一般的な中型犬の体重はどれくらい?

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一般的に中型犬の体重は、成犬時で10~25kg未満とされています。
小型犬と大型犬の中間に位置するというイメージが強い「中型犬」ですが、実はどれくらいの体の大きさ・体重であれば中型犬に分類されるのかという世界共通の定義はありません。
そのため、中型犬に分類される体重の具体的な数値は団体によって異なります。
なお中型犬だからといって、全てのワンちゃんが同じ体重管理をすればいい訳ではありません。
犬種によって少しずつ標準・理想となる体重が違うため、各犬種の標準体重を踏まえて体重管理を行うことが大切ですよ。
健康寿命にも影響!中型犬の体重管理が大切な理由とは?

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一般的に「肥満」とは言われていても、脂肪が付いて丸々とした愛犬のボディは可愛らしく、抱き心地もふわふわで癒されますよね。
しかし中型犬は日々の体重管理を行い、しっかり肥満予防をしておかないと思わぬ健康リスクにつながる危険性があるんです!
愛犬が元気に長生きするためにも、ここからは中型犬の体重管理が大切な理由について解説します。
関節へ負担がかかる
体に過剰な脂肪が付いている肥満体型だと、体を支えている関節や骨に余計な負担がかかります。
特に中型犬は活発で運動好きな犬種も多いため、走ったりジャンプしたりした際に足や椎間板を痛めてしまうこともあります。
また、日常的に関節へ余計な負荷がかかることで関節炎のリスクも!
関節の痛み・腫れによって日常の歩行や散歩を嫌がる子も多いため、さらに運動量が不足してしまい肥満やストレスを深刻化させてしまう可能性があります。
臓器への負荷が増える
臓器系への負担が大きくなるという点も、中型犬が体重管理をすべき理由の一つです。
特に心臓については、肥満体型だと標準体型の中型犬に比べて血液を体全体へ送るために必要な力が多くなります。
心臓がより多く働くことで、高血圧のリスクが高くなります。
また、脂肪細胞のなかには、膵臓が作り出すインスリンというホルモンの作用を阻害するものがあるとされています。
インスリンは血糖値をコントロールする役割があることから、肥満の中型犬は糖尿病のリスクが高い傾向があります。
糖尿病にかかるとインスリンの投与・投薬が必要によって病気の進行をコントロールする必要が出てくるので、治療費が高くなってしまいます。
愛犬の命に関わる病気ですので、肥満にならないように日頃から体重管理をしておくことが大切なんです。
呼吸器系の病気のリスクが高まる
中型犬が肥満気味だと、呼吸器系の病気のリスクが高まることも!
首の周辺に脂肪が過剰に付くことで気管が圧迫されるため、日常的に呼吸がしにくくなる場合があります。
特にワンちゃんは「パンティング」といって、口でハアハアと呼吸することで体温調節を行うため、肥満によって呼吸がしにくいと体温調節が上手くできなくなります。
熱中症のリスクも高くなるため、余計な脂肪が付かないようにすることが大切です。
【犬種別】中型犬の標準体重の目安

