もし愛犬が交通事故に遭ってしまったら……?正しい対処方法を解説

犬を散歩している時は、交通事故のリスクを常に考えなければなりません。
飼い主がどれだけ気を付けていても、事故を避けられないこともあるでしょう。
この記事では、愛犬が交通事故に遭う原因や対処方法を解説します。 2023年08月14日作成

  • 犬のカテゴリ - 犬と暮らす犬のカテゴリ - 犬と暮らす
  • VIEW:5,843

犬が交通事故に遭う原因

出典:https://www.shutterstock.com/

犬が交通事故に遭う原因は飼い主によるものが多いですが、場合によっては第三者が原因となることもあるでしょう。
まずは、犬が交通事故に遭う原因をご説明します。

ノーリードで犬の散歩をした

犬が交通事故に遭うのは、ノーリードで犬の散歩をしたことが原因であることもあるでしょう。
当然ながら犬をノーリードで散歩をすると、犬をコントロールすることができません。
どれだけしつけがされている犬であっても、ほかの犬に出会った時などに犬が興奮して走り出してしまうこともあるでしょう。
そのため、交通事故に遭わないためにも、絶対に犬をノーリードで散歩してはいけません。
ちなみに、犬はリードをつけて散歩しなければ条例違反となることが多いです。

首輪やハーネスが抜けてしまった

犬に首輪やハーネスをしていても、サイズが合っていないと抜けてしまうことがあります。
当然ながら首輪やハーネスが抜けてしまうと犬はノーリード状態になってしまうため、大変危険です。
犬の首輪やハーネスは散歩中に抜けないようにきちんとサイズ調整をする必要がありますが、首元や身体が苦しくならないように注意しましょう。
ちなみに、犬の首輪は飼い主の指が2本程度入るのが目安です。

リードを長く持ちすぎた

飼い主によっては、「犬の散歩なのだから、犬にはある程度自由に歩かせてあげたい」との考えから、リードを長く持つこともあるでしょう。
しかし、リードを長く持ちすぎると、曲がり角などで犬が自動車や自転車と衝突してしまう危険性が高くなります。
また、犬が突然道路に飛び出してしまった時に、コントロールがしにくくなるでしょう。
犬のリードは2m以内のものを使用しなければ条例違反となってしまう可能性もあるため、散歩での伸縮リードの使用もやめておいたほうが良いでしょう。

犬が交通事故に遭った時の対処方法

出典:https://www.shutterstock.com/

次に、犬が交通事故に遭った時の対処方法を解説します。
正しい対処をして犬の命はもちろん、その後の治療についてもスムーズにできるようにしなければなりません。

動物病院へ連絡する

犬が交通事故に遭った時は、すぐに動物病院へ連絡しましょう。
また、同時に犬の状態についても確認します。
意識はあるか、犬の名前を呼んだ時に目が動くなどの反応はあるか、呼吸はおかしくないか、自分で身体を動かすことはできるか、外傷はないかなど、チェックすることは多くありますが、異常がないかを見ながら動物病院へ連絡しましょう。

愛犬を保護する

犬が交通事故に遭った時は、突然のことで驚き犬がパニックに陥る可能性があります。
犬がパニックになると、自分の身を守ろうとして攻撃的になることもあるでしょう。
そのため、犬が交通事故に遭った時はタオルなどで犬を保護する必要があります。
犬を保護することで、犬が暴れて余計な外傷を負う心配も少なくなるはずです。
また、そのまま犬を動物病院へ連れて行く時にも、タオルなどで保護をしていると犬を運びやすいでしょう。

交通事故の相手の連絡先を聞く

犬が車や自転車と衝突した場合、その後の対応をするためにも相手の連絡先を聞いておきましょう。
後述しますが、犬は法律上は「物」として扱われるため、連絡先の提示を嫌がる人もいるかもしれません。
しかし、物損事故として扱われることから、相手の連絡先を聞いておかなければその後の対処が大変になるでしょう。

愛犬が交通事故に遭ったら損害賠償は請求できる?

出典:https://www.shutterstock.com/

愛犬が交通事故に遭ったら、相手に損害賠償を請求することは可能なのでしょうか?
最後に、誰しも気になる損害賠償や慰謝料の請求についてご紹介します。

損害賠償の請求は難しい?

残念ながら、先述したように犬は法律上では「物」として扱われます。
そのため、愛犬が交通事故に遭ったとしても、危険運転致死傷罪(自動車運転死傷行為処罰法2条)や過失運転致死傷罪(同5条)などの刑事事件として扱うことはできません。
また、犬が「物」として扱われるのであれば器物破損罪が成立するのかというと、器物損壊罪は故意でなければ成立しないため、故意ではない交通事故は器物破損罪として成立はしないでしょう。

ちなみに、刑事事件で扱われない犬の交通事故ですが、民事案件にすることも難しいです。
人間が交通事故に遭って怪我をした時は、民法709条に基づいて損害賠償の請求ができますが、「物」である犬は損害賠償の請求もできません。
愛犬が交通事故に遭った時は、損害賠償の請求は難しいと考えておいたほうが良いかもしれません。

絶対に損害賠償の請求ができないわけではない

犬が交通事故に遭うと、刑事でも民事でも扱いにくくはなりますが、絶対に損害賠償の請求ができないというわけではありません。
飼い主にできることは、犬が交通事故で怪我や死亡した時に、「物の所有権を侵害された」として損害賠償を請求することができます。
この場合の損害賠償は、犬の治療費などです。
ただし、それは相手が一方的に悪い場合だけでしょう。
飼い主側にも過失があれば、損害賠償は支払われずに相殺される可能性もあります。

基本的に慰謝料は認められない

犬が交通事故に遭った際は、治療費などの損害賠償は請求できますが、慰謝料は認められないことが多いです。
なぜなら、何度も言うように犬は法律上では「物」に該当するからです。
しかし、近年は裁判所の対応も変わってきており、ペットロスを理由に慰謝料の請求が認められた事例もあります。
ただし、犬の交通事故の慰謝料が認められたとしても、10万円程度でしょう。

犬がほかの人に危害を加えると慰謝料を支払わなければならない

当然ながら、「物」である犬はほかの人に危害を加えた場合には、慰謝料を請求されることがあります。
相手を怪我させてしまい重度の障害が残ってしまった場合は、数百万円の慰謝料を支払わなければならないこともあるでしょう。
犬の交通事故の慰謝料が10万円なのに人間の場合は数百万円になることもあることから、やはり犬はあくまで「物」扱いであるということがわかります。

犬の交通事故に気を付けよう

出典:https://www.shutterstock.com/

犬は法律上「物」扱いとなるため、交通事故に遭った時も損害賠償は請求することは難しいです。
また、慰謝料の請求も認められないことが多いでしょう。
逆に、愛犬がほかの人に危害を加えてしまった時には、多額の慰謝料を支払わなければならないこともあります。
愛犬を守るためにも、リードの長さやまわりの自動車や自転車などに十分注意しながら、散歩をする必要があるでしょう。

著者情報

けんぴ

若い頃はドッグトレーナーとして、警察犬の訓練やドッグスポーツなどを行う。
それらの経験を活かし、ペット系ライターとして活動中。
現在はすっかり猫派となる。
好きな犬種・猫種はボーダーコリーとノルウェージャンフォレストキャット。

オススメ

新着記事