猫のヒゲの本数はどれぐらい?
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猫の可愛らしさを引き立ててくれるヒゲですが、全部でおよそ60本とされています。
また、猫のヒゲと聞くと「鼻の下に生えているもの」というイメージを持っている人は多いのではないでしょうか?
猫の可愛らしいぷくぷくの口元を作り出している部分である鼻の下は「ウィスカーパッド」と呼ばれており、片側12本、合計24本のヒゲが生えています。
しかし、猫のヒゲは顎の下や頬などにも生えており、生えている場所によってそれぞれ呼び名が異なります。
例えば目の上のヒゲは眉上毛、頬の上部のものは頬骨毛、鼻の下であれば口角毛と呼びます。
ちなみに顔周りだけでなく、実は猫の前足にもヒゲが付いているのをご存じでしたか?
足首あたりから少しだけ長く出ている毛のことで、一見被毛と間違いやすいですが、顔周りのヒゲと同じような役割を担っています。
猫のヒゲが持つ意外な役割とは?
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顔周りからぴょんと伸びている様子が可愛らしい猫のヒゲですが、ただのヒゲと侮るべからず!
実は、猫の生活にはなくてはならない重要な役割を果たしているんです。
ここからは、猫のヒゲが持つ意外な役割について解説します。
周囲の安全確認をするためのセンサー
猫のヒゲは、周囲の安全を確認するためのセンサーとしての役割があります。
猫のヒゲの根本には血液が満ちている環状洞という部分があり、障害物にヒゲが触れたときの触感などをキャッチすることで、狩りをするための情報を得る仕組みになっています。
ヒゲから得られる情報は膨大で、温度や風向きはもちろん人間では感知できない空気中の微細な振動も察知できます。
ヒゲを通して情報を得ることで、周囲に危険な物が存在しないか、対象との距離感を判断しています。
つまり、飼い主からすると狭くて通れない・不安定で危ないと思う場所であってたとしても、猫が臆することなくサッと通っていくのは、ヒゲから得た情報をもとに「安全に通れる!」と判断しているからなんです。
獲物の場所・状態を察知するためのレーダー
猫のヒゲは自身の身を守るだけでなく、狩りをするときのレーダーとしても役立っています。
「猫は夜目がきく」というイメージを持たれがちですが、実は猫の視力は人間の10分の1とされています。
加えて、猫は明け方や夕暮れなどの時間帯で活発になる「薄明薄暮性」の動物であるため、光の少ない薄暗い環境で狩りを行わなくてはいけません。
そんなときにもヒゲが空気の流れなどをキャッチすることで、周囲の環境や獲物の場所が分かるため、暗い場所でも問題なく狩りを行えるんです。
また、獲物を捕まえた際にも口元や前足のヒゲが獲物の状態を確認し、しっかり仕留められたかをチェックする役割を担うとされています。
狩りの際に弱点となりうる弱い視力を、ヒゲがカバーしてくれています。
今の気持ちを表すバロメーター
猫のヒゲは普段のコミュニケーションにおいても、気持ちを伝えるツールとして役立っています。
愛猫の顔をよく見てみると、ひげがピンッと立っていたり、だらりと垂れ下がっていたりすることはありませんか?
