1. ワクチン接種はなぜ大切なの?
犬、猫には感染力が強く、命に関わるような病気がたくさんあります。それらの病原体は、それこそ空気中にも漂っている場合もあり、どこに潜んでいるかわかりません。そんな恐ろしい病気の中に、ワクチンを定期的に接種することで予防できるものがあります。犬、猫と長く一緒に暮らすためにも、予防できる病気は、しっかりと予防することが大事です。
「犬も猫も自分で予防することはできません。人間社会の中で、動物と共存し、家族の一員として接しているならば、飼い主は知識を持って、獣医師の指導の元、徹底した予防をしていただきたいと考えています」(Y先生)
予防にやりすぎはありません。定期的なワクチン接種を習慣づけましょう。
なお、ワクチンにはコアワクチン(すべての犬と猫が接種すべきワクチン)と、ノンコアワクチン(特定の地域やライフスタイルによって感染症のリスクが生じる犬猫にのみ必要なワクチン)があります。地域の獣医師の指導に従い、必要なものを打ちましょう。
2. ワクチンはいつ頃受けるの?
犬も猫も、母親から胎盤を通して免疫を受け取り、抗体が作られます。この抗体は8〜12週頃に弱くなり、以降は自分で抗体を作るまでは抗体がない状態になります。抗体を作るためには、その病気にかからなければなりません。しかし、抗体を作るために病気にかかるというのは危険な行為です。そこで、ワクチンを使って抗体を作る必要が出てきます。
ワクチンは、1回目の接種を8週に、2回目の接種を1回目の接種から約1ヶ月後に行います。
3. 狂犬病ワクチンは義務
狂犬病とは、犬や人間など、すべての哺乳類に感染する、大変危険な病気です。ウイルスが体に入ってから48時間以内に血清を打つことで、非常に低い割合で助かることはありますが、発症した場合の致死率は100%と言われます。
「我々が、人畜共通伝染病(人間にも移る伝染病)の中で、もっとも恐れているのが狂犬病です。日本では昭和29年から発生していませんが、だからといって予防接種をしなくていいわけではありません。年々、犬の飼い主さんの中では危機感が薄れていっていますが、いつどこで広がり、ウイルスが入ってくるかわかりません。もし、日本に致死率100%のウイルスが入ってきたら、パニックは必至です。狂犬病の予防接種は、犬を飼う人が絶対にしなければならい予防接種なのです」(Y先生)
狂犬病のワクチン接種は、毎年1回の接種が法律で義務付けられています。また、海外に犬を伴って渡航する際にも、国によっては必要となります。
4. 犬の感染症を防ぐワクチン
コアワクチン
・犬ジステンパー
風邪のような症状、神経症状を引き起こす致死率の高い病気。
・犬パルボウイルス感染症
特に子犬に見られる、嘔吐や血便、激しい下痢が起こる病気。妊娠中の母犬が感染すると、胎子に感染し、流産してしまうこともある。
・犬伝染性肝炎(アデノウイルス1型)
急性の肝炎を起こす病気。
・犬伝染性咽頭気管支炎(アデノウイルス2型)
咳が続き、風邪のような症状が起こる病気。
ノンコアワクチン
・レプトスピラ感染症
ネズミなどが保菌している病気で、重症になると腎障害や黄疸を引き起こす。人間にも感染するため、小さな子供、老人のいる家庭では特に気をつけたい病気。
・犬風邪(ケンネルコフ/犬パラインフルエンザウイルス)
子犬の時にかかりやすい病気で、呼吸器症状が起こる。
・ライム病
マダニに刺されることで引き起こす病気。発熱や食欲不振が起こる。人間にも感染する。
5. 猫の感染症を防ぐワクチン
・猫ウイルス性鼻気管炎
くしゃみや鼻水、発熱などの風邪症状が起こる病気。この病気は、完治させないと、ウイルスが一生体に残り、再発する可能性がある。
・猫カリシウイルス感染症
猫風邪の一種で、重症化すると口内炎や舌に腫瘍ができる病気。
・猫汎白血球減少症(猫伝染性腸炎/猫ジステンパー)
重度の腸炎を引き起こす病気。腸などに炎症を起こし、白血球が急激に減少するため、致死率も高い。
・猫クラミジア感染症
猫風邪の一種。人間にも感染する。
・猫白血病ウイルス感染症
リンパ節の腫れやリンパ腫、白血病などを引き起こす病気。完治することはなく、致死率も高い。
・猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)
血液感染や母子感染で移る病気。免疫機能が低下し、口内炎や嘔吐、下痢など様々な症状を引き起こす。
6. 毎年接種することで高い防御率に
犬や猫の場合、免疫作用が人間と違うため、毎年接種する必要があります。定期的に接種することで高い防御率を保てるため、必ず毎年行いましょう。
「犬猫の伝染病の中には、人間に移る病気もあります。自分の飼っていた犬や猫から、自分の孫や親戚のお子さんに病気が移ってしまうというのは、非常に辛いことだと思いませんか? そういった悲劇が起こらないためにも、ワクチン接種を怠ってはいけません」(Y先生)
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UCHINOCO編集部
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