1. 熱中症はどんな症状?
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夏の暑い日、炎天下にずっといて、めまいや立ちくらみをしたり、頭痛がしたり、吐き気がしたりしたことはありませんか? そんな症状が出たとき、熱中症が疑われます。同じように、犬や猫も、気温の高い日や暑い場所にいることで熱中症にかかることがあります。
では、熱中症にかかってしまった場合、犬や猫にはどのような症状が現れるのでしょうか?
「犬は、足の裏でしか汗をかけません。しかも、油みたいな汗なので、その汗で体温調整をすることはできません。そのため、舌を出し、ハアハアすることで体温調整を行います。熱中症にかかると、体温調整を行おうとハアハアと呼吸を激しく行い、次第にそれが過剰になって呼吸が苦しくなります。
また、脱水も起こります。そして、体温が40度以上、場合によっては43度などの高熱になり、嘔吐や下痢を引き起こします。
さらに悪化すると、ショック症状が起こり、呼吸ができず、酸素が不足した状態になって、意識がなくなります。体の力が抜け、痙攣を起こし、やがて死に至ります」(森先生)
このように、熱中症は、最悪の場合、死をも引き起こす恐ろしい症状です。ペットに苦しい思いをさせないよう、飼い主が正しい知識を持ち、注意しましょう。
2. 熱中症を予防するには?
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熱中症を予防するために、飼い主がすべきことはどんなことでしょうか?
「まずは暑いところに放置しないことです。暑いところ、というのは、エアコンの効いていない閉め切った部屋や日向の室内、そして車の中のことを指します。車の中は、日陰でも熱中症にかかります。絶対に車の中に放置するのはやめましょう。
また、意外に盲点なのは、車の中でエアコンが入っていても熱中症になってしまうことがあるということ。車での移動中、ケージの中に入れておくと、熱がこもってしまい、エアコンが効いていてもケージ内だけ高温になっているということがあります。熱がこもらないような素材や通気性のいいものを選ぶ、適宜様子を見るなど、飼い主が気をつけてあげてください。
夏場は気をつける飼い主さんが多いと思いますが、熱中症は春先でもかかります。5月ぐらいから気をつけるようにしましょう。
そして、暑い時間帯に過度の運動をすることも、熱中症の原因になります。特に、アスファルトやコンクリからの熱は、人間が思うよりも強いので、夏場は日中の運動を控えるようにしましょう。また、屋外で飼育している場合には、直射日光が当たらないことはもちろん、日陰でもアスファルトやコンクリの反射によって暑くなりすぎていないか注意してくださいね。
さらに、子犬や老犬、鼻の短い、呼吸がしづらい犬種、呼吸器トラブルを抱えている子、肥満体型の子は、体温調整がうまくいきにいくいので、特に注意が必要です」(森先生)
3. 熱中症になったときの対処法は?
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気をつけていても、熱中症にかかってしまった場合、飼い主がすべきことを森先生にお伺いしました。
「とにかく冷やすことが大切です。室内が暑かったら、エアコンなどを使って快適な温度にするとともに、体にお水をかけて体自体を冷やします。
このとき、あまりにも冷たすぎる水、氷水、保冷剤を使ってはいけません。冷たすぎる氷水や保冷剤は、皮膚の血管を収縮させてしまい、体温が下げられなくなってしまうのです。15〜20度ぐらいの水を使って体を冷やすのが良いでしょう。また、水をかけたところに、扇風機などを当てて、風を送るのも効果的です。
そして、体を冷やしながら、動物病院に連れて行きましょう。もし、体温を測れるようでしたら、体温を測ってみてください。39度まで下がったら、体を冷やすのをやめます」(森先生)
熱中症は命にも関わる症状です。ペットの様子がおかしいと思ったら、すぐに対処してくださいね。
森 美幸 獣医師
子供の頃から動物好きで、獣医師を目指し岐阜大学に進学。
念願の獣医師免許取得後、岐阜県・大阪府・兵庫県の動物病院に勤務。
診断業務に従事する中で、人とのコミュニケーションの共感を覚え、メディカルアロマアドバイザー、リンパリファインセラピストの資格を取得。
「やすらぎの森 ルーエ」を2014年に設立、ペットと飼い主さまのセラピーを提供。
現在、フリーランス獣医師として、東京都の動物病院にて診療。
また、しつけ教室、パピーパーティなども開催。
著者情報
UCHINOCO編集部
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