日本ではあまり聞きなれない猫種であるミヌエット。猫種誕生までのエピソードや身体的な特徴などを見ていきましょう!
ミヌエット(ナポレオン)の歴史
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ミヌエット(ナポレオン)は1996年アメリカを原産国として誕生した猫種です。もともとバセットハウンドという犬種のブリーダーをしていた「ジョセフ・スミス」という人物がいました。ジョセフ氏は、足の短いマンチカンは愛好されるが、足の長いマンチカンの多くが捨てられ、動物センターに収容されている事実を知ります。そこで、このような不幸が起こってはならないと、短足種として猫種を固定化させる研究を始めたのがきっかけとされています。
ベースとなるマンチカンに、猫種としてすでに確立されていたペルシャ系の猫(チンチラペルシャ・ヒマラヤン・ペルシャ等)を掛け合わせることでミヌエットは誕生しました。
2015年にミヌエットと名称が変更されるまでは、「ナポレオン」と呼ばれていました。これは、ミヌエット(ナポレオン)の足が短いという特徴から、「実は足が短かったのでは?」とされるフランスの英雄「ナポレオン・ボナパルト」から名付けられたとのこと。
名称が変更される理由となったのも、「フランスの英雄の名を、猫につけるのはどうなのか!」という指摘があったからだそうです。
ミヌエットの特徴
ミヌエットの特徴について、「身体的な特徴」と「バリエーション豊富な毛色」の2つに分けて解説します。
★身体的な特徴
ミヌエットは、ペルシャ系の猫から伝わったフワフワな毛と、全体的にまるまるとした愛らしい姿が特徴です。
丸っこい顔、ブルーまたはグリーンの瞳、先端が小さくまるまった耳が愛らしさを引きたたせています。
平均体重が約2~4㎏と、一般的な家猫と比較してもそこまで差はありません。ですが、平均寿命が12~14年と、猫の平均寿命とされる15歳より短いとされています。もちろん、平均寿命は飼育環境や飼育方法、個体差によって違いがあります。
適切な飼育をしていれば長生きも期待できるため、あくまで目安程度に認識しておきましょう。
★バリエーション豊富な毛色
被毛は短毛と長毛の個体がおり、ともに柔らかいダブルコートとなっています。
毛色のバリエーションがとても豊富で、以下の種類があります。
・ブラック系
・ホワイト系
・チョコレート系
・クリーム系
・レッド系
・ブルー系
・ライラック系(シルバーに近い色)
・シナモン系
・フォーン系(金色に近い色。色の明暗によって見え方が異なる)
・キャリコ系(3色の毛色が混在している)
人気の毛色は、ホワイト系やクリーム系で、他の猫種と同じように、キャリコ系(三毛猫)のオスも人気が高いです。
ミヌエットの性格
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ミヌエットは、マイペースで温厚な性格です。また、マンチカン由来の好奇心と、ペルシャ系由来の甘え上手なところを兼ね備えているため、見知らぬ相手にも好奇心の赴くまま近づいていき、甘えだす人懐っこさを持っています。
気ままにひとりで過ごすのも得意なので、留守番を任せることもできます。
ミヌエットの価格は?
ミヌエットの子猫は平均約20万円で、毛色や体格などによっては50万円以上する個体もいます。
ミヌエットを購入(譲受ける)経路は主に以下の3つです。
① ペットショップ
ミヌエット自体が日本ではあまり知られていないため、販売しているペットショップは多くありません。また、ペットショップで購入する場合は、毛色を選択できない、出自がわからないなどのデメリットがあります。
② ブリーダー
ミヌエットを飼育しているブリーダーさんから譲り受けることで、気に入った毛色の購入、母猫や父猫の様子、子猫の育った環境などを直接確認できます。ですが、ペットショップのように、割引や特典などはほとんどありません。
③ 里親募集に応募する
保護されたミヌエットを里親として飼育する方法です。そもそもミヌエットの個体数があまり多くないため、里親募集に出されることが稀です。
そのため、譲渡に対する競争率はとても高くなります。
ミヌエットを飼うときに注意すべきポイントとは?
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ミヌエットを飼育する上で注意すべきポイントを3つご紹介します。
★運動できるスペースを確保してあげる
ミヌエットは好奇心旺盛で運動が大好きな猫です。特にどんなものにも興味を持ちやすい子猫の時期は、その特徴が顕著に出ます。飼い主が一緒に遊んであげられるおもちゃを買う、キャットタワーを設置する等の工夫が必要です。
運動は猫のストレス解消にもつながります。適度な運動習慣を作ってあげましょう。
★肥満対策
ミヌエットは見た目とは裏腹に筋肉質で少し太りやすい体質の猫です。
そのため、エサやおやつの量を調整しながら、運動と併用して肥満防止につとめましょう。
肥満は心筋症や脂肪肝などの病気につながる恐れがあります。日頃から細かく体重をコントロールし、健康状態の確認が必要です。
★被毛の手入れ
ミヌエットは毛量が多く、ブラッシングをおこたると毛玉症になる危険があります。
短毛は週に4回~5回、長毛はできれば毎日ブラッシングを実施すると良いです。
ブラッシングは毛玉症の防止だけでなく、皮膚の異常やケガの有無、猫とのスキンシップにもなるため、適切な頻度で行いましょう。
ミヌエットが発症しやすい病気とは?
ミヌエットが発症しやすい病気で代表的なものをご紹介します。
1) 肥大型心筋症・拡張型心筋症
・肥大型心筋症
肥大型心筋症は、心筋が分厚くなり血液を貯蔵する場所が小さくなる病気です。これにより体全体に送る血液の量が減少し、症状が進行すると、突然失神を起こすことがあります。
・拡張型心筋症
拡張型心筋症は、心筋が薄くなり伸縮力が弱くなる病気です。体中に血液を送り出す力が弱くなり、嘔吐や失神を引き起こします。
2) 多発性嚢胞腎
多発性嚢胞腎は、腎臓に液体を含んだ袋ができる病気です。症状が進行すると、多飲多尿・ぐったりする・嘔吐などが見られるようになります。
3) 流涙症
流涙症は、涙量の異常により、常に涙で目を濡らしている状態になる病気です。目や鼻まわりに炎症が発生する、目やにが増える、涙やけになるなどの症状が出ます。
ミヌエットには魅力がいっぱい!
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ミヌエットについて解説してきましたが魅力は伝わったでしょうか?
今回ご紹介した内容をまとめると
(1) ミヌエットの歴史や性格、毛色などの特徴
(2) ミヌエットを購入する際の費用や購入する経路
(3) ミヌエットを飼育する際に気をつけるポイントと発症しやすい病気
となります。
ミヌエットは歴史が浅く、これから新たな魅力が発見されていく猫種です。
日本ではあまり見かける機会がありませんが、今後、飼育個体数の増加により少しずつメジャーになっていくと思います。
丸みのある体とフワフワの毛を持つ愛嬌たっぷりのミヌエット。
みなさんの家族に迎え入れてみてはいかがですか?
著者情報
U.SHOHEI
父親が犬のブリーダーをしていたこともあり子どもの頃から犬に囲まれた生活を送る。
現在は趣味の動物園・水族館めぐりから得た知識をもとに幅広く動物に関する記事の執筆をおこなっている。
得意な生物は、犬・猫・海洋生物・エキゾチックアニマル。