犬の飼育にかかる年間の維持費はどれくらい?

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アニコム損害保険株式会社が公開する「2024最新版 ペットにかける年間支出調査」によると、犬の飼育にかかる維持費は年間で414,159円です。
2023年度の同調査では338,623円でしたが、近年は物価高に伴う商品・サービスの値上がりや健康志向の高まりも相まって、維持費が高くなっている傾向にあります。
また同じ維持費でも、犬を飼い始めたときに用意すべき初期費用や毎日の食費、医療費などさまざまなシーンで費用がかかります。
そのため、イメージする生活スタイルによってはさらに維持費が高くなる可能性があります。
【初期費用】犬との生活にかかる費用の種類・金額目安一覧

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犬との生活を始める際には、愛犬が安心して暮らせる環境を整えるためにさまざまなアイテムを揃える必要があります。
ここからは犬との生活にかかる費用のうち、初期費用の種類や金額を紹介します。
基本の生活用品にかかる費用は平均約30,000円
犬との生活を始める際には、愛犬が暮らすためのケージやトイレトレーなどの基本的な生活用品が必要です。
基本的な犬用の生活用品の購入費は、平均約30,000円です。
愛犬の体格が大きくなるほど、必要なケージやトレーのサイズも大きくなるので、その分生活用品の購入に必要な費用が高くなります。
生活用品の他にも、畜犬登録、狂犬病ワクチン、混合ワクチンなどの費用も生じます。
犬の日用品にかかる費用は年間平均約15,000円
犬との生活ではトイレシートやマナーウェアをはじめ、多彩な日用品が必要不可欠です。
犬の日用品にかかる費用は、年間で平均15,000円です。
特に大量に消費するトイレシートは、愛犬の体格や自宅で排泄をする頻度によってサイズや量が異なるので、金額が前後することもあるでしょう。
首輪・リードにかかる費用は年間平均約6,300円
首輪やリードは愛犬の安全を守るための「命綱」といえる存在であり、犬との暮らしでは必須アイテムです。
首輪やリードの購入にかかる費用は年間で平均6,300円です。
首輪やリードは一度購入すればずっと使えるというわけではありません。
愛犬の成長とともにサイズを調整する必要があるうえ、素材によっては使っているうちにベルト部分が擦り切れてしまうこともあるため、定期的に新しいものに買い替える必要があります。
【食費】犬との生活にかかる費用の種類・金額目安一覧

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「食事」は愛犬の健康を支えるために必要不可欠な部分。
毎日必要になるものであるため、食費は他の項目に比べて月額・年間の費用が高くなる傾向にあります。
ここからは、犬との生活にかかる食費の種類・金額について紹介します。
主食用ドッグフードにかかる費用は月額平均3,900円
犬の食事には市販の主食用ドッグフードを採用することが一般的です。
一般社団法人ペットフード協会が公表する「令和6年 全国犬猫飼育実態調査」によると、犬主食用ドッグフードにかかる費用は1頭飼育の場合で月額平均3,900円です。
愛犬の体格によって具体的な月々の費用が異なっており、超小型犬で平均3,363円、小型犬で平均4,061円、中型・大型犬で平均5,617円です。
同じペットフードでもタイプや素材によって1個あたりの価格も異なるので、ドライやウェット、素材のグレードによっては費用がより高くなる可能性があります。
犬のおやつにかかる費用は月額平均約1,900円
犬用おやつは、愛犬のトレーニングやコミュニケーションの際に便利なアイテム。
一般社団法人ペットフード協会が公表する「令和6年 全国犬猫飼育実態調査」によると、犬用おやつの購入費用は月額で平均1,853円です。
おやつの種類や与える頻度によって具体的な頻度は異なりますが、ペットフードに比べると費用が安い傾向にあります。
犬用サプリメントにかかる費用は年間平均約15,000円
愛犬の健康状態・栄養バランスによっては、ペットフードだけでなく犬用サプリメントの摂取が必要になることがあります。
犬用サプリメントにかかる費用は摂取頻度によって異なりますが、年間で平均15,000円かかります。
あくまでペットフードで摂れない栄養を補給するためのサポート食品であるため、愛犬の生活環境によってはほとんど費用がかからない場合もあります。
とくに療養中の犬やシニア犬はペットフードでは上手く栄養補給ができないことも多く、サプリメントにかかる費用が高くなる傾向にあります。
【医療】犬との生活にかかる費用の種類・金額目安一覧

