犬の膵炎はどんな病気?症状や原因、予防方法を解説

犬も私たち人間と同様に、膵炎(すいえん)を発症することがあります。
膵臓は、「沈黙の臓器」と呼ばれているため、膵炎を発症したときにはすでに症状が進行していることもあるでしょう。
この記事では、犬の膵炎の症状や原因、予防方法について解説します。 2021年07月22日作成

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犬の膵炎の症状

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犬の膵炎は、放置しておくと命に関わる病気です。
そのため、なるべく初期症状のときに膵炎に気が付いてあげる必要があります。

急性膵炎と慢性膵炎

犬の膵炎には、2つの種類があります。
急性と慢性のどちらも初期症状は変わりませんが、末期になった際の症状に違いがあるでしょう。
急性膵炎はほかの臓器にまで悪影響を及ぼすことが多く、犬は急激な腹痛に苦しむことになります。
それに対して慢性膵炎は、持続性の炎症が起きるため犬は長期間の食欲不振に陥るはずです。
食欲不振により、犬は痩せてしまうことが多いでしょう。

食欲不振

犬の膵炎の初期症状として、食欲不振が挙げられます。
これは膵炎による腹痛が原因で、犬は食事をしたくてもできないような状態になっている可能性があるでしょう。
特に膵炎の場合は極度の食欲不振になるため、日頃から犬の食事の管理をしている人であれば、すぐに異変に気が付くはずです。
また、犬が腹痛を知らせるポーズをすることがあります。
これは「お祈りのポーズ」と呼ばれるものですが、犬が遊びに誘う際の姿勢と同じです。
前足を低くしてお尻を高く上げるポーズをしている場合には、犬は腹痛に苦しんでいる可能性があるでしょう。

嘔吐や下痢

ほかの犬の病気でもそうですが、膵炎でも嘔吐や下痢などの症状が見られます。
それに伴い、黄色く脂っぽい便が出ることもあるでしょう。

腎不全などの合併症を引き起こす

犬の急性膵炎が重症化すると、腎不全や糖尿病などの合併症を引き起こす可能性があります。
そこまでいくと早急に対処しなければ犬の命に関わるため、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。
また、黄疸と呼ばれる症状が現れることもあり、これは犬の目の白目部分が黄色く変色する症状です。

血栓

犬の膵炎が末期になると、激しい炎症により臓器内の細い血管が詰まってしまう、血栓ができることがあります。
血栓はほかの臓器を傷つけてしまうなど犬の身体に悪影響を及ぼすため、血栓ができる前に対処しなければなりません。

犬の膵炎の原因

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犬の膵炎の原因は、残念ながらはっきりとはわかっていません。
しかし、「もしかしたらこれが原因では?」と予想されるものがあります。

肥満

肥満の犬は、膵炎を発症するリスクが高いといわれています。
日頃からドッグフードの量が多かったり飼い主の食事を与えていたりする場合には、気を付けたほうがよいかもしれません。

ほかの病気が原因

一部では、糖尿病やクッシング症候群などの内分泌疾患を患っている犬は、膵炎を発症しやすいといわれています。
そのため、内分泌疾患を患っている犬を飼っているのであれば、日頃からほかの病気にも気を付けたほうがよいでしょう。

脂っぽいものの食べ過ぎ

犬は、油っぽいものを食べていると膵炎を発症するリスクが高くなると考えられています。
ドッグフードのみを与えていれば問題ないでしょうが、飼い主の食事を分けている場合には注意が必要でしょう。

膵炎を発症しやすい犬種がいる?

ヨークシャーテリアなどのテリア種やプードル、アメリカンコッカースパニエルなどの犬種は膵炎を発症しやすいといわれています。
これらの犬種は脂質代謝異常を起こしやすいため、膵炎のリスクがほかの犬種よりも高いのでしょう。

犬の膵炎の予防方法

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最後に、犬の膵炎の予防方法をご紹介します。
「これをしていれば、絶対に膵炎を発症しない」というわけではありませんが、少なからず膵炎の発症リスクの軽減が期待できるでしょう。

食事を見直す

犬の膵炎を予防するには、食事を見直す必要があります。
特に肥満気味の犬であれば、脂質の低いドッグフードに変更するなど、ダイエットに努めることがおすすめです。
基本的に犬は総合栄養食のドッグフードを与えていれば心身ともに健康を保つといわれていますので、人間が食べているものやおやつなどをむやみに与えずに、総合栄養食だけを与えるようにしましょう。

もちろん、ドッグフードの与える量にも気を付けなければなりません。
ほとんどはドッグフードのパッケージに目安量が記載されていますが、不安な人は獣医師に相談してみるとよいでしょう。

適度な運動をする

適度な運動をすることで、犬が肥満にならないようにしましょう。
食事によるダイエットも大切ですが、それ以上に毎日の運動も大切です。
室内飼いで十分といわれている小型犬であっても、しっかりと外で運動をしなければなりません。
犬の散歩は運動不足や肥満解消と同時に、ストレス解消の効果もあります。
そのため、小型犬であっても朝晩2回各15~30分ずつの散歩は欠かさずに行いましょう。

定期的な健康診断を受ける

動物病院で犬に定期的な健康診断を受けさせることで、膵炎の早期発見に繋がります。
血液検査などはもちろん、場合によっては膵炎の専用検査キットを使用することもあるでしょう。
レントゲン検査などもしっかりとすることで、膵炎に限らずほかの病気の早期発見ができるはずです。

犬の膵炎は再発する可能性がある

犬の膵炎は、回復期に再発する可能性があります。
特に急性膵炎を発症したときに多く、急性膵炎から慢性膵炎に移行することもあるでしょう。
そのため、膵炎を治療した後も気を抜くことなく、しっかりと予防に取り組む必要があります。

犬の膵炎は早期発見が大切

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「沈黙の臓器」と呼ばれる膵臓は、なにか異常が現れてからでは対処が遅れる可能性があります。
膵炎も同様で、重症化すると犬の命に関わることもあるでしょう。
原因がはっきりとわかっていないにせよ、膵炎の予防はしっかりとしておかなければなりません。
そのため、毎日の散歩はもちろん、定期的な健康診断も行いましょう。
もしも、犬に人間の食事や脂質の高いドッグフードを与えているのであれば、それらも見直す必要があります。
犬の膵炎の予防をしておくことで、ほかの病気からも犬を守ることに繋がるはずです。

著者情報

けんぴ

若い頃はドッグトレーナーとして、警察犬の訓練やドッグスポーツなどを行う。
それらの経験を活かし、ペット系ライターとして活動中。
現在はすっかり猫派となる。
好きな犬種・猫種はボーダーコリーとノルウェージャンフォレストキャット。

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