獣医師に聞く! 犬猫の気になる胃腸の病気《パート2》

パート1では胃腸の病気やその対処法についてお伺いしました。パート2ではさらに細かく、それぞれの症状への対処法を、引き続き、獣医師の下羽麻里奈先生にお伺いします。 2018年09月03日作成

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TOPIC 03

慢性的な下痢や嘔吐の対処法

一言に慢性的な下痢や嘔吐といっても、その原因はさまざまです。ここでは「ストレス性」「フード」について考えていきます。

慣れない場所に出かけたり、飼い主が長い時間、家を空けていたりと、ちょっとした変化がペットたちのストレスになることがあります。飼い主が気にもとめていなかった、些細なことが原因となっていることもあるので、症状が起こる前にどういった変化があったのか、今一度、振り返ってみてください。ストレス性の下痢や嘔吐の場合、まずはその原因を取り除くことで症状は快方に向かうでしょう。

また、フードを変更した場合にも下痢や嘔吐を引き起こすことがあります。これまで、あまり食してこなかった食材が入ったフードに突然変更すると、体が慣れておらず、下痢や嘔吐を引き起こしてしまうのです。フードを変える場合には、元のフードに少しずつ混ぜていき、1週間程度かけてゆっくりと体を慣らすのが良いとされています。しかし、それでも症状が改善されない場合には、新しいフードの中にアレルギー物質が含まれている可能性もあります。動物病院ではアレルギー検査ができますので、症状が改善しない場合には検査を受けてみるのも良いでしょう。もし、アレルギーが原因であれば、アレルギー物質を排除することで、下痢や嘔吐が改善します。

下羽先生:
「もともと胃腸が弱く、原因はなくても慢性的に下痢をしやすいという子もいます。そういった子の場合、繊維の多いフードや消化器サポート用の専用フードなど、消化の良いフードに変えることをおすすめします。

さらに、サプリメントなど、定期的に腸の調子を整えるものを与えてあげるのも良いでしょう」

TOPIC 04

腸内環境を整えることが下痢を防ぐ

下痢が続くと、小腸の内壁にあるひだ状の突起で、栄養や水分を吸収する役割を果たす腸絨毛が炎症を起こし、縮んでしまいます。そうなると、栄養を吸収しにくくなり、さらなる体調悪化を招いてしまいます。

一方で、腸内環境を整え、腸絨毛を健康な状態に保つことで、免疫力が高まります。これは人間にも言われている話ですが、犬や猫でも同じです。腸内細菌のバランスを整えることが病気にかかりにくい体を作ることにつながるのです。

一般的に、腸の働きをよくする善玉菌を増やすためには、プロバイオティクスと呼ばれる腸内細菌のバランスを整える成分(食品)や腸内にある善玉菌を活性化させるプレバイオティクスを摂取することが良いとされています。

TOPIC 05

サプリメントを活用しよう

プロバイオティクスやプレバイオティクスを摂取し、腸内環境を整えるためには、サプリメントが有効です。

下羽先生:
「サプリメントを選ぶ際には、データやエビデンスがしっかりしたものを選ぶと良いでしょう。ただ、そういった資料は専門的な言葉が多く、非常に難しい部分もありますので、私としては獣医師に相談することをおすすめします。

アレルギーがある子は、給与できないものもあります。その子の症状や体調に合わせたものを選んでもらうのがベストです」

獣医師のご紹介

下羽 麻里奈

バイエル薬品株式会社 動物用薬品事業部
CAビジネス統括部
学術 獣医師 下羽麻里奈
・麻布大学 獣医学部卒業
・臨床獣医師として動物病院にて勤務。
・現在バイエル薬品株式会社 動物用薬品事業部 学術

著者情報

UCHINOCO編集部

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