猫のしっぽの動きから気持ちを理解することができるのでしょうか?猫のしっぽが持つ役割と動きから愛猫の気持ちを想像してみましょう!
猫のしっぽの構造について
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猫のしっぽは4~26本の尾椎(しっぽの骨)によって構成されています。
なぜこれほどまでに尾椎の本数に差が出るのかというと、猫の個体によってしっぽの長短が異なるためです。
本来の猫は長いしっぽが特徴的な動物です。
しかし、日本を含むアジア地域に生息する猫の多くが、短いしっぽや折れ曲がったしっぽ(鍵しっぽ)を持つ個体といわれています。
その理由として考えられているのが、昔はしっぽの長い猫を不吉な存在として嫌う傾向にあったためだとされており、日本では昭和初期までそのような風潮が根強く残っていました。
猫のしっぽはどんな役割をしているの?
猫のしっぽには大切な役割が4つあります。
① コミュニケーションツール
猫のしっぽはコミュニケーションを取るためのツールとして活用されます。
ほかの猫と交流を持つときはもちろん、しっぽの動きを通して飼い主へみずからの気持ちを伝える手段としても使っています。
② マーキング
猫のしっぽ周辺には臭腺と呼ばれるにおいを発する器官があります。
そのため、しっぽやその周辺をすり付けることで、みずからのナワバリを主張しています。
飼い主に対してしっぽをすり寄せてくるのは、飼い主をみずからの所有物であると主張するためだと考えられます。
③ 防寒
猫のしっぽは防寒の役割を持ちます。
寒い季節に猫がみずからのしっぽを抱くようにして寝るのは、マフラーや毛布のようにしっぽを活用して暖を取るためです。
猫は寒がりですから、しっぽを抱くような様子をみせたら、室温の調整をしてあげてください。
④ 体のバランス調整
猫は高いところに登るのが好きな動物であるため、不安定な姿勢や場所でもスムーズに行動できるよう、しっぽで体のバランスを調整しています。
しっぽの動きからわかる猫の気持ち
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猫の感情を知ることができる特徴的なしっぽの動きをご紹介します。
飼育環境やそのときの状況、個体による違いはあるでしょうが、ふだん愛猫がみせるしっぽの動きと照らし合わせてみてください。
① しっぽを膨らませる
猫がしっぽを膨らませるのは怒っている証拠です。
ほかの猫と喧嘩しているときや、知らない人と対峙するときによくみられます。
この際、「シャー」と鳴き声をあげていたら攻撃性が高まっている証拠なので、刺激しないように心がけてください。
また、しっぽを膨らませながら直立させている場合は、攻撃心と恐怖心が共存し混乱している状態をあらわしています。
② しっぽを丸める
猫がしっぽを丸めるのは恐怖心が高まっているからです。
猫同士のケンカや飼い主に怒られているときなど、恐怖心が強くなるとしっぽを丸め股の間に入れるような素振りをみせます。
愛猫がおびえているようであれば、優しく撫でてあげるなどして、緊張をほぐしてあげてください。
③ しっぽをブンブン振る
猫がしっぽをブンブン振るのは、興奮や不快感をあらわしています。
例として考えられるのが、おもちゃで遊んでいて興奮している、嫌いな相手(猫)に遭遇して不快感をしめしている、などがあげられます。
猫の置かれている状況によって意味が変化するため、しっぽの動きだけでなく状況も加味しながら観察しましょう。
④ しっぽを直立させる
猫がしっぽを直立させているときは、相手に対する友好をあらわしています。
飼い主に甘える際や猫同士のスキンシップでもみられ、同時に甘えた声で「ニャン」と鳴き声をあげている場面もよく見かけます。
このしっぽの動きは、子猫が母猫にお尻を刺激され排泄していたころの名残からきていると考えられており、成猫になったあともよくみられる特徴的な動きです。
⑤ しっぽの先端を動かす
猫がしっぽの先端を動かすのは、何かに集中しているときです。
考え事をしていたり、気になる対象を観察しているときなどにみられます。
特に用がないのであれば邪魔しないようにしてあげてください。
⑥ しっぽを体に巻き付ける
猫がしっぽを体に巻き付けるのは、リラックスしている状態をあらわしています。
そっとしておいてもよいですが、体に触れるチャンスなので、このタイミングでブラッシングをしてあげるのもおすすめです。
猫の性格を考えながら、リラックス時のコミュニケーション方法を考えてあげてください。
⑦ しっぽをクネクネさせる
猫がしっぽをクネクネさせているときは、ワクワクや興奮をあらわしています。
新しいおもちゃをもらった、おもしろいものをみつけた、飼い主さんと遊んでもらえると期待している、などが考えられます。
しっぽは触らないで!猫のしっぽはとても敏感
猫のなかにはしっぽやその周辺を触られるのが好きな個体もいますが、しっぽの周辺には多くの神経や筋肉が集中しているため、あまり刺激しないほうがよいとされています。
軽くポンポン触ってあげる程度であれば問題ないでしょうが、しっぽを引っ張る、強く押さえる、といった行動は絶対に避けてください。
最悪のケースだと、排泄障害や歩行障害、後ろ足が動かない、しっぽが曲がる、しっぽに激痛が走る、などの問題を引き起こす可能性があります。
しっぽの動きから愛猫の気持ちを理解しよう!
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しっぽの動きから猫の気持ちを理解することはできます。
もちろん、環境や個体による違いはあるでしょうが、日頃からお世話をしている飼い主さんであれば、愛猫の気持ちを想像するのは難しくないでしょう。
鳴き声や耳の動きなどと合わせて、愛猫の気持ちを理解するための指標のひとつとして、しっぽの動きにも注目してみてください。
そうすることで、これまで以上に愛猫との距離が近づき、より良い関係性を気づいていけることでしょう。
著者情報
U.SHOHEI
父親が犬のブリーダーをしていたこともあり子どもの頃から犬に囲まれた生活を送る。
現在は趣味の動物園・水族館めぐりから得た知識をもとに幅広く動物に関する記事の執筆をおこなっている。
得意な生物は、犬・猫・海洋生物・エキゾチックアニマル。