そもそも「ナニードッグ」って何?

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海外を中心に注目されている「ナニードッグ」。
そもそもナニードッグとは「母親の代わりに子供の世話をする女性」を意味する「Nanny」のことで「子守りをする犬」を指します。
赤ちゃんに何をされても怒らず、適度な距離感を保ちながら子育てを手伝ってくれる姿は、子育てを頑張る人にとって心強い味方になってくれるでしょう。
ナニードッグの魅力・メリットを3つ紹介!

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ナニードッグとして犬を赤ちゃんと一緒に過ごさせるのには、さまざまな魅力やメリットがありますよ。
ここからは、ナニードッグの魅力・メリットについて解説します。
①子守りを任せられる
保護者とは違ったスタイルで子守りを任せられるのが、ナニードッグの魅力です。
赤ちゃんが泣いたときにも、率先して寄り添ってあやしてくれるので、飼い主さんが手が離せないときにも赤ちゃんを不安にさせません。
温和で面倒見のよいナニードッグは、赤ちゃんのよき遊び相手になってくれるでしょう。
②赤ちゃんの心の発育に良い影響がある
ナニードッグと一緒にいることで、赤ちゃんの心の発育によい影響があるとされているのもメリットです。
愛犬のぬくもりや豊かな愛情表現は、赤ちゃんの五感を刺激し、感受性を育むのに効果的。
赤ちゃんの頃から動物と触れ合うことで、共感力やコミュニケーション能力が高まるとされています。
また、愛犬が子供にとって一緒にいると心が落ち着く存在になるためか、動物と触れ合う機会が多い子供はストレスへの耐性が強い傾向にあるという研究結果もあります。
③子供に命の大切さ・責任感を学ばせられる
ナニードッグの存在は赤ちゃんが成長した後も、命の大切さ・責任感を学ばせられるというメリットがあります。
小さい頃からナニードッグと一緒にいると、子供は兄弟のように接するようになる傾向があります。
子供が成長してから、エサやり・散歩などといった愛犬のお世話を手伝わせることで、命あるものをお世話することの大変さ・責任を実感させられるでしょう。
ナニードッグに向いている犬種一覧

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赤ちゃんのお世話を手伝ってくれるナニードッグですが、どんな犬種でもナニードッグに向いているわけではありません。
ここからは、ナニードッグに向いている主な犬種について紹介します。
ラブラドール・レトリバー
ラブラドール・レトリバーは、穏やかな性格で学習能力・判断力が高い大型犬です。
賢くて人あたりがよいことから、盲導犬や介助犬などとしてハンディのある人を助けている子も少なくありません。
子犬の頃は活発でやんちゃな一面がありますが、成長とともに精神的に落ち着きが出てきて、飼い主さんに寄り添って行動する子が多い傾向があります。
飼い主さんに従順なため、丁寧にしつけをしておけばナニードッグとして子育てに協力してくれるでしょう。
ゴールデン・レトリバー
ゴールデン・レトリバーは、大型犬のなかでも特に穏やかで社交的な性格です。
精神的に安定している子が多く、赤ちゃんのイタズラに対して神経質になることは少ない傾向にあります。
頭はよく、人懐っこい性格であるため、褒めて伸ばしていくしつけを心掛けることで、ナニードッグとしての役割もしっかりこなしてくれるでしょう。
なお、幼い一面があり、嬉しくなると興奮してしまう場合もあるので、しっかりしつけて落ち着かせられるようにしておくことが大切です。
ビション・フリーゼ
白くてふわふわなビション・フリーゼは、明るくフレンドリーな性格の子が多い小型犬です。
協調性があるので、ナニードッグとして赤ちゃんと親しく接することができるでしょう。
しつけがしやすく無駄吠えも少ないことから、マンションやアパートでも問題なく飼育しやすい犬種です。
ナニードッグとして育てるときのポイント