クールな動物というイメージを持たれがちですが、実は猫はヒゲの向きや力の入り方によって、その時の感情を分かりやすく表現しているんです。
ヒゲの動きや状態をチェックすることで、猫の気持ちや伝えたいことがチェックできるので、愛猫との毎日のコミュニケーションをより充実させられるでしょう。
ヒゲの動きで分かる猫の感情表現一覧
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ヒゲから猫の感情表現をチェックする際のポイントは「向き」です。
猫はその時の感情によって口元の力の入り方が少しずつ違うため、日頃からヒゲの状態をチェックしてみると、愛猫の今の気持ちをスムーズにキャッチできるようになりますよ。
ヒゲが前を向いている
猫のヒゲがブワッと広がるように前を向いている場合は「興味がある」「緊張」といった気持ちを表しています。
猫のヒゲが前を向くのは、対象や周囲の情報を集めようとしている状態です。
遊んでいるときであれば遊びに夢中になっているサインであるため、思い切り一緒に遊んであげましょう。
また、外出時であれば、いつもと違う場所で落ち着かない状態になっていると考えられるので、愛猫が不安にならないようにケアしてあげることが大切です。
ヒゲが後ろを向いている
猫のヒゲが頬に張り付くように後ろを向いている場合は「怖い」「警戒している」という気持ちを表していることが多いです。
一般的に敵から攻撃されそうなときや、相手へ攻撃を加えようとしているときなどには口元に強い力が入ることから、ヒゲが後ろへ向くとされています。
緊張していてとてもデリケートな状態ですので、刺激しないようにしましょう。
ちなみに、食事中などにもヒゲが後ろを向くことがありますが、これは食事の際にヒゲが汚れないようにするための行為であり、警戒しているわけではないので安心してくださいね。
ヒゲがだらりと垂れ下がっている
猫のヒゲが垂れ下がっている場合は「眠い」「退屈している」などの気持ちを表すとされています。
ヒゲが被毛よりも太くて重さがあるため、口元に力が入っていない状態だと垂れ下がります。
口元に力が入る(=ヒゲが立つ)のは緊張している状態でもあるため、ヒゲが垂れ下がっているときは猫がリラックスしてくれているサインともいえるでしょう。
ヒゲが垂れ下がっている状態でも、グルーミングを始めていれば「眠い」ゴロゴロしている場合は「退屈」といったように、状況によって表現している感情は少しずつ異なります。
愛猫の様子を見ながら、適度にかまってあげてくださいね。
猫のヒゲに関するQ&A
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猫の毎日の活動において重要な役割を担っているヒゲだからこそ、扱い方に悩む飼い主さんも多いのではないでしょうか?
ここからは、猫のヒゲに関するよくある質問についてチェックしていきましょう。
Q.猫のヒゲってどんどん伸びるけど、切ってもいいの?
猫のヒゲは被毛と同じように扱いがちですが、神経がつながっている非常にデリケートな場所なので、絶対に切ったり抜いたりしないでくださいね!
ヒゲを切られたり抜かれたりした猫は、人間で言う「目が見えなくなった状態」です。
平衡感覚が失われて真っ直ぐ歩けなくなったり、障害物を感知できずに思わぬ事故の原因になったりするため、猫の生活に大きな支障が出てしまいます。
Q.猫のヒゲは触っちゃダメなの?
猫のヒゲは神経に繋がっていてとても敏感な場所なので、できるだけ触らないようにしてあげてください。
猫によってはヒゲを触られることを嫌がったり、ストレスに感じたりすることもあります。
ヒゲが汚れた際にも、基本的には猫が自分で毛づくろいをするためお手入れは不要です。
酷い汚れが付着している場合にはシャンプーをするか、湿らせた布でやさしくぬぐう程度にとどめておきましょう。
Q.愛猫のヒゲが抜け落ちてるけど大丈夫?
切ったり抜いたりしてはいけないものであることから、愛猫の抜け落ちたヒゲが落ちているとびっくりしますよね。
被毛ほど頻繁ではないものの、猫のヒゲは一定期間で生え変わるものであるため、自然に抜け落ちたものであれば心配いりません。
しかし、なかにはストレスや猫ざそう(ニキビ)などが原因で抜け落ちてしまうこともあるため、頻繁にヒゲが抜け落ちている場合は一度病院へ相談することをおすすめします。
ヒゲの数と役割を知って、愛猫の新しい魅力を発見しよう!
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猫はおよそ60本ものヒゲを使い、さまざまな情報を察知したり感情表現をしたりしています。
もちろん猫によって個体差があるため、愛猫のヒゲの本数や状態を観察してみると、いつもは気が付かなかった魅力を発見できるかもしれませんよ!
本記事で紹介した内容を参考にしながら、あなたの愛猫の可愛いヒゲをチェックしてみてくださいね。
著者情報

西野由樹
生粋の犬好きなフリーランスWebライター。執筆のお供はコーヒーと愛犬のマルチーズ「こたろう」。
やんちゃな愛犬にちょっかいを出されつつ、今日も実体験・調査に基づいた執筆で、読んで楽しい記事づくりに勤しむ。