「怖がりな犬」と一口に言っても、人や犬が怖い、外が怖いなど、怖がるモノや苦手なモノには違いがあるでしょう。怖がり方も、逃げ隠れするだけではなく、噛みつくなど攻撃的になる犬もいます。
いわゆる「ビビり犬」(怖がり)とは?
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犬のルーツといわれるオオカミは、たいへん用心深い性質を持っています。その用心深さが犬のDNAにも受け継がれていているのでしょう。基本的に犬は臆病で怖がりな動物です。ですから、ビビりは犬の動物としての本能であり、自然な姿ともいえるのです。
犬ばかりではなく、ほかの動物や人間でも、「知らないモノや経験したことのない状況」などには、不安や緊張、恐怖を感じるのは当然です。
例えば、飼い主は普段何気なく使う掃除機にしても、犬は何をするモノかわかりません。やたら恐ろしい、大きな音を立てる物体としか思わないわけです。初めて遊びに来る飼い主の友達にしても、「安全な人かどうか」は犬には知る由がないのですから、犬にとっては不審者でしかありません。人間社会での生活は犬にとって「知らないモノ」だらけです。警戒して吠える、逃げ隠れするのは当然といえます。そう考えると、「うちの犬はそんなにビビりじゃないのかな?」という方もいるのではないでしょうか?
しかし「怖がりが高じて噛みつく」「吠え続ける」、などの問題行動がある場合や、怖がりで犬自身に過度のストレスがかかってしまう場合は、ビビりを克服する必要性があります。
「ビビり犬」になるいくつかの理由
犬や人を過度に怖がるなど、ビビり犬になってしまう理由がいくつかあります。
社会性の欠落
犬は生後3~4ヶ月位までの時期に、さまざまな経験を通して「学ぶ」時期といわれていて、「社会性」を培う時期になります。そのため、早過ぎる時期に母犬や兄弟犬と離された犬は神経質で怖がりになる傾向があります。
また、この時期に人間や他の犬と触れ合う機会が少なく、色々な物事を経験せずに部屋の中だけで過ごしてしまうと、人や犬、普通に存在する物事に対しても、恐怖心や強い警戒心を持ってしまいます。
過去のイヤな経験がトラウマになる
人間に暴力を振るわれるなど虐待を受けた経験や、他の犬に攻撃されたなど、過去に経験したイヤな体験が記憶されトラウマとなるケースもあります。
散歩中に小さな子供に追いかけられた、他の犬に噛まれたなどの経験で「外は怖い!」とインプットされ、外出が苦手になるケースもあります。
ビビりは克服できる
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犬の性格や経験によって、ビビりを克服するまでの時間は異なりますが、無理をせずに少しずつ苦手なことに慣らしていき、最終的に克服することは不可能ではありません。
例えば他の犬が苦手な場合は、公園など広いスペースで他の犬に協力してもらい訓練をします。お互いの存在を認識しながら、反応しない程度の距離をとって歩かせます。吠えたり、怯える場合はさらに距離を離します。慣れてきたら少しずつ距離を縮めていき、すれ違うなどの練習をします。はじめはすれ違う時にご褒美をあげ、徐々にあげるタイミングをずらしていき、吠えずにすれ違ったらご褒美をあげます。
「他の犬が現れる→吠えない=いい事がある(ご褒美)」という印象をつけることで、「他の犬=好きなもの」へとすり替わっていきます。
このような訓練を忍耐強く繰り返しおこない、恐怖心を克服できれば、ご褒美をもらえなくても大丈夫になり、そうなれば苦手なものを克服できたといえます。
人間が苦手な場合も同様で、最初は遠くから目を合わせずに座っている位置からはじめていき、1分経ったら1歩近づく。さらに時間をおいて1歩近づくという訓練をします。この場合も必ずご褒美をあげて「人=好きなもの」へ印象付けていきます。
焦らず、ゆっくりが鉄則
訓練をする時に重要な点は、決して無理をさせないことです。
短時間の訓練を根気よく継続していきましょう。無理をすれば、敏感で神経質なビビり犬は、かえって恐怖心が強くなってしまいます。犬の性格やペースに合わせて、焦らずにおこなっていきましょう。
少しでも苦手なモノや怖いモノがなくなっていけば、愛犬にとっても飼い主にとってもストレスのない生活が可能になるのです。
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UCHINOCO編集部
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