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同じ中型犬でも犬種によって標準体重は異なることから「うちの子の標準体重はどれくらいかな?」と疑問に思う飼い主さんも多いでしょう。
ここからは、中型犬のなかでも代表的な犬種の標準体重の目安について紹介します。
フレンチ・ブルドッグ
フレンチブルドッグの体重は個体にもよりますが、一般的に8~14kgが理想とされています。
性別によっても数値は異なっており、オスの場合は9~14kg、メスであれば8~13kgが標準です。
他の中型犬に比べて小柄ではありますが、1回あたり30分程度の散歩を1日に1~2回程度行うのが望ましいとされるくらい、1日に必要な運動量が多い犬種です。
加えて食欲旺盛な犬種でもあるので、食事量とカロリーにも配慮する必要があります。肥満傾向であれば、低カロリーのフードにすることも選択肢のひとつです。
柴犬
柴犬の標準体重は、一般的な柴犬(成犬)の場合で9~14kgです。
「豆柴」と呼ばれる小型の柴犬であれば5kg前後が標準とされています。
また、オス・メスで数値に差があり、一般的な柴犬であればオスが平均約11kg、メスが平均約9kgとされています。
古くから日本の山岳地帯において猟犬として活躍してきたことから、俊敏で1日に必要な運動量が多い犬種であり、室内飼いだと運動不足になりやすい傾向があります。
駆け回ることが大好きな子も多いため、体重管理では十分に運動させることが大切です。
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
一般的に「コーギー」と呼ばれる、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの標準体重は9~12kgです。
オスは10~12kg、メスは9~11kgと性別によって差があります。
一般的にコーギーは食欲旺盛でカロリー過多になりやすいことから、太りやすい犬種とされています。
胴長短足の体格のため、体重の増加によって足腰への負担が大きくなりやすいので、適切な体重管理が大切です。
ビーグル
ビーグルの標準体重は成犬の場合で8~14kgで、オス・メスで体重に差はほとんどありません。
他の犬種に比べて標準体重の幅が大きく、ビーグルは体高が40cmの個体を15インチタイプ、33cm以上の個体を13インチタイプといったように2サイズに分けられています。
元々猟犬として活動していたためか、毎日1時間以上の運動が必要であるほか、定期的にドッグランなどの広い場所で散歩が必要なほど、運動量が多い犬種です。
そのため、完全室内飼いのビーグルの場合は十分な運動をしないと肥満になりやすい傾向があります。
ボーダーコリー
ボーダーコリーは中型犬のなかでも体格が大きいことから、成犬の標準体重も16~23kgと高い傾向があります。
オスであれば18~23kg、メスなら16~20kgが標準であり、個体にもよりますが一般的にオス・メスのどちらにおいても20kgを超えると肥満体型とされています。
運動量も多く体高も50cm以上に及ぶので、完全室内飼いの子の場合は特に、十分に動き回れる空間を確保するとともに、長距離の散歩を心掛けることが大切です。
うちの子は大丈夫?中型犬の肥満度チェック方法

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愛犬の体重管理をするにはこまめに体重計に乗るのがベスト。
しかし「愛犬が嫌がってだっこさせてくれない」「何度も体重計に乗るのは大変」という飼い主さんも多いでしょう。
そんなときには「ボディコンディションスコア(BCS)」で、愛犬の肥満度チェックをしてみてください。
BCSとは、愛犬の見た目の姿と触れたときの感触から、脂肪の付き方をチェックする方法です。
BCSのスコアは全5段階で評価し、BCS 1は「痩せ」、BCS 5は「肥満」となります。
スコアが低いほど脂肪が少なく、高いほど脂肪が多いことになるため、一般的には「BCS 3」のときの見た目・体重が理想的とされています。
それぞれのスコアにおける見た目の目安は以下のとおりですので、実際に愛犬の体に触れながらチェックしてみてくださいね。
≪ボディコンディションスコア(BCS)と体型の目安一覧≫
・BCS 1(痩せ)
肋骨や腰椎、骨盤が外から分かる。触っても脂肪が分からない。
腰周りのくびれと腹部のつり上がりが顕著になっている。
・BCS 2(やや痩せ)
軽く触れただけで肋骨が容易に分かる。
上から体を見たときに腹部の吊り上がりがすぐ分かる。
・BCS 3(理想体重)
過剰に脂肪が付いておらず、肋骨に触れられる。
上から体を見たときに肋骨の後ろにくびれがある。
横から見て腹部の吊り上がりが分かる。
・BCS 4(やや肥満)
体に付いている脂肪の量はやや多いが、肋骨には触れられる。
上から体を見たときに腰のくびれは見られないが、丸々とはしていない。
横から見たときに腹部が少しだけ吊り上がっている。
・BCS 5(肥満)
厚い脂肪に覆われていて、触れても肋骨が容易に分からない。
腰椎や尻尾の付け根にも脂肪が付いている。
上から体を見たときに腰のくびれは、ほとんど見れられない。
横から見たときに腹部の吊り上がりはないか、または垂れ下がっている。
中型犬の体重を適正に保つための3つのポイント

