【前編】ただのトイレじゃない!SHARP担当者に聞く「ペットケアモニター」誕生秘話

これからの猫ちゃんと飼い主の健康的な生活をサポートするSHARPの「ペットケアモニター」。開発秘話を製品担当者の大石さん、後田さんお二人にお聞きしてきました。 2020年02月18日作成

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ペット人気の高い猫ちゃんですが、長く生活していると色々な病気にかかります。その中でも、他の動物と比べて、泌尿器が死亡原因の上位に入っているのが猫ちゃんの特徴です。猫ちゃんと長く健康で暮らすためには、人と同じように体調変化に早く気づくことが大切で、特に毎日の体重とオシッコをチェックすることが健康管理のカギになっています。そんな猫ちゃんのオシッコチェックを正確に記録できるのが、SHARPの「ペットケアモニター」。SHARP独自の猫ちゃん用家電の開発秘話を製品担当者の方にお聞きしました。

製品担当者:(左)後田さん、 企画&営業担当者:(右)大石さん

家電メーカーとして名高いSHARPから販売されているのが、猫ちゃん用のシステムトイレ型「ペットケアモニター」です。システムトイレ型のペット家電だから、猫ちゃんはいつものように排尿するだけでOK。「ペットケアモニター」に入るだけで、猫ちゃんの「体重」「尿量」「使用回数」「滞在時間」、そして「設置場所周辺の温度」までも計測。計測したデータが専用アプリでわかるという、AIoT*を利用したペット家電です。

今回は猫ちゃんの健康管理に役立つ「ペットケアモニター」について、企画&営業担当者の大石さんと開発担当者の後田さんに、開発のきっかけや苦労した点などをインタビューしました。

*「AIoT」は「AI(Artificial Intelligence:人工知能)」と「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」を組み合わせ、「SHARP」が作った造語です。

TOPIC 01

家電メーカーとして知られている“SHARP”がなぜペット家電?

家電メーカーとして知られているSHARPさんが、なぜ猫ちゃんのためのペット製品を作ることになったのでしょうか?

大石:SHARPには通信に関する技術があったので、通信系技術を応用できる事業は何だろうという所から始まりました。そして、AIoTを使って、機器をインターネットにつなぐだけではなく、何かを計測してその結果が価値として認められるモノは何だろうと思案していたんです。

その中に猫好きのメンバーがいて、猫って泌尿器系の病気が多いのに、猫ちゃんのオシッコをチェックするモノがないという問題が上がったのが、商品開発のきっかけです。

---猫ちゃんの泌尿器系の病気って色々ありますもんね。

大石:最初に専門の獣医師の方に猫ちゃんの排尿に関するお話を聞いたのですが、病気や疾患に関しては詳しいのですが、健康な猫ちゃんの排尿に関して調査した例がなかったのです。そのため、何のデータを測るべきかを決めることからスタートしました。

まずは、世の中に猫のトイレってどんなものがあるのか? 泌尿器の疾患で動物病院に来た猫ちゃんは何を検査するのか? ということを調べました。その上で、一般的な健康管理の項目として何を測れば良いのかを決めて、本体の仕様を決めたんです。

その中で、「体重」「尿量」「使用回数」「滞在時間」「設置場所周辺の温度」のデータ が測れるようになったんですね。尿に関するデータだけでなく、使用時に一緒に体重が測れるようにしたのにはどんな意図があるんでしょうか?

大石:猫ちゃんに対する健康リテラシーが高い飼い主さんの中には、猫ちゃんの体重を定期的に測っている人もいます。

猫ちゃんを抱っこして一緒に体重を測って、そこから自分の体重を差し引くという方法で健康管理している方が多いんですが、人間の体重計って0.1キロ刻みじゃないですか。でも3〜4キロの猫ちゃんにとっての100グラムって誤差が大きいんですよね。しかも、生活のリズムが同じであれば体重の増減は基本的にないはず。体重が大きく増えたり減ったりすることに体調の変化が現れることからも体重を測ることが大切なんです。

---確かに。しかも、1匹でも大変なのに、何匹か猫ちゃんがいると体重を測るだけでも大変ですし。

大石:捕まえるのがひと苦労(笑)。猫ちゃんは「来たぞ、来たぞ、捕まえに来たぞ」と感じると、逃げるんですよね。

後田:これなら24時間常に体重を計測しているので、猫ちゃんがペットケアモニターに入るたびに体重も測れます。

TOPIC 02

大手家電メーカー「SHARP」だからこその正確なペット家電

「ペットケアモニター」はどのような点で優れていますか?

