猫にも“利き手”がある!?愛猫の前足をチェックしてみよう!

小さくてかわいい猫の手ですが、近年では猫にも人間と同じように「利き手」があると言われているのをご存知ですか?
猫の利き手を知れば、愛猫の新しい魅力に気付けるかもしれませんよ。
本記事では、そんな猫の「利き手」についてチェック方法とともに解説します。 2025年09月04日作成

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猫にも「利き手」があるって本当?

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人間の場合、食事中のお箸の持ち方や文字を書くときなどに、右利き・左利きといったような「利き手」がある人が多いでしょう。
実は猫にも人間と同じように利き手があると考えられています。
「四足歩行の動物なのに、利き手があるの?」と思う人もいるかもしれませんね。
まずは、猫の利き手に関する調査や豆知識について紹介しましょう。

日常生活のあらゆるシーンで猫に「利き手」が存在するという研究結果がある

猫の利き手は、実は動物の学術研究の一環として海外を中心に注目されている分野ですが、2018年に発行された動物に関する学術誌『Animal Behaviour(アニマル・ビヘイバー)』では、猫の自然な行動に基づくデータとともに「猫に利き手がある」という研究結果が発表されました。

研究をしたのは、生物学や獣医学などに強いとして知られる、北アイルランドにあるクイーンズ大学ベルファストのデボラ・ウェルズ博士のチームです。
ウェルズ博士の研究では、雑種で去勢済みの飼い猫(オス24匹、雌20匹)を対象に、猫の自宅にて取る行動を観察。
容器に入れたエサを取るとき・階段を降りるとき・トイレの砂に入るとき・横になって寝るときという4つの状況において、猫が左右のどちらの手を使うかを飼い主が3か月に渡って記録を行いました。

その結果、容器からエサを取るときには73%、猫が階段を降りるときには70%、トイレに入るときには66%の猫において「よく使う利き手」が存在することが判明しました。
しかし、寝るときに左右どちらを下にするかのテストでは、そこまで利き側は見られなかったとされています。

ちなみに、猫の利き手は生後1年ほどで固定化される傾向があるといわれています。
子猫の頃に歩行やジャンプといった基本的な運動能力を得て、後に前肢を活用した複雑な動作ができるようになることから、発達の過程で利き手が決まっていくとされています。

しかし、発達過程が利き手に影響するという考えはあくまで一説であり、左右どちらの利き手になるかを決める明確な要素についてはまだ明らかになっていません。

猫の「性別」によって利き手に傾向の違いがある

また、ウェルズ博士の研究結果では、猫の利き手は「性別」によっても違いがあることが分かっています。
研究対象とした猫の行動によると、オス猫は前足の左側(=左手)、雌は前足の右側(=右手)を使う傾向が強いことが発表されています。

ちなみに日本でも、2022年にNHKが「動物の利き手大調査!」において市民参加型の調査が実施されています。
こちらの結果では、メスについては右利きが約38%に対して、左利きが約28%で、右利きが多くを占める結果となっています。一方、オスについては、右利きが約26%に対し、左利きが42%となり、左利きが多くを占める結果となり、海外の研究結果と同様の傾向が表れています。

性別による猫の利き手に違いが出たことについて、性別による脳の違いやホルモンなどが影響している可能性があり、一般的に右手は左脳、左手は右脳から出る指示が優位となって動いている傾向にあり、利き手は脳の運動と深く関係するとされています。

つまり、猫の性別によって脳の運動に関わる部分の使い方が違うために、利き手の違いが出ていると考えられています。

あなたの愛猫はどっち?猫の利き手をチェックする方法

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海外を中心に研究されている猫の利き手ですが、実は「特定の行動において左右どちらの前肢をよく使うか」をチェックすることで、あなたの愛猫の利き手を簡単にチェックできるんです。
ここからは、愛猫の利き手がどちらなのかをチェックする方法を紹介します。

一回のチェックでは結果にブレが出てしまうため、時間を置いて長期的に記録を取ることでより正確な愛猫の利き手が分かりますよ。
なお、利き手チェックは一日に全ての検証回数をこなす必要はありません。
猫が検証に飽きてきたり嫌がったりしたときには、その日の検証は終了して、続きは別の日に行ってあげてくださいね。

