犬猫の肥満が大きな病気を引き起こす!? 肥満の原因を考えよう

ペットとして、家の中であまり動かずに生活していると、犬も猫もあっという間に肥満になってしまいます。犬猫の肥満について、本間獣医科医院 掛川中央病院の上田先生にお話をお伺いしました。 2018年03月15日作成

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1. どうして肥満はいけないの?

食事を多く摂り過ぎていたり、室内飼いで運動が足りていなかったりすると、犬も猫も体重が増えすぎてしまうことがあります。そもそも、なぜ肥満がいけないのでしょうか。

「肥満はさまざまな病気を引き起こします。まず、体重が増えることで負担が増し、関節や手足に痛みが出るようになります。脂肪が増えることで、脂肪にも血液を回さなければいけなくなり、心臓への負担も大きくなります。これ以外にも、循環器の疾患、肝臓の疾患、糖尿病や皮膚病や尿石症などにもかかりやすくなります。また難産になったり、何かで手術が必要になった場合の麻酔の危険性があがります」(上田先生)

ペットたちは、人間よりも体が小さいだけに、少しの体重増加でも体に大きな負担がかかります。また、一度太ってしまうと、関節痛や手足の痛みから動くのが億劫になり、そうすると筋肉が衰え、さらに心臓への負担がかかり…と体のあちこちに障害が出てしまいます。飼い主が早い段階で体重コントロールし、適正な体型に戻してあげることが大切です。

2. 肥満かどうかはどう判断する?

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では、自分の犬や猫が、肥満であるかどうかを、どのように判断すれば良いのでしょうか。

「犬や猫、品種、性別や体格の差によって、肥満であるかどうかは変わります。ですから、一概に『体重が何キロだから肥満』という判断はできません。

そこで、基準となるのがボディコンディションスコアです。これは、見たり触ったりすることで体型を評価する方法です。

このボディコンディションスコアでは、『肋骨が浮いて見えれば痩せている。見えていないが触れると標準。脂肪が厚く触れないのが肥満』など、見た目や感触で判断をつけるための基準が書かれています。これらを参考に、肥満であるかどうかを判断します」(上田先生)

ボディコンディションスコアを元に、自分のペットがどのような状態か判断することはとても大事なことです。しかし、このスコアだけで肥満だと、飼い主が自己判断で極端なダイエットをすることは危険です。まずは獣医師に相談してみましょう。

また、体重を定期的に計ることも、ペットの健康を考えた上では大切なことです。

「体重だけでは、肥満かどうかを判断することはできません。しかし、体重を計り続けることで、体重の変化を数字で見ることができます。

ボディコンディションスコアを使って肥満かどうかを判断することが大前提ですが、体重を記録することで、体重をコントロールしやすくなります」(上田先生)

3. どうして肥満になるの?

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犬や猫が肥満になってしまう原因はさまざま考えられますが、基本的には普段の生活や運動で消費するカロリーを、食事やおやつで摂取するカロリーが上回ると体重は増えていきます。

犬や猫は飼い主から与えられた食事やおやつを食べて生活していますから、飼い主が与えすぎていることが原因となっている場合が多いといえます。

また、ペットショップやブリーダーから購⼊した際に勧められた、幼⽝、幼猫⽤のペットフードをいつまでもそのままの量で与え続けていることが原因となる場合もあります。幼犬、幼猫用のペットフードは、概して高カロリーのものが多いので、必要量を与えていてもカロリーを摂りすぎてしまうのです。1歳を過ぎたら、必要なエネルギー量が変わってきますので、ペットフードを見直しましょう。

避妊・去勢手術も肥満の原因となることがあります。

「いろいろな見解はありますので、一概には言えませんが、少なからず、避妊・去勢手術をしたことで肥満になったと感じることも多々あります。避妊・去勢は、一つの臓器を切除する手術です。手術を終えると、切除した臓器の分の栄養は必要なくなります。いらなくなった栄養はどこにいくかというと、体の脂肪になる。ですから、気をつけていないと、どんどん太ってしまいます。

当院では、避妊・去勢手術後、小型犬の場合は1キロ増は許容範囲とお伝えしています。それを超えてしまうと、健康面が心配です。飼い主の方には、1キロまでと明言することで、意識してもらうことができると思っています」(上田先生)

さらに、病気が原因で肥満となっていることもあります。例えば、代謝が悪くなる病気に罹ってしまった場合、少量のご飯でも太ってしまうのです。ご飯を減らしても痩せていかない時には、代謝異常も考える必要があります。

「ワクチン摂取やフィラリアの投薬など、獣医に行く機会がある時で構いませんので、体重変化についてもぜひ相談してください。どの病院でも、喜んで相談を受けてくれると思います。もちろん、体重に関しての相談のために受診しても構いません」(上田先生)

本間獣医科医院 掛川中央病院

出典元:http://www.petclinic.co.jp/map/kakegawa-minami.html

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分院長
上田 修平

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UCHINOCO編集部

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