかの動物に迷惑をかける前に、飼い主としてできる対策を講じていきましょう!
著者情報
U.SHOHEI
父親が犬のブリーダーをしていたこともあり子どもの頃から犬に囲まれた生活を送る。
現在は趣味の動物園・水族館めぐりから得た知識をもとに幅広く動物に関する記事の執筆をおこなっている。
得意な生物は、犬・猫・海洋生物・エキゾチックアニマル。