毛のないエキゾチックな猫、ピーターボールドについて

ピーターボールドは、ロシアを原産国とする猫です。スリムで手足が細長いオリエンタルタイプと呼ばれる種類で、性別によってやや体格が異なります。オスは3㎏～6㎏。メスは2.5㎏～5㎏前後まで成長するでしょう。全体的に、脂肪は少なめで痩せ型の猫です。

一目見てすぐに分かる大きな特徴となっているのが、被毛です。ピーターボールドには、体にまったく毛が生えないものと部分によって毛が生えるもの、全身に短い被毛が生えるものと、大分類して3パターンのタイプがいます。毛の生えないものをウルトラボールド、生えるものをヘアリーと呼びます。さらに、部分的に生えるものをフロックまたはシャモア、全身に生えるものはベロアと呼称します。そのエキゾチックな見た目に加え、触ったときのなめらかですべらかな感触はピーターボールドの大きな魅力となっています。

顔は尖った逆三角形、頭には羽のように広がる大きな耳がついています。手足やしっぽは長く細いのが特徴的。アーモンド形の瞳は少しつり上がったような雰囲気で、青や緑、黄色、アンバーなど多種多様なカラーがあります。

性格は明るく行動的。活発で遊び心もたっぷりと持っています。賢く、しつけにも上手く応じてくれる応用力も備える飼育しやすい猫です。基本的に人懐こく甘えん坊の性格ですから、できるだけ傍にいて一緒に過ごす時間を作ってあげましょう。さびしがりな性質を持っているため、長い間１匹で過ごすと、ナーバスになってしまうことがあります。留守番が多い場合は、多頭飼いなどでコミュニケーション欲を満たしてあげると良いでしょう。鳴き声は小さな方ですが、家族に対しては声を上げてアピールします。

ロシア原産のドンスコイという猫がピーターボールドの原種です。ドンスコイは毛が生えない猫だと知られていましたが、稀に体の一部にのみ毛が生える子猫が生まれることがあったのです。そこから、この猫に対する被毛の研究がはじまりました。オリエンタルショートヘアとの交配を行い、新たな猫種育成がはじまったのです。被毛に関する遺伝子の働きについては未だに解明されていない部分もありますが、その美しさは多くの人々を魅了するようになりました。

1996年にはロシア国内の猫登録段であるSFFが、世界ではじめてピーターボールドを登録。国外にも輸出が行われ、アメリカでは2005年にTICAによって認定がされています。

ピーターボールドを飼う上で注意しなければならないのは、まず一番にケガです。無毛またはあっても極端に毛が薄いので、少しどこかにかすっただけでも肌に傷がついてしまうことがあります。ほかの動物と一緒に飼う場合や猫の多頭飼いをする場合はジャレあいなどで受傷しやすいので、感染症に気をつけてください。

また、紫外線による皮膚疾患にも考慮が必要です。紫外線が直接肌を焼いてしまうので、直射日光にはさらさないよう工夫をしましょう。家の窓にUV加工をほどこしたフィルムを貼るなどして対策を取ることが必要です。また、気温の変化に敏感なので、暑さ寒さが気になる時期にはエアコンを使う等してコントロールしてあげてください。

遺伝疾患に関しては心配が少ないタイプの猫です。しかし、一般的に猫は尿路結石をはじめとする腎疾患にかかりやすいのでこの点には気をつける必要があります。

食べ物に関しては、ほかの猫種と同じものを与えるという方針で問題ありません。良質なたんぱく質をふんだんに摂れるフードを選ぶようにすると良いでしょう。また、尿路結石を予防するために尿のpH値を常に弱酸性にしておく必要があります。フードのカリウム、マグネシウムの値を良く確認して、過剰摂取にならないよう気を配っておきましょう。