犬が飼い主に行う愛情表現とはどのような行動でしょうか?愛犬が体中を使って伝えてくれる愛情をきちんと受け取れるよう、行動の意味を理解しておきましょう!
犬は人間に対して愛情を持つ動物なのか?
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結論からいうと、犬は人間に対し愛情を抱く動物だとされています。
犬とオオカミの社交性を比較した以下のような実験が行われました。
捕獲後に人の手によって飼育されたオオカミと犬が、それぞれどのように人間に対して接するかを調査したところ、オオカミは人間にあまり興味を示しませんでした。
しかし、犬は初対面の人間に対しても分け隔てなくフレンドリーに接したそうです。
この研究から、遺伝子的に類似しているオオカミと犬であっても、犬のほうが人間に対し愛情を抱きやすい動物であると考えられます。
また、社交性が高く友好的な性格になる「ウィリアムズ症候群」の患者からみられる遺伝子の変異が、犬にも存在するという報告も出ているようです。
犬は長い歴史のなかで牧羊犬や警察犬など、人間を補佐する使役犬として改良が施されてきました。
そのような背景も、犬が人間に対して愛情を抱きやすい理由なのかもしれません。
犬がみせる愛情表現をあらわす行動とは?
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犬がみせる愛情表現をあらわす行動はたくさんあります。
愛犬が普段どんな行動を取っているか想像しながらご覧ください。
① しっぽを高く素早く振る
しっぽを高く素早く振っているときは、上機嫌でテンションが高くなっている状態です。
飼い主さんに撫でてもらっている、遊んでいるときなど、犬が幸せを感じていることをあらわしています。
しっぽの長い犬種だと、自然な状態で垂らしたままのしっぽをゆっくりと動かしている場合もあります。
また、この行動は人間だけに行われるものではなく、ほかの犬を遊びに誘う際にもみられるのが特徴です。
② 仰向けになってお腹をみせる
仰向けになってお腹をみせるのは、犬にとって急所部位をさらけ出すことになります。
そのことから、犬が飼い主さんに対し深い信頼を持っていることをあらわしています。
ですが、仰向けになった状態でそっぽを向き、しっぽをお腹のほうに巻き込んでいるようであれば、それは愛情表現ではなく極度の緊張状態をあらわす行動です。
見極めが難しいですが、愛犬の状況を考慮したうえで、感情を読み取るように心がけましょう。
③ ジッと飼い主を見つめてくる
飼い主さんをジッと見つめ続けるのも犬の愛情表現のひとつです。
飼い主さんが何をしているのか、もっと自分を見てほしい、といった感情からくる行動のようです。
愛犬の視線に気づいたら、優しく撫でてあげるなどのコミュニケーションを取ってあげてください。
④ 飼い主の手足を舐める
飼い主の手足を舐める行動も愛情のあらわれです。
この行動は子犬期に母犬に対してご飯を要求していたころの名残だと考えられており、飼い主さんを母犬のように思っている証です。
手足以外にも顔を舐めまわす犬がいますが、衛生的によくありません。
愛犬の行動が嬉しくてつい放置してしまいますが、「顔を舐めれば飼い主さんが喜んでくれる」と犬が誤解する原因を作る恐れがあります。
そのため、犬が顔を舐めてきたら、「おすわり」や「待て」などのコマンドを出し、犬の興奮が静まったところで頭などを撫でるようにしましょう。
⑤ 体に飛びついてくる
犬が飛びついてくるのは、「嬉しい」「遊んでほしい」などの気持ちをあらわしています。
犬の飛びつきはかわいらしいものですが、体の大きな中型~大型犬に飛びつかれると、転倒などによるケガを負う恐れがありますし、犬の足にも負担がかかってしまいます。
そのため、犬が飛びついてきたら目線を合わせず無視するようにしてください。
愛犬の気持ちを遮る行動にみえますが、飼い主と犬の双方がケガをしないためのしつけですから、根気よく続けていきましょう。
⑥ 頭や鼻をくっつけてくる
頭や鼻をくっつける仕草は、信頼や服従、愛情をあらわすとされています。
力強く頭を押し付けてくることもありますが、それは飼い主さんが大好きな証拠ですから、時間が許すようであれば遊んであげましょう。
⑦ お尻をくっつける
犬がお尻をくっつけてくるのは、飼い主さんと一緒にいることで安心している状態です。
犬は本来、群れの仲間とお尻をくっつけ合いながら休憩や睡眠を取る動物です。
この行動は野生下において、急所である背中を互いに守り合いながら生活していた名残だと考えられています。
飼い主を群れのボスと認識し、急所を任せてくれていることからも、深い信頼と愛情からくる行動であるといえます。
マウンティング=愛情表現は違います!
マウンティングとは、犬が何かにしがみつきながら腰を振る行動のことです。
交尾の際にみせる動きと類似していますが、マウンティングは犬が自分と相手の立場の違いを明確にするための行動だとされています。
オス同士でもマウンティング行動がみられるのはそのためであり、立場が高い犬が低い犬に対して行っています。
このことから、飼い主に対して犬がマウンティング行動をするようであれば、それは飼い主より立場がうえであると誇示しているのです。
このような犬の行動を許容していると、無駄吠えや問題行動の引き金となってしまう恐れがあります。
愛犬がマウンティング行動を取ってきたら、声をあげて怒るのではなく、無言で立ち上がり無視するようにしてください。
そうすることで、飼い主の行動を見た犬は、自分より飼い主のほうが優位にあると認識してくれます。
飼い主からも愛犬へ愛情のお返しをしましょう
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犬の愛情表現にはさまざま行動があります。
もちろん犬の性格によっては愛情表現がヘタな個体もいると思いますが、飼い主さんに気持ちを伝えたいと一生懸命になっているはずです。
愛犬から愛情をもらうだけでなく、普段の生活のなかで飼い主さんからも愛情のお返しをしましょう。
そうすることで愛犬との信頼がより強くなり、これまで以上に愛おしくなることでしょう。
著者情報
U.SHOHEI
父親が犬のブリーダーをしていたこともあり子どもの頃から犬に囲まれた生活を送る。
現在は趣味の動物園・水族館めぐりから得た知識をもとに幅広く動物に関する記事の執筆をおこなっている。
得意な生物は、犬・猫・海洋生物・エキゾチックアニマル。