大石さん:尿も体重も正確に測れるという点です。

開発の段階で「SHARPが作るんだったら、つまらないモノを作るのはやめよう」という気持ちが強くありました。使い方はシンプルにして、いかに正確に測れるかを重要視しています。だからこそ、その仕様を実現することは大変でした。

具体的にどんな点が大変でしたか?

後田:下に計測するユニットがあって、上にトイレ部分を載せるという仕様なんですが、これがしっかりと載っていないと計測の精度に影響が出てしまいます。いかに安定して載せるかという点が難しかったです。

---猫ちゃんが乗ってもガタガタしないようにという感じでしょうか?

後田:そうですね。人間は体重を意図的に測るので動きませんが、猫ちゃんにとってはトイレをしにきただけなので、当然じっとはしてくれません。そのため人間と猫ちゃんでは体重の測り方が大きく違います。積極的に動く猫ちゃんでも、正確に体重を測れるように、ソフトウェアの技術者は苦労しました。さらに、システムトイレとしての一面もあるので、飼い主さんが普通にセットするだけでも正しく測れるような設計にしています。

大石:最終的な形になるまでは、かなり苦労しました。最初の試作品は今のものよりもゴツくて、最終的な形になるまで、2年近くかかっています。データが正しく測れないというのは最も避けなければならなかったので、いかに正しく測れるかが課題でした。

後田:ただ正確さを追求すると、スケールユニットの部分が厚くなって、高さが出て猫ちゃんが入りづらくなってしまうんですね。一定の高さを維持しつつ、きちんと測れるように工夫しながら開発しました。

大石:システムトイレ部分の入り口にもこだわりました。縁部分が約6センチあるんですが、最初はもう少し狭かったんです。でも実証実験をしている際に、猫ちゃんが縁部分に器用に乗って、中央にお尻を向けてオシッコをしたんです。「おっ、この猫ちゃんは中に入りたくないんだ」と気づいて、猫ちゃんが乗りやすいように縁部分を広げたんです。

---トイレの中に入らなくても、体重が測れるんですか?

後田:いろんな所に乗っても測れるような設計にしてあります。重量センサーがスケールユニットの4隅にあるので、猫ちゃんがどこに乗っても大抵の場合、問題なく測れますよ。

TOPIC 03

体重だけでなく、猫ちゃんのオシッコ量もできるだけ正確に!

出典元:https://www.shutterstock.com/

素朴な疑問なんですが、トイレ用のチップにオシッコが染み込まないんですか?

後田:オシッコの量を測るには、できるだけたくさんのオシッコをトレー部分に落とす必要があります。専用チップは撥水性が高く、ほとんどのオシッコを吸収することなく、トレーに落ちるようになっています。

---商品サイトを見てみると、市販のシステムトイレ用チップの検証結果が出ていますよね。

後田:最初は専用品だけだったのですが、飼い主さんの中には、システムトイレのチップを変えたら猫ちゃんが使ってくれないかもしれないという不安を抱える方も多いということがわかってきました。

そのため、チップ商品のひとつひとつを調査して、専用品と同程度の撥水性があるものを公表させて頂きました。

---飼い主さんは猫ちゃんが嫌がることはしたくないし、近くに専用品が販売されていないと、購入するのも大変です。消耗品の選択肢があると、使いやすさが広がりますね。

大石:僕らは猫ちゃんの健康を念頭に開発したので、チップが嫌いという理由で「ペットケアモニター」を使ってもらえないことは避けたかった。だからこそ、間口を広げて専用品にこだわりを持ち過ぎず、実際に猫ちゃんと飼い主さんがことを想定しながら実験しました。

---発売メーカー側がこのように代替可能な商品を公表してくれると、飼い主さんも安心して使えます。

「ペットケアモニター」の製品担当者さんのお話を聞いていると、猫ちゃんのことを第一に考えつつ、飼い主さんにも寄り添って商品開発されていると感じました。

SHARPの「ペットケアモニター」は体重や尿量といったデータを正確に記録する以外にも、猫ちゃんと飼い主さんが安心して使えるこだわりがたくさん。アプリに蓄積されたデータは家族で共有できるので、家族みんなで猫ちゃんの健康を管理できますね。

著者情報

UCHINOCO編集部

UCHINOCO編集部では、ペットに関するお役立ち情報をお届けしています。

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