散歩中しかトイレができない犬は、それが習慣となっている場合がほとんどです。
犬の気持ちやトレーニング法を理解し、改善していきましょう!
犬が散歩中にしかトイレをしない理由
出典:https://www.shutterstock.com
犬が散歩中しかトイレをしなくなる理由は主に以下が考えられます。
★散歩ルートでのマーキングが習慣化している
犬は自分のナバワリを示すため、おしっこのにおいを付けてマーキングをします。
その性質から、自身のにおいが消えていると再度においを残そうとするのです。
マーキングはあくまで犬間のナワバリを主張する役割のため、生理的な排泄行為とは異なるところがあります。
しかし、過度にマーキング行為をさせると、外でトイレをするのが当たり前だと犬が思う原因につながります。
★トイレをするのに気に入った場所がある
散歩ルートの中に犬にとってのお気に入りのトイレスポットがあると、そこで排泄をしたがります。
「お気に入りの場所=トイレをするところ」と認識している可能性があるため、犬の意識を変える必要があります。
※後述するトレーニングに活用できるので、散歩中によく排泄をする場所がどのような環境なのかチェックしておきましょう。
★子犬時のしつけの影響
子犬の頃にトイレを屋外で行うようにしつけを受けていると、成犬になってからも屋内でトイレをしてくれません。
成犬になってからのトイレトレーニングは難しくなるため、子犬のうちから屋内外問わず、決まったところでトイレができるようにしつける必要があります。
犬がトイレを我慢する危険性
通常、成犬の場合は1日に3回~6回ほどトイレをします。
※個体差や年齢によって回数は異なります。
ですが、屋内でトイレができない犬は、悪天候や散歩に行けないときに排泄を我慢することがあり、泌尿器系の病気を患う危険性があります。
トイレの我慢によって発症するリスクが高い病気の代表例は以下の2つです。
★膀胱炎
膀胱炎は、膀胱内にウイルスや細菌が侵入し、炎症が発生する病気です。
症状が進行すると、排尿時の痛みにより鳴き声をあげたり、血尿が出るなどの症状が見られます。
★尿路結石
尿路結石は、尿路内に石ができ頻尿や血尿、排尿障害を引き起こす病気です。
進行すると、尿がまったくでなくなる場合もあり、「尿毒症」などほかの病気につながるリスクがあります。
トイレの我慢が起因する病気を2つご紹介しましたが、これら以外にも発症するリスクをともなう病気はあります。
※ご紹介した2つの病気においても、食事やストレスなどが病気の発症に関連するため、一概にトイレの我慢だけが原因になるわけではありません。適切な飼育を心がけましょう。
★もし寝たきりになったら‥
散歩時にしかトイレができないようだと、高齢で寝たきりになったとき、トイレの度に飼い主が犬を抱えて連れて行かなければなりません。
飼い主だけでなく犬にも大きな負担となるため、早期にトイレトレーニングをはじめるようにしましょう。
散歩のときに意識すべきことは?
