1. デンタルケアはどうして必要なの?
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ワクチン接種やフィラリア予防、トリミングなど、様々な予防を行い、ペットを家族の一員として考えている飼い主の方たちも、忘れてしまいがちなのがデンタルケアです。慣れない犬は、歯磨きを嫌がりますし、毎日のことになるとつい面倒になってしまう飼い主さんも多いのではないでしょうか。しかし、デンタルケアは、とても大切なケアの一つです。
人間にも言われることですが、歯は長く健康でいるために重要なものです。特に老犬になると、口内環境が悪化しやすくなるため、歯のケアを怠っていると健康にも大きな影響が出てきます。愛犬と長く一緒にいるためにも、デンタルケアは欠かせないものなのです。
2. 歯周病を予防しよう
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デンタルケアを怠ると、食べカスなどが歯に残り、歯垢になります。この歯垢は、そのまま放置しておくと、5日ほどで歯石となってしまいます。歯石は歯ブラシで除去することができず、溜まる一方。その上、歯が炎症を起こし、歯周病菌を増殖させてしまいます。
「歯周病が悪化すると、歯茎がボロボロになってしまいます。当然、歯がなくなってしまうこともあります。
歯周病になると、口臭も酷くなりますし、頰が腫れ上がることもあります。
さらに、恐ろしいのは、心臓への影響です。歯石は“ばい菌の巣”と呼ばれるほど、雑菌が多くいます。そんな歯石が常にあるわけですから、雑菌も口の中に多い。そして、それらの菌を、四六時中、唾液と一緒に飲み込んでいることになるため、細菌性心内膜炎などにかかる可能性が高まります。実際に、心臓病を起こす犬には歯周病を患っている場合が多いと言われています。
デンタルケアをしていない方も非常に多く、当院に来院される老犬、老猫のほとんどが歯周病になっています。それも、小型犬になればなるほど、多いんです。
」(K先生)
3. 悪化すると大掛かりな処置も!?
歯周病が悪化した場合には、歯石除去の処置を行う必要が出てきます。人間の場合、歯科医院で、治療の合間にもできるような簡単な施術です。しかし、犬猫の場合は違います。
「歯石をとるには、超音波のスケーラーで振動を与えることで除去していくのですが、動物の場合は、口を開けたままじっとしていることはできません。そのため、犬猫の場合には、麻酔をかけざるを得ません。
人間の場合、定期的に行う人も多いので、安直に考える飼い主も多いですが、全身麻酔で行う大掛かりな処置になります。ちょっとやっておこうか、というものではなく、一念発起して行う治療です。
そして、この処置をしたからには、これを機会にデンタルケアをしっかりと続けていく覚悟を持ちましょう。全身麻酔で、歯石を除去しても、何もしなければ1年経たずに元に戻ってしまいます」(K先生)
歯石がない健康な歯を保つためには、飼い主の毎日のケアが必要です。治療できると安易に考えず、日々のケアを充実させましょう。
4. 猫の場合は?
歯周病は犬の方が圧倒的にかかりやすい病気ですが、猫にないわけではありません。しかしながら、猫の場合は、デンタルケアができていないと、歯周病よりも難治性口内炎になる場合が多いと言われています。
難治性口内炎は、その名の通り、複数の口内炎ができ、食事を摂れなくなる病気です。炎症の範囲が広いと、強い痛みを感じ、大変な苦痛を強いられます。また、ほとんどの場合、生涯に渡って付き合っていかなければならない、慢性病です。
治療には、症状を緩和するためにステロイドを投薬する場合と、歯科治療があります。
「当院では、まず、ステロイドを使って症状をコントロールしますが、それが難しくなると全臼歯抜歯の外科手術を行います。つまり、前歯以外の歯を全部抜いてしまうということです。当然、全身麻酔での手術となります。
前歯しかなくなってしまうと、その後の生活に不安を抱く飼い主も多いですが、それほど問題はありません。むしろ、痛みが強く、食事が摂れないのであれば、歯を抜くことで痛みをなくすしか方法はありません。前歯がなくても、痛みがなくなれば、ドライフードも美味しく食べられます。
ただし、歯を抜いたとしても口内炎が治らないケースもあります。その場合にも、それまではステロイドを使っていたけれど、ステロイドではないタイプの消炎剤で済むようになったり、投薬の回数が減ったり、と薬を減らすために抜歯を行うことになります」(K先生)
5. 毎日の日課にしよう
デンタルケアは、命に直結するというイメージがないためか、軽視されがちです。しかし、ここで書いたように、犬猫にとっては、生活の質に関わる大きな問題です。
動物病院でも、詳しいケアの方法を教えてもらうことができますので、ワクチン接種などで来院した時に、獣医師に相談してみましょう。
本間獣医科医院 袋井山梨病院
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UCHINOCO編集部
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