猫の耳はどうして動くの?
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猫の耳はさまざまな方向へ動かすことができますが、そもそも猫の耳が動くのは耳の構造にあります。
大まかな構造は人間と同じで外耳や中耳、内耳に分かれており、働きも同じです。
しかし頭から生えている一般的に「耳」と呼ばれる部分である耳介については、人間とは少し構造が異なります。
人間の耳介は主に軟骨でできていますが、猫の耳介は発達した30本もの筋肉で構成されています。
この数多くの筋肉によって猫の耳は片耳ずつ自在に動かすことができ、パラボラアンテナのように周囲の音を集められるんです。
ちなみに猫の高い聴力も、自由自在に動くこの耳介が役立っています。
一般的に人間の耳が拾える音域は20~2万ヘルツですが、猫の場合は30~6万ヘルツであり、人間の耳では聞こえない高い周波数の音も拾えますよ。
音を正確に聞き分ける能力も耳の動きが役立っており、猫の聞き分け誤差は人間の9分の1とされています。
耳を動かすことで、猫は狩りや移動の際に、獲物や周囲の物が発する音の出どころについて方向や位置、距離感なども正確に感知できるんです。
なお猫の耳の動きは、高い聴力によって狩りや移動をサポートするだけでなく、感情を表現するためのバロメーターにもなります。
よく観察することで、愛猫のその日の気持ち・気分をさらに深く知れるようになりますよ!
耳の動きや向きで意味がわかる!猫の感情表現・サイン一覧
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愛猫の様子をよく見てみると、その日やシーンによって耳の動きや向きが違っていることがありますよね。
実は耳の動きや向きによって、猫が表現している気分・サインが少しずつ違うんですよ。
ここからは、耳の動きや向きからチェックする主な猫の感情表現・サインについてみていきましょう。
耳がピンと立っているとき
猫の耳がピンと立っているときは「なんか気になる」「興味がある」という気持ちの表れといえるでしょう。
猫は突然物音や何かの気配がしたときなど、周囲の状況を注意深く観察しているときに耳をピンと立たせます。
耳を立たせることでより多くの音を広い、周囲の情報収集をしているんです。
対象物に強い関心がある場合は耳が立つだけでなく、房毛と呼ばれる耳の根本の毛まで立つので一目で分かりやすいでしょう。
どこに気になるものがあるのかは、猫の耳の向きをチェックしてみましょう。
顔の向きとは違う方向に耳が向いている場合は、その方向に猫が気になる何かがあるのかもしれません。
状況把握ができないときや音の出どころが気になる場合には、顔も耳と同じ方向へ一緒に向くことがあります。
耳をピクピク動かしているとき
猫が耳をピクピク動かしているときは、緊張感や警戒心などが高まっているサインです。
耳をピクピクさせるのも、猫が周囲の音を注意深く聞くためのしぐさ。
好奇心が高まっているときにも多く見られることから、一時的なものであればそこまで気にしなくても問題ありません。
しかし、常に耳をピクピクさせている場合は、その音が猫にとって不快に感じるものである可能性もあります。
猫は聴力が高い分、音による刺激を受けやすい動物ですので、飼い主さんにとっては問題ない小さな音であっても、猫にとってはストレスになることもあるんです。
そのままにしていると、ストレスによって思わぬ健康リスクにつながる可能性も。
そのため、頻繁に耳をピクピク動かしている場合は、猫が音を気にせず静かに過ごせる場所を作ったり、刺激となる音を減らしたりして対策してあげましょう。
耳を平たく伏せているとき
猫が耳を横に平たく伏せているときは「怖い」という気持ちを表していることが多いです。
耳を平たく伏せるのは、嫌な音や苦手な相手から身を守るための防衛行動の一つです。
怯えているときには全身に力が入り、体が縮こまるのと同じですね。
注意したいのが、この耳の動きをしているときの状況によって気持ちが少し違う点です。
やんちゃをして仲間の猫や飼い主さんから怒られたときにする場合は「ごめんなさい」「叱らないで」という反省の意味も含まれています。
しかし、スキンシップを取ろうとして手を伸ばしたときなどにする場合は要注意!
猫が危害を加えられると思っていたり、本気で怒っていたりするときの威嚇行為であるため、刺激を与えずにそっとしておいてあげてくださいね。
耳が外側に向かって横に少し倒れているとき
猫の耳が顔の外側へ向かって、横に少し倒れているときには「安心できる」「リラックス中」というサインです。
緊張状態がほぐれてリラックスしている状態では、適度に筋肉の力が抜けているため、耳は自然と外側へ向きます。
一見怒っているときの耳の動きと似ていますが、表情や態度をチェックすれば判断できますよ。
体の力がほどよく抜けていて、頭を下げてウトウトしているときや退屈そうにゴロゴロしているときであればリラックスしているサインです。
飼い主さんになでられているときや、膝の上などでくつろいでいるときなどにも見られるしぐさでもあります。
耳を顔の後ろへ向けているとき
猫が耳の後ろへ向けているときは主に「怒っている」「近寄るな」という気持ちを表しています。
見た目がイカの形に似ていることから「イカ耳」とも呼ばれる状態であり、猫がイライラしているときや精神的にストレスを感じているときなどに多く見られるしぐさです。
威嚇の意味もあるため、イカ耳状態の猫は表情も険しくなっている傾向にあります。
近寄ると引っ掻かれたり噛みつかれたりして、飼い主さんがケガをする可能性があります。
そのため、無理にコミュニケーションを取ろうとせず、猫が落ち着くまで静かに見守ってあげてくださいね。
耳が前のめりになっているとき
耳の先が顔の前へ向かって前のめりになっている場合は、猫がご機嫌になっているサインです。
飼い主さんの遊んでもらったときや、美味しいご飯を食べたときなどに見られるしぐさです。
物事に興味津々なサインでもあるため、ぜひお気に入りのおもちゃなどでたくさん遊んであげてくださいね。
耳の動きや向きの意味を理解して、今の愛猫の気持ちをチェックしてみよう!
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猫の耳はただ可愛いだけでなく、猫の生活や感情表現において重要な役割を担っている部分です。
普段の様子をよく観察すれば「この子はこの音が苦手なんだ」「この遊びをするときは喜んでるなぁ」といったように、これまで分からなかった愛猫の新しい一面を発見できるかもしれませんよ。
本記事で紹介した内容を参考にしながら、ぜひ今の愛猫の気持ちをチェックしてみてください。
著者情報

西野由樹
生粋の犬好きなフリーランスWebライター。執筆のお供はコーヒーと愛犬のマルチーズ「こたろう」。
やんちゃな愛犬にちょっかいを出されつつ、今日も実体験・調査に基づいた執筆で、読んで楽しい記事づくりに勤しむ。