多くの猫は病院が苦手です。一度でも病院で怖い思いをした猫は、病院に連れて行こうとする度に「どうしても行きたくない」と嫌がって抵抗します。出かける間際までキャリーバッグに入るのを拒否し、捕まえようとすると逃げられて追いかけっこに、そして時間ばかりが過ぎていきます。
やっとの思いで病院に連れて来ればほっとしたのも束の間、今度はパニックになって暴れ出す猫もいます。飼い主さんを悩ませる猫の病院嫌い、いったいなぜなのでしょうか? そこで猫が病院を嫌う理由と、気をつけたいこと、暴れたときの対処法を紹介します。
猫が病院を嫌う理由
過去の経験がトラウマになっている
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猫が病院を嫌がるのは過去の経験がトラウマになっている可能性があります。つまり初めて病院に連れて行かれたときに怖い思いや痛い思いをして、その記憶がいつまでも残っているのです。
看護師さんに体を押さえつけられたり、獣医さんに注射されるのは、猫にとって苦痛でしかありません。ですから次に病院に連れて行こうとすると、怖い記憶や痛い記憶が蘇り、「もうあんなところには行きたくない」と反射的に病院に行くことを拒否するのです。
普段とは違う飼い主さんの挙動を察知している
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猫を病院に連れて行くときの飼い主さんの挙動も関係しています。猫は観察力に優れた動物で、飼い主さんがどんな行動をとっているかよく知っています。ですから飼い主さんの挙動が少しでも不自然だと敏感に察知して警戒するのです。
病院に行く当日は飼い主さんも緊張しています。予約している場合や電車などの公共交通機関を利用する場合は時間的な制約があります。ですから当然のように「早くキャリーバッグに入って!」とつい猫を急かしてしまいがちです。
しかし、猫からするとそのような普段とは違う飼い主さんの挙動は不審であり、「嫌な予感がする」と本能的に異変を察知して抵抗するのです。飼い主さんが焦って強引に捕まえようとすればするほど、逃げたり隠れたりして余計に手間取ることになります。
自分の匂いがしないので落ち着かない
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匂いも猫が病院を嫌がる理由です。猫は縄張り意識が強い動物で、マーキングで自分の匂いをつけることで「ここは自分の縄張りだぞ!」と主張する習性があります。ですから自分の縄張りでは強気でいられても、自分の匂いがしない縄張りの外では弱気になりがちです。
当然のことですが病院は縄張りの外なので自分の匂いが全くしません。そのうえ普段嗅いだことがないような薬品や消毒剤の匂いがするので、落ち着かずときにはパニックになって暴れることがあります。
よその犬や猫と一緒になるのが怖い
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病院での待ち時間も関係しています。診察待ちが多いと、よその犬や猫と一緒に待合室で過ごすことになります。臆病で警戒心の強い猫はこの時間が嫌なのです。特に自分よりも大きくてよく吠える犬が近くに居ると、怖くて身が縮こまってしまいます。そんな経験をすれば病院嫌いになっても仕方ありません。
猫を病院に連れて行く際に気をつけたいこと
診察まで絶対にキャリーバッグを開けない
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キャリーバッグは猫を病院に連れて行く際に必要なグッズです。プラスチックなどでできたハードタイプとポリエステルなどでできたソフトタイプがあります。どちらも猫が引っ掻いたり暴れた程度では壊れないように丈夫にできています。
ですが中の様子が気になるからと、不用意に入り口を開けると脱走される恐れがあります。特に移動中は絶対に入り口を開けないでください。病院に着いて待合室で過ごす時間も、ほかのペットとトラブルになる恐れを考えて、できるだけ入り口を開けないようにしてください。
急かさない焦らない
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出かけるときに飼い主さんが急かしたり焦って強引に捕まえようとすると、余計に抵抗されて時間を要してしまいます。猫も興奮してストレスに感じてしまいます。時間が気になるのは分かりますが、ここは落ち着いて普段と同じように愛猫と接しましょう。
時間に余裕を持って行動する
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病院を受診する当日はできるだけ時間に余裕を持って行動するように心がけましょう。なぜなら猫は小さな子どもと同じで、なかなか言うことを聞いてくれないからです。
出かける間際になって抵抗されることもありますから、出かける1時間くらい前から準備して、早めにキャリーバッグに入れましょう。公共交通機関を利用する場合は、ギリギリではなく10~15分前には駅やバス停に着くように早めに家を出ましょう。
猫が暴れるときの対処法
洗濯ネットを被せる
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猫が暴れるときに有効なアイテムが洗濯ネットです。キャリーバッグに入れるときに暴れる場合は、猫の頭から洗濯ネットを被せると素早く捕まえることができます。移動中や診察を待っている間に暴れるときは、キャリーバッグに洗濯ネットを被せましょう。外を見えなくして薄暗くすることで猫を落ち着かせるのです。
普段使っているベッドやおもちゃを持って行く
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猫を病院に連れて行く際に、キャリーバッグに普段使っているベッドやおもちゃを入れると効果的です。ベッドやおもちゃに染み付いた自分の匂いを嗅ぐことで、不安や恐怖を紛らわせることができるからです。
一度待合室から出る
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待合室でよその犬と一緒になった場合は、パニックになって暴れることがあります。できるだけ犬から離れ、それでも暴れるときは一度待合室から出ましょう。その際に受付の人に断ってから退室しましょう。
飼い主さんが落ち着くことが何よりも大切です!
猫が病院を嫌がる理由は、過去の経験がトラウマになっている、自分の臭いがしないので落ち着かない、よその犬や猫と一緒になるのが怖いなどが考えられます。
猫を病院に連れて行く際は暴れてもいいように、必ずキャリーバッグに入れ、診察の時間まで入り口を開けないようにしましょう。また出かけるときに嫌がって抵抗したり、バッグの中で暴れて思わぬ時間をロスすることもありますから、時間に余裕を持って行動するように心がけてください。何よりも大切なのは急かしたり慌てたりせず、落ち着いて普段通りに接することです。
著者情報
のらくろ
猫飼育歴20年以上、家で11匹の猫を飼っています。ほとんどが元野良猫ですが、家にご飯を貰いに来ていた親子を引き入れたので、一気に数が増えました。
とにかく毎日が大騒ぎで、世話に掃除に大変ですが、どの猫も可愛くいつも癒されています。