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犬はとてもデリケートな動物なので、環境や食生活などが原因で体調を崩してしまうことも少なくありません。
また、好奇心旺盛な動物でもあるため、部屋の物を誤飲・誤食してしまう可能性もあります。
そのため、万が一のトラブルに備えて医療費の準備をしておくことも大切です。
ここからは、犬との生活にかかる医療費の種類・金額について紹介します。
犬の予防費にかかる金額は年間平均約35,000円
犬の予防費は年間で平均35,280円です。
犬の予防費とは、健康診断やワクチンなどといった病気を防ぐために必要な費用を指します。
健康診断の費用は受診する病院や検査項目の数によって異なりますが、多くのワンちゃんが受ける血液検査の費用は5,000~10,000円程度が一般的です。
また、ワクチンについては国で義務化されている狂犬病ワクチンに加えて、任意で受ける混合ワクチンの2つがあります。
狂犬病ワクチンの接種は1回3,000~4,000円の費用がかかり、注射済票を発行する手数料として550円程度必要です。
また、新しくお迎えしたワンちゃんの場合は、狂犬病ワクチン接種時に自治体へ飼い犬を登録する必要があり、登録料として3,000円程度かかります。
混合ワクチンについては種類によって具体的な費用が異なりますが、1回あたり5,000~10,000円程度が目安です。
犬のペット保険にかかる費用は年間平均約46,000円
犬向けのペット保険に加入する場合の保険料は、年間平均46,354円です。
犬のペット保険とはケガや病気、誤飲などといった愛犬の万が一のトラブルが起こったときに補償してくれる「お守り」のようなサービスです。
具体的な月々の保険料は愛犬の体重、年齢や支払方法によって金額が異なりますが、小型犬で月額約1,600~約5,800円、大型犬で月額約2,400~約8,000円程度とされています。
【日々のおでかけ・お手入れ】犬との生活にかかる費用の種類・金額目安一覧

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犬との生活では、愛犬の健康維持のために定期的なお手入れが必要になります。
また、飼い主さんの生活スタイルによっては、愛犬をお留守番させなければいけないことも。
ここからは、犬との生活にかかる費用のうち、日々のおでかけ・お手入れに必要な費用の種類・金額について紹介します。
犬のお手入れにかかる費用は年間52,353円
犬の体のお手入れにかかる費用は、犬の体格によって異なりますが年間平均52,353円かかります。
犬を飼う際にはシャンプーやトリミングなどといった被毛のお手入れだけでなく、爪切り、耳掃除や肛門腺絞りなど多彩なお手入れが必要になるため、ペットサロンやトリマーさんに依頼するのが一般的です。
トリミングとシャンプーを依頼する場合、1回あたりの費用は小型犬で5,000~8,000円、中型犬で5,000~10,000円、大型犬だと10,000~16,000円程度かかります。
またプードル系をはじめ、トリミングに高度な技術が必要な犬種の場合はもう少しかかる傾向があります。
一度トリミングをしても犬の被毛はどんどん伸びていくため、清潔を保つためにも1~2ヶ月に1回の頻度でお手入れすることが望ましいとされています。
ペットホテル・シッターにかかる費用は年間7,085円
犬同伴での外出が不可能な場合、留守中の愛犬のお世話をペットホテルやペットシッターへ依頼することもあります。
預ける日数や犬種によって異なりますが、ペットホテル・シッターにかかる費用は年間平均7,085円かかります。
宿泊(一泊)にかかる料金で見ると小型・中型犬で高くても4,000円前後、大型犬の場合は6,000~7,000円が目安です。
しかし、旅行する頻度がほとんどない飼い主さんであれば、ペットホテルやシッターにかかる費用がほとんどかからない場合もあります。
ドッグランの利用にかかる費用は年間5,065円
中型犬や大型犬の場合、普通の散歩だけでは運動量が不足してしまうことも多くなりがちで、定期的にドッグランを利用する飼い主さんも少なくありません。
ドッグランの利用にかかる費用は、年間で平均5,065円です。
利用料は、施設の広さや使用頻度によっても変わり、特にシベリアン・ハスキーなどの一日に必要な運動量が多い犬種の場合には、負担が大きくなる傾向にあります。
犬との生活にかかる維持費を節約するポイントとは?