①おやつを入れたカップを使ったチェック方法

愛猫が好きなおやつを使ったチェック方法であれば、猫の自然な癖が観察しやすいため本来の利き手が分かりやすいでしょう。
連日チェックを行うと習慣化してしまい、猫の本来の利き手が分かりにくくなる点には注意しましょう。
チェックする日は間を空けつつ、合計で100回程度実施するのがおすすめです。
猫の性格によっては検証中に飽きてしまう子もいますが、日時を変えつつ根気強くチェックしてみてくださいね。

≪やり方≫
1.愛猫の好きなおやつを一粒だけ透明な瓶に入れる
2.猫が瓶からおやつを取り出す際に、左右どちらの前肢を使うか確認する
3.1日約10回程度検証を行い、チェック期間終了後にどちらの前肢を多く使ったかチェックする

②おもちゃを使ったチェック方法

遊ぶのが好きな愛猫であれば、おもちゃを使ったチェック方法もおすすめです。
普段から遊んでいるおもちゃを使うことで、愛猫が警戒せずに自然な利き手を観察できますよ。
チェックの際には最初に差し出す手に注目するのがポイントです。
片側の手に近い位置におもちゃを置くと、検証結果にブレが出てしまう可能性があるため、おもちゃはできるだけ愛猫の正面になるように配置しましょう。

≪やり方≫
1.普段から遊んでいるおもちゃを、猫の正面かつ猫の手が届くギリギリの距離に差し出す
2.猫が左右のどちらの手からおもちゃに触れるかを観察する
3.10回程度繰り返して行い、左右どちらの手を多く使っていたかを確認する

③日常生活からチェックする方法

別途道具を用意して行う検証が難しい場合には、日常生活のしぐさから愛猫の利き手をチェックすることもできますよ。
猫の気分によって使う手が変わることもあるため、あくまで傾向をチェックする方法ではありますが、各シーンにおいて複数回観察することでより自然な利き手が分かるでしょう。

≪やり方≫
1.トイレに入るときに、左右どちらの足を使うかを観察する
2.キャットタワーの上り降りをする際に、左右どちらの足を使うかを観察する
3.階段を降りるときに、左右どちらの足を使うかを観察する
4.数日間データを取り、左右どちらを多く使っているかをチェックする

猫の利き手と性格の関係性

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ウェルズ博士の研究では、猫の性格の傾向が利き手にも表れていると考えられています。
過去に犬の利き手に関する研究をした際に「左利き・両利きの犬は、右利きよりも怖がりで強いストレスを感じる」という結果が出ていました。
一般的に左手を動かす右脳はネガティブな感情、右手を動かす左脳はポジティブな感情を処理する役割も担っています。
この脳の仕組みと犬の利き手の検証結果から、猫も同様に利き手によって性格の傾向が異なる可能性があるとされています。
性格については個体差もあることから、猫の利き手と性格の関係性はあくまで可能性ではありますが、猫の魅力がさらに深まりそうな仮説ですね。

利き手をチェックして、愛猫の個性をもっと深く理解しよう!

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猫の利き手については、暮らしている環境や脳の仕組み、性別といったさまざまな要素が関係しているとされており、まだまだ解明されていない点も多い分野です。
しかし、日常生活における利き手をチェックしておくことで、愛猫の隠された個性を発見できるかもしれません。
本記事で紹介したチェック方法も参考にしながら、ぜひ愛猫の利き手をチェックしてみてくださいね。

参考サイト

・NHK シチズンラボ(参照日:2025/7/8)
https://www.nhk.or.jp/citizenlab/pets/citizen_kiji_pet_last.html
https://www.nhk.or.jp/citizenlab/pdf/survey_form_pets2.pdf

著者情報

西野由樹

生粋の犬好きなフリーランスWebライター。執筆のお供はコーヒーと愛犬のマルチーズ「こたろう」。
やんちゃな愛犬にちょっかいを出されつつ、今日も実体験・調査に基づいた執筆で、読んで楽しい記事づくりに勤しむ。

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