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愛犬の体重管理は毎日の心がけが何より大切!
「何から始めればいいかわからない…」という飼い主さんのために、ここからは中型犬の体重を適正に保つための3つのポイントを解説します。
今日から始められるポイントばかりですので、ぜひ実践してみてくださいね。
①適正カロリーと量に合わせた食事を心掛ける
「食事」は愛犬の体重管理に直結する重要なポイント!
肥満予防のためには、毎日の食事は適正カロリーに合わせた量・内容を心掛けることが大切です。
一般的なドッグフードには、パッケージの裏側に成分表や年齢別の食事量が記載されています。
しかし、記載されている食事量は、あくまでも標準体型を想定しているため、太り気味の中型犬にそのまま与えるとかえって肥満の原因になってしまうことも!
そのため、愛犬の体重から1日に必要なカロリーを計算したうえで、与えるフードの量を調整することが大切ですよ。
1日に必要なカロリーは安静時に使うエネルギーの量(RER)の値で、フードの量は1日に必要なエネルギー量(DER)の値でそれぞれチェックできます。
フードの量の計算で使う、RER は「70×(体重kg)の0.75乗、DERは「RER×活動係数」で算出します。
活動係数は愛犬の年齢や条件によって異なり、避妊・去勢していない成犬であれば1.8、している成犬であれば1.6、肥満・高齢の犬であれば1.4を掛けます。
≪1日に必要なカロリー量の計算方法≫
70×体重の0.75乗=安静時のエネルギー必要量(RER)
(※電卓で計算する場合は体重を3乗し、√キーを2回押して出た数値に70を掛ける)
≪1日に必要なフードの量の計算方法≫
DER÷(フードの100gあたりのカロリー)×100=1日に必要なフードの量
②おやつを与える量・頻度を見直す
ドッグフードの量だけでなく、おやつを与える量・頻度にも要注意!
愛犬がおねだりしてきたり、嬉しそうに食べたりするのが可愛すぎて、ついたくさんあげてしまう…という飼い主さんも多いのではないでしょうか?
しかし、犬用おやつはご褒美や食事の補助として与えることを想定されているため、嗜好性が高くなるように作られています。
カロリーや脂質などが高いおやつも多いので、あげすぎると肥満の原因になります。
そのため、愛犬におやつを与える際には1回あたりの量を減らしたり、低カロリーなものを選んだりするなど、与え方を工夫することで肥満予防につながりますよ。
③犬種・年齢に合わせた運動量を確保する
愛犬の体重管理では食事の管理だけでなく、毎日の運動も重要です。
特に中型犬は小型犬に比べて1日あたりに必要な運動量が多い傾向にあることから、特に室内飼いの子だと運動不足によって肥満につながる場合があります。
一般的に散歩における中型犬(成犬)に必要な運動量は1回あたり30~45分程度、1日2回の散歩が望ましいとされています。
運動不足を解消するためにも、愛犬の犬種や年齢に合わせて散歩の量を増やしたり、足りない運動量はドッグランを活用したりすることが大切です。
徹底した体重管理で愛犬の健康をサポートしよう!

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日々の体重管理は、愛犬の健康に直結するほど大切なこと。
中型犬は犬種や性別によって標準とされる体格に差があるため、一匹一匹に合わせた体重管理が重要です。
食生活の見直しや十分な運動などによる毎日の体重管理を通して、愛犬が健康的に長生きできるようにサポートしてあげてくださいね。
・環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン~犬・猫の健康を守るために~」(参照日:2025/10/10)
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide_1808/pdf/6.pdf
著者情報
西野由樹
生粋の犬好きなフリーランスWebライター。執筆のお供はコーヒーと愛犬のマルチーズ「こたろう」。
やんちゃな愛犬にちょっかいを出されつつ、今日も実体験・調査に基づいた執筆で、読んで楽しい記事づくりに勤しむ。

