犬は人間の言葉をどこまで理解できる?
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犬の飼い主は、愛犬が人間の言葉をよく理解していると感じています。
しかし、実際のところ犬は人間の言葉をどこまで理解できるのでしょうか?
犬は特に、日常的に使用される言葉や、トレーニングで使用される命令をよく理解します。例えば、「散歩」「ごはん」「おすわり」「お手」などの言葉は、多くの犬が即座に反応できるでしょう。
しかし、犬の言葉の理解は人間とは異なります。
犬は文法や文脈を理解するのではなく、特定の音や単語と、それに関連する行動や状況を結びつけています。
つまり、飼い主がリードを持ちながら「散歩に行く?」などと犬に聞いた時に、犬は「リードを持って、散歩という単語を発した。これは散歩に行く合図かな?」と理解するのです。
頭の良い犬であればたくさんの言葉を理解するでしょうが、基本的にはすべて単語で理解しており、かつ飼い主の行動や声のトーンなども参考にしているといえるでしょう。
犬に話しかけることのメリット・効果
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メリットがわかれば、積極的に犬に話しかけようと考えるはずです。
それでは、犬に話しかけることのメリットや効果をご紹介します。
信頼関係の構築
犬に話しかけることは、飼い主と愛犬の間の信頼関係を築く上でとても大切です。
優しい声で話しかけることで、犬は安心感を得ます。
また、犬に話しかけたり散歩をしたりするなどの定期的なコミュニケーションを通じて、犬は飼い主の存在をポジティブに認識するようになります。
もちろん日々のしつけも大切でしょうが、犬に対する命令や指示だけでなく、「今日は暑いね」、「体調はどう?」などの日常的な会話を交わすことで、犬は飼い主のことがさらに好きになるでしょう。
ちなみに、これはまだ信頼関係が十分に築けていない、家族になったばかりの犬に効果的です。
信頼関係が深まればトレーニングもスムーズに進み、より良い関係を築くことができるはずです。
人間の言葉を理解するようになる
人間の赤ちゃんと同様に、犬も人間の話す言葉を徐々に理解していきます。
日常的に話しかけることで、犬の理解できる言葉は増えていきます。
特定の言葉を特定の行動や物と結びつけることで、犬の理解力は向上するでしょう。
例えば、「散歩」という言葉を使うたびに実際に犬と散歩に行くことで、犬はその言葉の意味を学習します。
こうして、しつけのコマンドだけでなく、日常会話の中の言葉も理解できるようになっていくのです。
犬の精神的なサポート
犬に話しかけることは、単なるコミュニケーション以上の意味があります。
優しい声で話しかけることは、犬にとって精神的な安定をもたらしてくれるでしょう。
特に、犬が不安や恐怖を感じている時、例えば、犬が雷や花火の音で怯えている時に落ち着いた声で話しかけることで、犬の不安を和らげることができます。
また、引っ越しなどで新しい環境に慣れる際にも、飼い主の声は重要な役割を果たします。
常に犬に話しかけて褒めることにより、犬の自信を育み、ポジティブな経験を増やすことができるのです。
飼い主自身のストレス軽減
犬に話しかけることは、実は飼い主にとってもメリットがあります。
愛犬との会話は、人間のストレスをも軽減してくれることが期待できます。
悩み相談を犬にすることで、心の整理がつくこともあるでしょう。
また、犬との会話を通じて自己肯定感が高まることもあるはずです。
なぜなら、犬は批判せずに飼い主の話を聞いてくれるからです。
無条件で自分の話を受け入れてくれるということは、飼い主にとって、精神的にも良い影響を与えてくれるでしょう。
犬に話しかける際のコツ
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犬は飼い主とコミュニケーションをとることが好きなので、話しかけられるととても喜びます。
最後に、犬に話しかける際のコツを解説します。
声のトーンに気を付ける
犬は言葉の意味よりも、声のトーンに敏感に反応します。
そのため、犬に話しかける際はいくつかの注意点を守る必要があります。
楽しい時には明るく高めの声で話して、犬を落ち着かせたい時は低く穏やかな声を使うなど、その場の雰囲気によって声のトーンを使い分けることによって、犬に人間の感情を伝えやすくなるでしょう。
犬を褒める時には、「すごい!おりこう!」などと明るく嬉しそうな声で話しかけることで、犬は飼い主の喜びを肌で感じてくれます。
逆に、犬を落ち着かせたい時には、「大丈夫だよ」と落ち着いた話し方をすることで、犬もリラックスできるはずです。
シンプルで一貫性のある言葉を使う
犬は複雑な言葉を理解することは難しいですが、シンプルで一貫性のある言葉なら覚えやすいです。
「散歩」や「おすわり」など、犬にしつけを行う際もシンプルな単語を使用するのは、犬は長い言葉を理解できないからです。
また、これらのコマンド(命令)を使用する時は、家族全員で同じ使い方をする必要があります。
人によって「おすわり」や「すわれ」、「シット」などとしつけのコマンドが違うと、犬は混乱してしまうでしょう。
ボディランゲージと組み合わせる
犬に話しかける時は、言葉だけでなくボディランゲージも組み合わせることで、犬が理解しやすくなります。
例えば、犬を褒める時には「すごい!おりこう!」などと言葉を発するだけでなく、両手を広げて嬉しさを表現するのも良いでしょう。
「呼び」のしつけの際に、手招きをするようなボディランゲージをするのも良さそうです。
また、犬は飼い主とのアイコンタクトも大切にするため、犬の目をしっかりと見ながら話すのもおすすめです。
話しかけるタイミングと状況を考慮する
犬に話しかける際は、タイミングや状況も大切です。
当然ながら、犬が気持ち良く寝ている時に話しかけると嫌がります。
そのため、なるべく静かで犬が集中できそうな環境で話しかけることが大切です。
ちなみに、犬のしつけを強化する時は、逆に集中できないような環境で行うことをおすすめします。
どのような状況でも犬が飼い主のコマンドを最優先に行動できるように、ドッグランなどの賑やかな環境でしつけに取り組むのも良いでしょう。
もちろん、犬に話しかけるだけであれば静かな環境であることに越したことはありません。
積極的に犬に話しかけよう!
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犬と話すことは、コミュニケーションのほか、信頼関係を構築することに繋がります。
また、犬が人間の言葉を理解しやすくなるため、しつけにも役立つでしょう。
ちなみに、犬に話しかけることは飼い主のストレス軽減も期待できます。
もちろん犬が人間の言葉のすべてを理解することは難しいですが、人間の声のトーンなどから、人間の伝えたいことがなんとなく理解できるはずです。
世間話でも何でも良いので、今日から愛犬に毎日話しかけてみてはいかがでしょうか?
著者情報
けんぴ
若い頃はドッグトレーナーとして、警察犬の訓練やドッグスポーツなどを行う。
それらの経験を活かし、ペット系ライターとして活動中。
現在はすっかり猫派となる。
好きな犬種・猫種はボーダーコリーとノルウェージャンフォレストキャット。