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子育てを支えてくれるナニードッグですが、自宅の愛犬が赤ちゃんの面倒を見てくれると助かりますよね。
ここからは、愛犬をナニードッグとして育てる際のポイントについて解説します。
「離れる」指示のトレーニングを徹底する
ナニードッグとして育てる場合「離れる」指示のトレーニングをしておきましょう。
防衛本能や独占欲などから、犬は家族やお気に入りのおもちゃなどといった自分にとって大切なものを守ろうとする傾向があります。
そのため、お世話をするときなどで飼い主さんが赤ちゃんに触れようとすると、咄嗟にガードしたり唸ったりすることも少なくありません。
赤ちゃんを守ってくれていること自体は保護者として嬉しいものの、赤ちゃんのお世話ができないとなると困りますよね。
そのため、あらかじめお気に入りの場所やものから「離れる」トレーニングをしておきましょう。
一般的なトレーニングではお気に入りのおやつを使って行います。
おやつがある場所から離れることで、おやつがゲットできることを定着させましょう。
≪「離れる」トレーニングの手順≫
1.手のひらにおやつを握り、グーにした手を手のひらが床側になるように伏せる。
2.愛犬が鼻で押し上げたり、手で動かそうとしたりしても反応せず待つ。
3.愛犬が諦めて手から離れる瞬間に「離れなさい」と指示を出す。
4.離れたら手の中のおやつが愛犬に見えるようにし、ご褒美として与える。
5.1~4の手順を繰り返す。
カムアットトレーニングで噛まないように訓練する
犬にとって「噛む」行為は本能的な行動ではあるものの、赤ちゃんが噛まれてしまうと命にかかわるケガにつながることも!
赤ちゃんのケガを防ぐために、愛犬をナニードッグにする場合は、赤ちゃんが体に触れてきても噛みつかないようにあらかじめ訓練しておいてくださいね。
犬が人を噛まないための訓練方法としておすすめなのが「カムアットトレーニング」。
カムアットトレーニングは引っ張り合いっこ遊びのなかで、口や歯が当たることがペナルティになると愛犬に認識させる訓練です。
口や歯が人の体に当たるたびに、自分が好きな遊びが終わってしまうという流れを定着させることで、口や歯が当たらないように癖付けさせられますよ。
以下のやり方を参考にしながら、実際にトレーニングしてみましょう。
ポイントは、口や歯が当たったときに過剰に𠮟りつけないこと。
あくまで「口が当たる=楽しいことが終わってしまう」という認識を定着させるものですので、大声で怒ったり叩いたりするのはやめてあげてくださいね。
≪カムアットトレーニングの手順≫
1.少し長さのあるロープ系のおもちゃを用意する。
2.片方の端を飼い主が持ち、愛犬と引っ張り合いっこ遊びする。
3.遊びの最中に愛犬の口や歯が飼い主の手に当たったら、適度な声量で「あっ」と声を出す。
4.おもちゃを持って、愛犬が見えない場所へ移動する。
5.10~30秒程度したら元の場所へ戻り、再び愛犬と引っ張り合いっこ遊びをする。
6.以上のステップを繰り返す。
しつけルールは家族全員で統一させておく
赤ちゃんと関わるナニードッグとして育てる際には、しつけの仕方に一貫性を持たせることが何より大切!
例えば、家族の一人は厳しくトレーニングをしているのに、もう一人は愛犬が甘噛みしても気にしていないといったように、家族一人ひとりでしつけのレベルやルールが違っていると、愛犬も混乱しますよね。
しつけのルールが違っているとトレーニングの効果が上手く出ないだけでなく、飼い主さんと愛犬の関係が逆転してしまい、飼い主さんの指示を聞かなくなることもあります。
そのため、ナニードッグとして愛犬を育てる場合は、しつけのルールは家族全員で統一させておきましょう。
愛犬にナニードッグになってもらう際の注意点

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子育てにおいてさまざまなメリットがあるナニードッグですが、ナニードッグも大切な家族の一員。
実際にナニードッグになってもらう際には、さまざまな注意点があります。
ここからは、愛犬にナニードッグになってもらう場合の注意点を解説します。
妊娠中に犬をお迎えするのは避けよう
ナニードッグになってもらうためとはいえ、妊娠中に新しく犬をお迎えするのは避けた方がよいでしょう。
新しい犬との信頼関係がまだ築けていないうえ、トレーニングやお世話で身体的に負担がかかってしまう可能性があるからです。
赤ちゃんと関わるナニードッグだからこそ、飼い主さんを信頼し指示をしっかり聞くようにトレーニングしておくことが何より大切。
これまで犬を飼ったことがある人で、犬との関わり方やトレーニングの仕方などに慣れていればそこまで問題ないでしょう。
しかし、今まで犬を飼ったことがない人が、ナニードッグとして犬をお迎えする場合、日々のお世話やトレーニングが困難になる可能性があります。
また、妊娠中は心身ともに負担がかかるもの。
散歩やお世話の最中にする、愛犬の咄嗟の行動にもすぐ対応できない場合があります。
愛犬と過ごす時間も大切にしよう
ナニードッグとして赤ちゃんの傍で面倒を見てくれる愛犬ですが、赤ちゃんだけでなく愛犬と過ごす時間も大切にしてあげてくださいね。
これまで愛犬とたっぷりコミュニケーションができていても、赤ちゃんが生まれるとどうしても赤ちゃんのお世話に追われてしまうでしょう。
愛犬にとっては、これまで自分が独占していた飼い主さんの愛情を、突然現れた赤ちゃんに奪われてしまったと嫉妬してしまう可能性があります。
そのため、愛犬とのコミュニケーションをおろそかにしていると、本来守ってもらうはずの赤ちゃんの存在が愛犬にとってストレスになってしまいます。
愛犬のストレスを放置していると、無駄吠えや噛みつきといった異常行動を起こすことも!
赤ちゃんだけでなく、愛犬にとっても飼い主さんは親のような存在であり、蔑ろにされるのは誰だって辛いですよね。
赤ちゃんのお世話は大変ですが、普段から愛犬と遊んだり、スキンシップを取ったりする時間も大切にしてあげてください。
赤ちゃんと一緒にいるときは目を離さない
赤ちゃんの面倒を見てくれるナニードッグではありますが、赤ちゃんと一緒にいるときは目を離さないようにしてください。
赤ちゃんは身の回りにあるものに触れたり、引っ張ったりすることで学習をします。
愛犬の被毛や耳を引っ張ったり、体を叩いたりすることもあり、愛犬によってはびっくりして、防衛本能から思わぬ行動をすることもあります。
また、周囲に犬用や赤ちゃん用のおもちゃがある場合、誤飲・誤食やケガなどのリスクもあります。
思わぬ事故やトラブルを防ぎ、赤ちゃんと愛犬の両方を守るためにも、普段から手の届く範囲に居させるとともに、目を離さないようにしてください。
ナニードッグは保護者と赤ちゃんの心強い味方!

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赤ちゃんをあやしてくれるだけでなく、子供の成長にもさまざまなメリットをもたらしてくれるナニードッグは、両親と赤ちゃんにとって心強い味方になってくれるでしょう。
本記事で紹介した育て方や注意点も参考にしながら、赤ちゃんと愛犬が一緒に楽しく過ごせるようにしてあげてくださいね。
著者情報
西野由樹
生粋の犬好きなフリーランスWebライター。執筆のお供はコーヒーと愛犬のマルチーズ「こたろう」。
やんちゃな愛犬にちょっかいを出されつつ、今日も実体験・調査に基づいた執筆で、読んで楽しい記事づくりに勤しむ。

