犬が反省しているときに見せるしぐさは数多くあります。
それらをきちんと理解し、自分の叱り方が正しいのかを把握する目安にしましょう!
犬は怒られていることを理解しているの?
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犬が怒られたことに気付き反省しているのかどうかは、さまざまな見解があります。
ここでは2つの意見を取りあげてご紹介します。
(1)犬は怒られていることを理解できず反省していない
こちらの説では、犬は怒られていることを理解できないとしています。
犬が怒られたあとに見せるしぐさ(行動)は、反省ではなく恐怖からきているとする説です。
犬は自分がしたいたずらに対して、怒られている認識がうまくできず、飼い主が何に怒っているのか理解できないとされています。
そのため、怒られているこの状況から少しでも早く脱出するため、反省しているような態度を示し、飼い主をなだめようとしていると考えられています。
(2)犬は怒られていることを理解し反省している
犬は飼い主の言葉を理解し、きちんと反省しているとする説です。
犬は人間の感情を読み取るのがうまい動物であるとされており、飼い主が何に悲しみ、何に怒っているのかを理解できるとしています。
犬が人間の感情を読み取るのがうまいことは実際に証明されており、飼い主の不満を買ってしまった犬が、自分の行為によるかどうかを問わず、後ろめたい振る舞いをしたとの研究結果も出ているそうです。
●筆者の考え●
筆者はこれまで20年以上にわたって犬を飼ってきましたが、個人的には後者の意見が近いのではないかと感じています。
私が不機嫌なとき、犬たちは様子を伺うようにうつむき加減で近づいてきましたし、私がうれしそうにしているときは、尻尾をブンブン振って飛びついてきました。
これらの経験を踏まえたうえで、当記事では犬が飼い主の感情をきちんと理解し、自分のおこないを反省しているという基準のもと話しを進めていきたいと思います。
これから紹介する多くのしぐさを、「自分(犬)が不安を解消するためのしぐさ」とする考え方もあります。その点はご留意いただければ幸いです。
犬が反省しているときに見せるしぐさ
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犬が反省しているときに見せるしぐさには多くの種類があります。
ここでは代表的なものをご紹介します。
★あくび
犬のあくびは緊張感が高まっていることを示すサインです。
飼い主に怒られることで犬にも相当のストレスがかかります。そんなとき、飼い主に対して「わかっているから、もう怒らないで!」と表現していると言われています。
★目をあわせない・そらす
犬の世界では目をあわせることがケンカのサインになることがあります。
そのため、怒っている飼い主と目をあわせない・そらす行動は、「争うつもりはないよ」と訴える際のしぐさです。
★うつむく
犬がうつむくのは、「飼い主さんが怒っている、怖いな……」と思っているときとされています。
できるだけ飼い主の顔を見ないようにし、自分の心をクールダウンする際に見られるようです。
★お腹を見せて寝転がる
犬がお腹を見せて寝転がるしぐさは、「降参」を表しています。
このポーズをしたときは、飼い主に対して「ごめんなさい、もう怒らないで」と伝えているようです。
お腹は犬の弱点にあたる部分ですから、そこを見せる行動は、飼い主への服従・忠誠とも取ることができます。
★物陰に隠れる
物陰に隠れるのは、身を守るための本能だと思われます。
それと同時に、飼い主に対して「ちょっと落ち着いて!」と促していることも考えられます。
★耳を後ろに倒している
犬が耳を後ろに倒すしぐさには、プラスとマイナス両方の意味があるとされています。
怒られているときにこのしぐさをするようであれば、「恐怖」を感じていると考えていいでしょう。
怒られていることは自覚しているため、あまり犬にストレスをあたえるような叱り方は避けるようにしましょう。
★手を舐めてくる
飼い主の手を舐める行動も、一種の反省を示すしぐさです。
手を舐める行為は飼い主の怒りを鎮めたいからとされています。
このことからも、犬はみずからの行動によって怒られていることを十分に理解していると思われます。
犬の反省を促す効果的なタイミング・叱り方・注意点とは?
犬へ反省を促す効果的な叱り方やタイミングを知っていますか?
こちらでは、タイミング・叱り方・注意点をそれぞれ解説します。
★タイミング ー悪いことをしたらできるだけすぐに叱るー
犬は過去に怒ったことをあまり鮮明には覚えられません。
そのため、いたずらをしてから何時間もあとになって怒られても、「何で怒っているのだろう」と疑問を持ってしまい、何を反省したらいいのかわかなくなってしまいます。
ですから、反省を促す効果的なタイミングは、いたずらをした直後が理想的です。
★効果的な叱り方① ー低い声で時間をかけずに叱るー
低い声で叱ることで、犬は「いつもの飼い主さんと違うな……」と察します。
これにより少しだけ犬に対して緊張感を持たせることが大切です。
また、犬は長時間お説教を受けてもすべては理解できません。
ダラダラと叱りつけるのではなく、端的に短時間のうちに終えるほうが効果的です。
★効果的な叱り方② ー手をあげない(叩かない)ー
犬を叱るときは絶対に手をあげてはいけません。
あくまで反省を促すことが目的ですから、恐怖によって支配するような状態は、飼い主と犬にとって理想的な関係ではありません。
「飼い主が怒る=叩かれる」と犬が認識してしまうことがないよう、カッとなっても叩いたりしないようにしましょう。
★注意点 ー犬の負担を考えて叱るー
長時間のお説教や手をあげるなどの行為は犬に相当のストレスをあたえます。
そのため、「短時間のうちにしっかり叱り、終わったらいつも通りに過ごす」が理想的です。
いつまでも犬に対して反省を促させるために「エサ抜きにする」「家の外に出す」などは止めましょう。
犬にも感情があるため、叱り終わったらいつものように遊ぶ・なでる・褒めるなど、スキンシップを取ってあげてください。
犬のしぐさを理解し正しい反省を促す
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犬を飼っている方ならおわかりいただけると思いますが、一度叱りつけても同じいたずらをする場合があります。それは前回の叱り方が不十分のため、犬が何を反省したらいいのか理解していなかったことが原因です。
何で怒られているのかわからない状態だと、私たち人間でもパニックになってしまいますよね?それは犬も変わらないのです。
飼い主が正しい叱り方をすれば、犬も正しく反省しそれをしぐさとして見せてくれます。
あなたはどうですか?愛犬のしぐさを見極められているでしょうか?
当記事をきっかけに、愛犬が反省した際のしぐさに気を留めてみてください。
そうすれば、今まで以上に深い絆を築くことができるでしょう。
◎藤井聡(2018年)/『面白くてよくわかる 決定版 イヌの気持ち』/日本文芸社
◎ブランドン・カイム(2020年)/『犬の能力』/日経ナショナル ジオグラフィック社
著者情報
U.SHOHEI
父親が犬のブリーダーをしていたこともあり子どもの頃から犬に囲まれた生活を送る。
現在は趣味の動物園・水族館めぐりから得た知識をもとに幅広く動物に関する記事の執筆をおこなっている。
得意な生物は、犬・猫・海洋生物・エキゾチックアニマル。