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犬との生活にかかる費用は決して安くはありませんが、普段の生活でできるポイントを心掛けることで、維持費は節約できますよ!
ここからは、犬との生活にかかる維持費を節約するポイントを紹介します。
フード・おやつは手作りにする
犬との生活にかかる費用の多くを占めるのが「食費」。
市販のペットフードやおやつを何度も購入していると、食費が高くなることもあります。
そこで自炊の一環として愛犬のフードやおやつを手作りすれば、普段のおかずの材料のあまりやまとめ買いした食材などを使って多彩な献立が作れるので、フードロスを減らしつつ食費の節約につながりますよ!
また、その日の愛犬の健康や好みに合わせて栄養バランスを調節できるので、節約だけでなく愛犬の健康維持にもぴったりです。
お手入れは自宅で行う
愛犬の健康のためにも、被毛や爪のお手入れは定期的に行わなければいけません。
しかし、こまめにトリマーさんやペットサロンに通うとなると、その分費用が高くなりますよね。
そこで、シャンプーやトリミングなどのお手入れを自宅で行うようにすると、お手入れにかかる費用の節約につながります。
シャンプーは、愛犬の被毛・皮膚の状態に合わせた市販のペット用シャンプー液が販売されているので、自宅のお風呂で手軽に実践できます。
トリミングについては、プロのような仕上がりにするのは難しいですが、絡まって毛玉になった部分を取り除いたり、肉球周りの毛をカットしたりするのはハサミとバリカンがあれば自宅でも問題なくできますよ!
しかし、愛犬の性格によっては自宅でのお手入れを嫌がる可能性があります。
そのため、お手入れの際には愛犬の状態を常に確認しつつ、時間をかけすぎないようにしてくださいね。
また、テーブルの上でトリミングをする際には犬が落下しないようにし、ハサミやバリカンの刃などが当たらないように注意しましょう。
必要な費用の目安を理解して、愛犬との暮らしに備えよう!

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犬との生活では食費や医療費を中心に、さまざまなシーンで人よりも高い費用がかかる傾向があります。
イメージするライフスタイルによっては、本記事で紹介したもの以外にもさまざまなシーンで費用がかかる場合があります。
必要な費用の目安を理解して、愛犬との楽しい生活の準備をしましょう!
・アニコム損害保険株式会社「2024最新版 ペットにかける年間支出調査」(参照日:2025/9/8)
https://www.anicom-sompo.co.jp/news-release/2024/20250311/
・一般社団法人 ペットフード協会「令和6年 全国犬猫飼育実態調査」(参照日:2025/9/8)
https://petfood.or.jp/data-chart/
著者情報
西野由樹
生粋の犬好きなフリーランスWebライター。執筆のお供はコーヒーと愛犬のマルチーズ「こたろう」。
やんちゃな愛犬にちょっかいを出されつつ、今日も実体験・調査に基づいた執筆で、読んで楽しい記事づくりに勤しむ。