散歩時に飼い主が少し意識するだけで、屋外でのトイレが習慣となっている犬の行動を変えるきっかけが作れます。
こちらでは2つの方法をご紹介します。
★リードを短く持つ
1つ目は、犬の行動範囲を制限するためです。
リードを長く持ってしまうと、犬が自由に行動してしまい、マーキングや排泄を好きなところでしてしまいます。
そのため、行動できる距離を制限することで、癖になっているマーキングと排泄をコントロールできるようになります。
これを繰り返すことで、次第に犬の意識がマーキングや排泄ではなく、飼い主へ向くようになっていきます。
2つ目は、トイレをしていい場所か認識させるためです。
特に人通りが多い場所や建物の近く、他人や他のペットの迷惑になる場所にトイレしないように意識させます。
飼い主が排泄に適切な場所かどうかを確認し、リードを短く持つことで犬に指示を出すかたちになります。
ですから、他者に迷惑がかかる場所でないか、飼い主が意識的に確認するようにしましょう。
★マーキングやトイレの際には声かけする
ずっとトイレを我慢させるのは犬にとっても辛いものです。
ですので、マーキングやトイレをしていい場所にきたらOKの合図を出してあげます。
かける言葉は何でもいいですが、「よし」「OK」など、使いやすくて犬が認識しやすい短い言葉を使うとよいでしょう。
散歩の際に継続して声かけをすれば、犬も自然に「ここはトイレをしていい場所なんだ」と理解してくれます。
そもそもお散歩とは
散歩の時だけトイレをする犬というのは、排泄させることをお散歩の目的としてしまった飼い主の責任でもあります。お散歩とトイレタイムは切り離して考えるようにしましょう。
そこで考えたいのが、そもそもお散歩とは何なのか、という点です。
犬の運動不足解消やストレス解消、リフレッシュなどが目的であったはずです。また、犬といえども社会性を身に着けることも必要です。さまざまな犬や人と出会い、色々な物を知り音を聴くことで、外の刺激に慣れていくのです。
その中に排泄も含まれることもありますが、排泄は散歩の時でなくても可能です。
飼い主の思考を切り替えて、犬のトイレトレーニングを始めてみましょう。
すぐに実践できる犬のトイレトレーニング方法
出典:https://www.shutterstock.com
屋内でトイレができるようにするトレーニング方法をご紹介します。
犬が一度覚えた習慣を変えるわけですから、時間がかかります。
少しずつ、根気強く取り組みましょう。
① ベランダや庭に散歩時にトイレをしている場所を再現する
散歩時にいつもトイレをしている場所の環境を再現します。この際、トイレシートやトレイも一緒に準備しましょう。
トイレシートの上から、散歩時にトイレをしている場所の土や落葉を敷き詰め、足裏の感覚やにおいを再現します。
先述した「マーキングやトイレの際には声かけを意識する」など、声かけをすでに実行している場合は、その言葉をかけながら排泄するのを待ちます。
② おしっこを付けたシートにトイレをさせる
ベランダや庭でトイレができるようになったら、土や落葉をどかし、今度は少しだけおしっこを付けたトイレシートのみで排泄ができるようにトレーニングします。
はじめはベランダや庭にシートを設置し、できるようになったら屋内へシートを移動しましょう。
このときも、決まった言葉があれば声をかけながら排泄するのを待ちます。
上記2つに共通して気を付けるべき点は、「犬がトイレに行きたくなる時間を狙って行う(いつも散歩に出る時間など)」、「トイレができたら褒めてあげる」になります。
褒めるときは少しオーバーなぐらいがよく、ご褒美におやつをあたえてもよいでしょう。
※自宅でのトレーニングに限界を感じたら‥
トレーニングには時間と労力がかかりますし、成犬になると難易度も高くなります。
自宅でのトレーニングに限界を感じたら、プロのドッグトレーナーにお任せするのもひとつの手です。
トレーニングのプロに直接指導してもらうことで、短期間でしっかりとしつけられるため、無理に自宅のみで行おうとせず、専門家への相談も検討してみましょう。
トイレトレーニングは「粘り強く」が大切
出典:https://www.shutterstock.com
犬のトイレトレーニングは「粘り強く」が大切です。
できないことに対して怒ったり、叩いたりしても効果はありませんので、少しずつ成長する愛犬を見守ってあげてください。
毎日の積み重ねがトレーニング成功の鍵です。気負わない程度に楽しみながら、愛犬と一緒になって続けていきましょう!
NPO法人 日本社会福祉愛犬協会(参照日:2020/11/15)
http://www.kcj.gr.jp/advice/shitsuke/vol1_11.html
著者情報
U.SHOHEI
父親が犬のブリーダーをしていたこともあり子どもの頃から犬に囲まれた生活を送る。
現在は趣味の動物園・水族館めぐりから得た知識をもとに幅広く動物に関する記事の執筆をおこなっている。
得意な生物は、犬・猫・海洋生物・エキゾチックアニマル。